この記事で分かること
- 借入を一本化するメリット
- 一本化したいと言えば、銀行は応じてくれるのか
- 一本化とリスケの違い
- どの借入を一本化の対象にすればよいか
- 一本化する金融機関をどう選べばよいか
はじめに
「銀行から借りるたびに借入が増えて、気がつけば何本にもなっている」
そんな会社は珍しくありません。
例えば、
日本政策金融公庫から2本、
A銀行から3本、
B信金から2本。
全部合わせると7本ある、といったケースです。
これだけ本数が増えると、
「そろそろ一本化した方がいいのでは?」
と考える経営者もいるでしょう。
ただ、借入本数が多いからといって、必ず一本化した方がよいわけではありません。
本数ではなく、
どの借入が毎月の返済負担を重くしているのかを見ることの方が重要です。
さらに、複数の金融機関と取引している場合には、
どの金融機関にまとめるのかも考える必要があります。
借入を一本化するメリットとは?
借入の一本化とは、新たな融資を受け、その資金で複数の既存借入を返済する「借換え」です。
例えば、3本の借入で残高が合計3,000万円あり、毎月100万円を返済しているとします。
これを新たな3,000万円の融資に借り換え、返済期間を長く取り直すことができれば、毎月の返済額を減らせる可能性があります。
追加融資を繰り返してきた会社では、少額の借入が何本も重なり、元金返済額が膨らんでいることがあります。
一本一本を見るとそれほど大きくなくても、合計すると毎月かなりの金額を返している。
そのような場合、一本化によって返済期間を組み直すことで、資金繰りを改善できることがあります。
ただし、返済期間を延ばせば、支払利息の総額が増えることもあります。
一本化は「借金を減らす方法」ではなく、
今の会社の返済力に合わせて、返済構造を組み直す方法と考えた方がよいでしょう。
【関連記事】👉
毎月の返済額を減らし、現金を残す。「借入一本化」で資金繰りの悩みを解消する方法
一本化したいと言えば、銀行は応じてくれる?
会社側が「一本化したい」と希望しても、銀行がそのまま応じてくれるわけではありません。
一本化は基本的に新たな借換融資ですから、改めて融資審査があります。
特に、他の金融機関の借入までまとめる場合は、その金融機関にとって融資額が増えることになります。
例えば、
A銀行 1,500万円
B信金 1,000万円
C銀行 500万円
という借入を、A銀行で3,000万円にまとめる場合。
A銀行は、自行の1,500万円だけでなく、B信金とC銀行の1,500万円も新たに引き受けることになります。
当然、
「一本化した後も、この会社はきちんと返済できるのか」
という審査が必要になります。
そのため、「毎月の返済が大変なので一本にしてください」とお願いするだけではなく、
現在の返済状況や今後の資金繰りを整理し、
一本化後なら無理なく返済できることを説明できる状態にしておくことが大切です。
【関連記事】👉
補助金採択を信用のレバレッジに変え、公庫融資の一本化に成功したある経営者の実話
一本化とリスケは違う
一本化によって毎月の返済額が減ると、
「それならリスケと同じでは?」
と思うかもしれません。
しかし、仕組みは異なります。
一本化は、新たな融資を受けて既存借入を返済し、新しい条件で返済を始める「借換え」です。
一方、リスケは、
現在借りている融資について、元金返済を一定期間止めたり、返済額を減らしたり、返済期間を延ばしたりするなど、
既存の返済条件を変更するものです。
つまり、
一本化は新たな借換融資、リスケは既存融資の条件変更
という違いがあります。
会社にまだ返済力があり、短期間の借入が重なったことで返済負担が大きくなっているのであれば、
一本化によって返済構造を見直せる可能性があります。
一方、一本化したとしても返済できる見込みが立たないのであれば、単純な借換えだけでは問題は解決しません。
では、どの借入を一本化すればいい?
借入が何本もある場合、最初に確認したいのは、
毎月の返済負担を重くしているのは、どの借入なのか
ということです。
例えば、残高500万円で残り返済期間が1年の借入と、残高2,000万円で残り返済期間が7年の借入があったとします。
残高だけを見れば2,000万円の借入の方が大きいですが、
毎月の元金返済額を見ると、500万円の借入の方が資金繰りを圧迫していることがあります。
一本化を考えるときは、借入残高だけではなく、
- 残りの返済期間が短い借入
- 毎月の元金返済額が大きい借入
- 追加融資によって後から積み重なった借入
- 借り換えることで返済期間を長く取れる借入
を確認します。
例えば7本の借入のうち、残り1~3年程度の3本が毎月の返済額を大きくしているのであれば、
その3本を長期の借入にまとめることで、
資金繰りが改善する可能性があります。
反対に、
- あと数か月で完済する
- すでに十分長期で返済している
- 金利などの条件が有利
といった借入は、そのまま残した方がよい場合もあります。
つまり、
「何本に減らすか」ではなく、「どの借入が返済負担を重くしているのか」
から考えるということです。
一本化するならメインバンク?借入シェアも考える
次に考えるのが、
「どの金融機関にまとめるのか」
です。
複数の金融機関から借りていると、
「まとめるならメインバンクに集中させた方がいいのでは?」
と思うかもしれません。
もちろん、メインバンクにまとめることにはメリットがあります。
借入シェアが高まれば、その金融機関との関係はより深くなりますし、
今後の資金調達についても中心となって相談しやすくなるでしょう。
ただし、借入を一行に集中させればよいとは限りません。
複数の金融機関と取引している会社では、
それぞれの金融機関が自社の借入全体のうち、どの程度のシェアを持っているかも意識しておきたいところです。
例えば、
A銀行 5,000万円
B信金 3,000万円
C銀行 2,000万円
という借入があれば、A銀行がメインであっても、B信金やC銀行にとっても決して小さな取引ではありません。
B信金が、
「もう少し当金庫のシェアを増やしたい」
と考えれば、
「この借入を当金庫にまとめてもらえるなら、返済期間を長くできます」
「この条件であれば対応できます」
といった提案が出てくることもあります。
つまり、
複数の金融機関に一定の借入シェアを持ってもらうことで、金融機関同士の競争が働きやすくなる
ということです。
一方で、借入の大半をA銀行一行に集中させてしまえば、
B信金やC銀行にとっては、積極的に条件を提示してまで取引を増やそうとする動機が弱くなることも考えられます。
さらに、将来A銀行から追加融資を断られたとき、
「ではB信金へ相談しよう」
と思っても、ほとんど融資取引が残っていなければ、以前と同じように対応してもらえるとは限りません。
そのため、一本化するときには、
- 金利
- 返済期間
- 毎月の返済額
- 保証協会付きかプロパーか
- 今後の追加融資への姿勢
だけでなく、
一本化した後、各金融機関の借入シェアがどうなるか
まで確認したいところです。
もちろん、金融機関を増やしすぎればよいという話でもありません。
中心となって相談できるメインバンクを持ちながら、サブの金融機関にも一定の取引を残しておく。
そのような形であれば、メインバンクとの関係を深めながら、
サブの金融機関からも提案を受けられる余地を残せます。
借入本数を整理することと、借入を一行に集中させることは別です。
一本化を考えるときには、「どこが一番安いか」だけではなく、
今後どの金融機関と、どの程度のシェアで付き合っていくのかまで考えておくことが大切です。
まずは借入全体を一覧にする
一本化を検討するなら、まず現在の借入を一覧にしてみましょう。
金融機関ごとに、
- 借入残高
- 金利
- 毎月の元金返済額
- 最終返済年月
- 資金使途
- 保証協会付き・プロパーの別
を整理します。
特に確認したいのが、毎月、年間でいくら元金を返しているのかです。
そのうえで、
「返済負担が大きいのはどの借入か」
「その借入を長期に組み直したら、返済額はいくらになるか」
「どの金融機関に相談するか」
を考えていきます。
実際に当事務所でも、
既存の借入を一本化し、そこに追加の運転資金を上乗せしながら返済期間を組み直したケースがありました。
借入総額だけを見るのではなく、自社の資金繰りに合った返済額になっているかを見ることが大切です。
まとめ
借入が何本もあるからといって、まず本数を減らすことを考える必要はありません。
先に確認したいのは、どの借入が現在の返済負担を重くしているのかです。
その借入を一本化することで返済期間を組み直し、
自社の返済力に合った返済額にできるのであれば、資金繰り改善の選択肢になります。
さらに、複数の金融機関と取引している場合には、どこにまとめるかも重要です。
メインバンクとの関係だけでなく、サブの金融機関との取引や今後の資金調達まで含めて考えてみましょう。
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そのようなお悩みがありましたら、
当事務所までお気軽にご相談ください。
現在の借入状況と資金繰りを整理し、今後の返済や金融機関との付き合い方を一緒に考えます。
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