創業計画書とは
多くの個人事業主や開業間もない企業は、最初は日本政策金融公庫で融資を受けることとなります。「創業計画書」は、新たに事業を開始する際に作成が必要となる様式で、事業計画等を記入します。
「創業計画書」は、日本政策金融公庫の様式以外にも、銀行や信用保証協会の様式など様々なものがありますが、記載すべき内容はほぼ同じなので、本稿では日本政策金融公庫の「創業計画書」について説明いたします。
<日本政策金融公庫の創業計画書>


各項目の記載ポイント
「創業計画書」は、ただ提出すれば良いというものではなく、いい加減に記載すると、審査に落ちて融資を受けられないばかりか、すぐにリベンジ出来るものでもないため、半年~1年は待つことになります。
そのため、下記項目ごとのポイントに留意して記載しましょう。
創業の動機
創業への熱意や創業を志すまでの経緯を記載します。「収益性にひかれて」「前職で苦労したので」など、後ろ向きな動機は不可です。
これまでのキャリアとの関連性や、創業の準備状況、「〇〇という課題を解決したい」と言った熱意を記載します。

経営者の略歴等
担当した業務や役職、実績などのほか、身に着けた資格・スキルなどがあれば、それらについても記載します。また、スキルで得た人脈や、具体的な実績(リピート率〇%、年間〇人への施術など)もあれば記載します。欄が足りなければ別紙を添付しても良いです。

取扱商品・サービス
誰に、何を、いくらで販売するか、商品・サービスのセールスポイント、販売ターゲットに合った販売戦略、競合他社や市場について(店舗を出す場合は、近隣の状況について)調べて記載します。
抽象的にならないように、メニュー表などがあればそれを添付すると真剣さが伝わります。
世の中にまだない新しい商品やサービスの場合は、市場調査やアンケート調査などを行い、需要があることを証明します。

取引先・取引関係等
入金や支払いのタイミングなど、取引形態を記載します。

借入の状況
住宅ローンや自動車ローンについても、もれなく記載します。
消費者金融に借金がある場合は、不利になる可能性はありますが、正直に記載します。記載せずに後でバレたら大変です。

必要な資金と調達方法
見積金額が適切か、相場を調べたり、相見積もりを取得するなどして、検証します。事業開始後の運転資金(半年程度の赤字補てん資金など)についても検討します。
自己資金が少なく、借入依存の資金調達計画はNGです。一般的に借入額は自己資金の2~3倍と言われています。(例.自己資本200万円⇒借入金400~600万円)
「必要な資金」には、設備資金のほか、運転資金(毎月の諸経費の3か月分程度)も漏れないようにします。
最後、基本的なチェックとして、左側の「必要な資金」の合計と、右側の「調達の方法」の合計は一致します。

事業の見通し(月平均)
売上高や売上原価の予測は、積算値に基づく根拠あるものにします。
経費は漏れがないよう、丁寧に1つづつ拾います。リース料(賃借料)や、支払利息(概算利率2%で良い)、減価償却費なども漏れないようにします。
利益から借入の返済が可能な収支計画となっていなければ、お金を借りても返済出来ないということになるため、そもそも融資は下りません。
簡易キャッシュフロー(=経常利益+減価償却費ー法人税等) > 毎月の返済額

創業計画書セルフチェック | 日本政策金融公庫より一部引用
まとめ
創業融資を申し込む際に必ず書かなければならない「創業計画書」について解説いたしました。個人事業主や会社経営者として事業を立ち上げる場合、売上を獲得する前段階で、初期投資や当面の運転資金が必要になりますが、創業期はまだ信頼もなく、決算書もありません。
定量評価については、事業の見込みの確度をデータや調査結果を示して証明する必要がありますし、何より、創業者の熱意や真剣さ、事業の計画性などを伝え、「この人ならきちんと返済してくれる」と思って貰える「創業計画書」を作ることが大切です。
