この記事で分かること
- なぜ銀行は急成長する会社を慎重に見るのか
- 銀行が成長の「再現性」を確認する理由
- 急成長と必要運転資金の関係
- 銀行に売上計画を説明するときに必要な根拠
はじめに
「今期は売上が大きく伸びています」
「来期はさらに30%増える予定です」
融資を申し込む際、このように説明すれば、銀行から高く評価される
と思う経営者は少なくありません。
確かに、売上や利益が伸びること自体はプラス材料です。
しかし、
成長スピードが速いほど、銀行評価も高くなる
とは限りません。
むしろ銀行員は、
「なぜ、そんなに伸びるのか?」
「その売上は来年も続くのか?」
と考えます。
経営者と銀行では、「急成長」の見方が少し違うのです。
経営者と銀行では、見ているものが違う
経営者にとって、売上が増えることは会社が成長している証しです。
そのため事業計画も、
前期1億円
今期1億2,000万円
来期1億5,000万円
と、右肩上がりにした方が銀行への印象も良いと考えがちです。
しかし、銀行が融資で重視するのは、
貸したお金が、約束どおり返ってくるか
ということです。
金融庁も、事業性融資について、
事業の実態や将来性を理解し、将来キャッシュフローなどを踏まえて
融資後の返済可能性を評価する考え方を示しています。
経営者が「どこまで成長できるか」を考える一方、
銀行は「その計画が本当に実現し、返済を続けられるか」を見ています。
「もうかる話」ほど銀行が乗りやすいわけではない
銀行融資は、株式投資とは違います。
会社が急成長して企業価値が何倍になっても、銀行が受け取るのは基本的に契約した元本と利息です。
一方、事業がうまくいかなければ、貸した資金を回収できなくなる可能性があります。
そのため、
「この新事業が成功すれば、3年後には売上が3倍になります」
と言われても、
「それなら、ぜひ融資しましょう」
と単純にはなりません。
むしろ、
「本当にそんなにうまくいくのか?」
と、その根拠を確認します。
銀行が急成長を嫌っているわけではありません。
成長率が高いほど、その計画に再現性があるのかを慎重に見るということです。
銀行が見るのは「その成長に再現性があるか」
例えば、前期売上1億円の会社が、今期1億5,000万円になるとします。
その理由が、
「今年だけ5,000万円の大型案件を受注した」
のであれば、銀行は、
「来期も同じ売上を維持できるのか?」
と考えます。
一方、
「既存取引先の単価改定で2,000万円、新規契約3社で3,000万円増える」
という説明なら、同じ5,000万円の増収でも見え方は変わります。
日本政策金融公庫も、創業計画について、
予想売上高に根拠があるか、過大な計画になっていないか、無理なく借入を返済できるか
をチェックポイントとしています。
大切なのは、
「売上が増える」という結果だけでなく、「なぜ増えるのか」を説明できること
です。
急成長すると、必要運転資金も増える
銀行がもう一つ確認したいのが、売上増加に伴う資金需要です。
例えば受注が増えれば、売上代金が入金される前に、
- 材料を仕入れる
- 外注費を支払う
- 在庫を確保する
といった支出が増えることがあります。
また、売上が増えれば売掛金も増える可能性があります。
一般に必要運転資金は、売掛金や在庫などから買掛金などを差し引いて考えます。
つまり「売掛金+在庫-買掛金」です。
つまり、売上が急増する計画なら、
「売上増加によって必要運転資金がどれだけ増えるのか」
まで考えておく必要があります。
これは、「銀行が不足分を追加で貸してくれる」という意味ではありません。
経営者自身が、成長に伴う資金需要まで把握したうえで計画を立てているか、ということです。
「右肩上がりの数字」より、解像度の高い根拠を示す
では、銀行に将来の売上を説明するとき、何が必要でしょうか。
「来期は30%伸びます」
だけでは、銀行にはその根拠が分かりません。
誰に、何を、いつから、いくらで、どれだけ売るから30%増えるのか
まで数字を分解することが必要です。
例えば、
「来期売上は1億5,000万円です」
ではなく、
「A社から4月以降、月200万円の追加受注が決まっているので年間2,400万円。
B社とは6月から月100万円程度の新規取引を予定しており、
既存売上と合わせて1億5,000万円程度を見込んでいます」
と説明する。
日本政策金融公庫の売上予測でも、
例えば飲食店なら客単価、客数、営業日数などに分解して売上を考える方法が示されています。
銀行に見せるのは、「夢の数字」ではなく「説明できる数字」です。
7W1Hなどを使って数字の解像度を上げれば、銀行への説明だけでなく、
「この売上は本当に実現できるのか」
「そのために必要な人員や資金はどのくらいか」
と、自社の計画を検証することにもつながります。
まとめ
売上が急成長することは、もちろん悪いことではありません。
ただし、
売上が急成長する=銀行評価も急上昇する
とは限りません。
銀行が知りたいのは、
「なぜ成長できるのか」
「その成長は続くのか」
「その結果、借入を返していけるのか」
ということです。
銀行に評価してもらうために、無理に右肩上がりの数字を作る必要はありません。
「成長します」と言うことより、
「なぜ成長できるのか」を解像度高く説明できること。
それが、銀行に事業計画を説明するときの大切なポイントです。
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