この記事で分かること
- メインバンクのシェアから分かること
- シェア首位の銀行が自社にも合うとは限らない理由
- 大手銀行では拾いきれないニーズ
- メインバンクとサブバンクの考え方
はじめに
2026年8月27日付の新潟日報に、新潟県内企業のメインバンク調査に関する記事が掲載されました。
東京商工リサーチ新潟支店がまとめた調査によると、
新潟県内企業2万8,040社のうち、第四北越銀行をメインバンクとする企業は1万7,767社でした。
シェアは63.36%です。
2位の大光銀行は13.17%、3位の新潟縣信用組合は4.23%、4位の三条信用金庫は3.32%となっています。
企業数で見れば、第四北越銀行の圧勝です。
では、新潟県内で事業をする会社は、シェア首位の銀行をメインバンクに選ばないと損なのでしょうか。
今回は、この調査結果から、中小企業のメインバンクの選び方について考えます。
※調査結果は、2026年8月27日付新潟日報の「2026年県内メインバンク調査」に関する記事を参照しています。
シェア63.36%が示しているもの
今回のシェアは、融資残高の割合ではありません。
東京商工リサーチの企業データベースから、各企業の最上位の取引金融機関をメインバンクとして集計したものです。
この数字から、第四北越銀行が新潟県内で幅広い企業と取引し、強い営業基盤を持っていることが分かります。
一方、シェアだけでは、
- どのような条件で融資を受けているか
- 担当者が会社の事業を理解しているか
- 経営者が対応に満足しているか
- 資金繰りが厳しいときに相談できるか
までは分かりません。
63.36%は、多くの企業がその銀行をメインバンクにしていることを示す数字です。
個々の会社にとって最適な銀行であることを示す数字ではありません。
「生存率50%」と同じ、マクロとミクロのギャップ
よく引き合いに出される話に、「生存率50%の病気」があります。
客観的なデータとして「生存率50%」と聞けば、
「半分の人は助かるのだから、自分も助かるかもしれない」
と考えるかもしれません。
しかし、その病気にかかった本人に起きる結果は、生き残るか、亡くなるかのどちらかです。
生き残れば100%。
亡くなれば0%です。
生存率は患者集団の平均的な数字であり、個々の例にそのまま当てはまるものではありません。
銀行のシェアも、これと似ています。
第四北越銀行をメインバンクにしている企業が63.36%だからといって、
現在、別の金融機関をメインバンクにしている会社まで、第四北越銀行へ切り替えるべきだという話ではありません。
多くの会社が選んでいることは、一つの安心材料にはなるでしょう。
しかし、それだけで自社にとって最適な金融機関とは判断できません。
会社によって、事業規模、必要とする融資額、銀行に求める役割、これまで築いてきた関係は異なります。
社長が向き合うべきなのは、県内全体の勢力図ではなく、
「それで、うちの会社にとってはどうなのか」
という問いではないでしょうか。
大手銀行だけでは拾いきれないニーズもある
大手銀行には、大きな資金需要への対応力や、店舗網、情報量、幅広い金融サービスなどの強みがあります。
一方、どれだけ大きな銀行でも、すべての会社に同じ濃度で人員と時間をかけることはできません。
銀行側も、融資額、企業規模、将来性、取引採算などを見ながら、限られた経営資源を配分します。
そのため、大手銀行では手が回らない細かなニーズを、別の地方銀行や信用金庫、信用組合がカバーしてくれることがあります。
小口の融資でも話を聞いてくれる。
定期的に会社を訪問してくれる。
社長の考えや、数字には表れにくい事業の強みまで理解してくれる。
そのような金融機関の方が、自社にとってありがたい存在かもしれません。
県内シェアでは小さくても、自社にとって頼りになる銀行なら、その存在は決して小さくありません。
【関連記事】
👉 信用金庫と地方銀行どっちを選ぶ?中小企業の融資・資金繰りに強い金融機関の見分け方
シェア首位の銀行を選ばないと損なのか
シェア首位の銀行を選ばないことが、損になるわけではありません。
反対に、「大きな銀行だから避ける」という考え方も違います。
金融庁の調査では、現在のメインバンクと取引を続ける理由として、
「取引金融機関として信頼できるから」が73%で最も多く、
「事業に理解があるから」が36%でした。
一方、「地域での評判、ブランド・イメージが良いから」は16%です。
多くの企業が、知名度よりも信頼関係や事業への理解を重視していることが分かります。
確認したいのは、
- 自社の事業を理解しているか
- 必要な資金額に対応できるか
- 資金ニーズに合った提案があるか
- いざというときに相談できるか
です。
その結果、シェア首位の銀行が最も合う会社もあれば、別の地方銀行や信用金庫、信用組合の方が合う会社もあります。
【関連記事】
メインバンク1行に依存しない
今のメインバンクとの関係が良好でも、1行だけに依存することにはリスクがあります。
銀行の融資方針や支店長が変われば、これまで受けられていた融資が難しくなることもあるからです。
メインバンクを中心にしながら、サブバンクとも関係をつくっておけば、資金調達の選択肢を残せます。
複数の金融機関から提案を受けることで、融資条件に適度な競争原理を働かせることもできます。
ただし、取引銀行を増やしすぎれば、1行当たりの取引が薄くなります。
大切なのは銀行の数ではなく、メインとサブの役割を決めることです。
【関連記事】
👉 銀行は何行と付き合うべき?中小企業の複数行取引の落とし穴と最適な数
シェア首位の銀行も次を見ている
県内シェア63.36%は、盤石にも見える数字です。
しかし、今回の調査で首位となった銀行も、県内の順位だけを見ているわけではありません。
第四北越フィナンシャルグループと群馬銀行は、2027年4月に「群馬新潟フィナンシャルグループ」を発足させる予定です。
両社は、経営の規模と質の両面で地方銀行トップクラスを目指し、持続可能なビジネスモデルを構築することを経営統合の目的に掲げています。
これは、現在の経営基盤が弱いからという話ではありません。
県内で圧倒的なシェアを持っていても、人口減少、「金利のある世界」への移行、デジタル化など、銀行を取り巻く環境は変化しています。
さらに視野を世界へ広げれば、日本経済の相対的な地位も変化しています。
シェア首位の銀行であっても、現在の地位にとどまらず、次の成長を模索しているのです。
だからこそ、基盤となる地元企業との関係強化にも、これまで以上に力を入れていくでしょう。
銀行自身が変わろうとしている中で、会社側だけが、
「昔からこの銀行だから」
「一番大きい銀行だから」
と思考を止めてよいわけではありません。
まとめ
シェア首位という数字は、その銀行の取引基盤の大きさを示します。
しかし、それだけで自社にとって最適なメインバンクかどうかは判断できません。
大手銀行では拾いきれない細かなニーズを、
別の地方銀行や信用金庫、信用組合がカバーしてくれる方が、
自社にとってありがたいこともあります。
最大手だから選ぶのでも、最大手だから避けるのでもありません。
自社を理解し、必要なときに相談できる金融機関かどうか。
その視点で、メインバンクとの付き合い方を考えてみましょう。
お問い合わせはこちら
「今のメインバンクが自社に合っているのか分からない」
「サブバンクとも取引した方がよいのか迷っている」
そのような場合、
当事務所では、決算書や借入状況、今後の資金需要を確認し、取引金融機関の構成や銀行への説明内容を整理するお手伝いをしています。
お気軽にお問い合わせください。
資金繰り表無料ダウンロード
WEB特典無料ダウンロードとして、「実績資金繰り表フォーマット」をダウンロードいただけます。
無料メルマガ登録のご案内
数字を見るのがちょっと気が重いな、という社長へ。
“お金のモヤモヤが少し軽くなる”メルマガをつくりました。
経営にまつわるお金の話を気軽に読める形で、週1回お届けします。