銀行の営業担当は、貴社や貴社の業界について腰を据えて勉強する時間が十分に取れません。そのため、融資先の状況を十分理解してもらい、稟議書にしっかり記載してもらえるよう、経営者が定期的に銀行へ「打ち込む」ことが効果的です。
銀行への表敬訪問
銀行も経営効率化が進む中で、1人の営業担当に任されている企業数が増えていることや、融資や預金といった伝統的な銀行業務以外にも投資信託や生命保険などの販売も手掛けるなどの事情もあり、昔のように銀行側から企業を訪問してくれる機会が減っています。
そこで、3か月に一度は銀行に来てもらうようお願いするか、企業の側から銀行を表敬訪問するべきです。その際は、試算表や資金繰り表などを持参し、出来れば銀行の支店長をはじめ、融資課長などにも挨拶しましょう。
[3か月に一度の定期報告で提出する資料]
①試算表(前月までの分)
②実績資金繰り表(前月までの分)
③損益計画書(向こう1年分)
④資金繰り計画書(向こう1年分)
⑤事業計画(定性情報)
ちなみに試算表とは、帳簿に記載されたすべての科目の借方、貸方の金額が記載され、各勘定科目の取引を記載した総勘定元帳が、仕訳帳から正確に転記されているかどうか確認するための集計表です。月次の試算表が翌月中旬には集計出来るような経理体制を構築しておくべきです。
融資のしやすさは、企業の情報量に比例すると言われています。定期的に事業報告をしておけば、銀行は次の融資申込みに予め備えておくことができ、融資が申し込まれたらスムーズに対応することが出来ます。
ただ、このように定期的な報告まで行っている会社は少ないのが実態です。それを逆手に取れば、しっかり定期報告をしてくれる会社は、銀行にとって信頼感を得られやすいとも言えます。
足元の経営状況(資金繰り実績)の報告と、今後の資金需要の事前アナウンスを行うことが、定期報告の目的です。
訪問は銀行側の都合も考慮
一方的に押しかけては、銀行側も迷惑です。きちんとアポイントを入れてから訪問します。銀行の営業担当は10時頃に外回りに出るため、その前の時間が都合が良いでしょう。難しければ15時以降窓口が閉まってからでもリクエストは可能です。
日程は銀行が忙しい以下の日は出来れば避けましょう。忙しい日に訪問すると、せっかく行っても時間を十分に取ってもらえず、会社からの説明を十分理解してもらうことが出来ません。
・月末、月末前日
・月曜日(週の初日)
・毎月の25日(給与などの振込が集中)
・毎月の5,10,15,20日
・水曜日(ノー時間デー)
決算書の報告
銀行は融資先企業には年1回、決算期の2か月後(法人税の納付期限は決算期の2か月後です)に、決算書の提出を求めます。
悪い内容の決算を報告すると印象が悪くなり、次の融資が受けられなくなるのではないか、と思いがちですが、隠すことなく、むしろ今後の対策とセットで持っていけば、前向きな印象を与えることが出来ます。
「人員を削減します」と約束したとしても、あとで社員を増やして事業を拡張することに変わった場合は、後日の報告でその旨を説明すれば大丈夫です。
支店長が聞いてくれるのであれば、会社アピール資料や経営計画(事業計画)もセットで説明しアピールした方が良いです。
あとは、決算書のハイライト情報(決算概要)があれば説明しやすいです。
年間の借入計画を銀行に提示
良好事例として、決算書の提出とともに、今後5年間の事業計画(5か年の損益計画と1年分の資金繰り計画)を提出している会社もあります。1年間の資金繰りの中で、どの銀行から、いつ、いくらの融資を受けたいという計画を盛り込みます。
<イメージ> 財務収支を銀行別に記載

あくまでも企業側が融資を受けたいという希望ではありますが、銀行側はどの時期にいくら融資してほしいのかが見える化されるため、もし融資をしてくれる可能性があれば、早い段階で準備に取り組めます。
逆に無理なのであれば、その時点で「無理です」と言ってもらえるので、融資を申し込んで断られるよりも企業側は次の一手を打ちやすいのです。
まとめ
銀行への定期訪問(表敬訪問)は、企業の事情をしっかり理解してもらうことが目的です。
融資のしやすさは、企業の情報量に比例すると言われています。定期的に事業報告をしておけば、銀行は次の融資申込みに予め備えておくことができ、融資が申し込まれたらスムーズに対応することが出来ます。
また、設備投資の時期などを理解してもらっていれば、銀行側から融資の提案をしてもらえる可能性もあります。
「銀行には用事がない。融資申込みの時だけしか銀行に行かない。」というのではなく、融資後も継続的な付き合いをすることが、良好な関係性構築のためには必要なことです。それにより、いざという時に、銀行が親身に相談に乗ってくれる体制が整うのです。
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