社長の悩み
「うちの社員はレベルが低いから、経営計画を立てても社員に理解してもらえない。だから作っても意味がない。」とあきらめている社長は多いと思います。
計画的な経営を遂行するためには、融資申込時に限らず、経営計画の策定が経営上重要であることを理解している社長でも、一人で作成し完結させることは困難です。
社長が勝手に作った経営計画書では、社内は「笛吹けど踊らず」の状態となり、目標達が果たせない状況に陥ります。その原因は、策定するに当たり幹部や社員を巻き込んでいないため、単に上からの指示と受け止められ、幹部や社員らにとって達成へのモチベーションが上がらないことが原因です。
「銀行から経営改善を要請されて、この経営計画を達成出来ないと融資が下りない」
「このままではみんなの給料が払えないので、何とか達成してくれ」
などと社員に頼み込んでも、逆に不安に思わせることになり、離職者が増えることになりかねません。
経営計画書策定における各層の役割
中身のある経営計画書は、以下の手順で策定しなければなりません。
①会社のあるべき姿、ありたい姿(目標値)を設定する
②目標値に達するためのアクションプラン(どうやったら達成出来るのか)を策定
③アクションプランを実行した場合の財務状況の数値化
④あるべき姿に近づいているのかの確認
会社の規模にもよりますが、これらの各段階をすべて社長一人で策定し回していくのは、マンパワー的にも限界があります。また、これらの各工程で幹部や社員を巻き込むことで、彼らに当事者意識を持たせ、自ら腹落ちすることが重要です。
社長の役割
まずは社長が「ありたい目標値」として、目標キャッシュを決めます。上記①のステップです。
「設備投資の原資として500万円を貯めたい」「来期のボーナス支給のため1,000万円の原資を確保したい」などから逆算し、必要な売上目標、利益目標を決めて行きます。
数値を使うのが苦手な方は財務コンサルタントの力を借りても良いでしょう。
このように裏付けのある金額目標から経営計画が作られることで、社員が達成へのモチベーションを感じて、頑張れるようになります。
それとともに、社長は「商材戦略」や「顧客戦略」などを考えます。大元となる中期計画(中期ビジョン)、戦略、収支目標を策定し、金融機関や社員に対し説明する役割も社長が担います。
経営幹部の役割
経営幹部は、社長が策定した戦略、収支目標を「どのような方法で」「具体的に」「どのようなプロセス(過程)によって」というレベルに落とし込む役割を担います。上記②③のステップです。
日々社員とコミュニケーションを図り、現場のリアルな声や顧客の反応などを丁寧に吸い上げ、戦術策定に反映させることも重要です。
戦術がないと、社員は経営計画達成に向けて行動に移せません。単に「社員自らが頭を使って考えろ」というのでは社員は動きません。
なお、社長が担う「戦略」「収支目標」の策定と、経営幹部が担う「戦術」(方法論、具体論、プロセス)は、当然ながら地続きになっていなければならないため、社長が経営幹部を集めて経営会議の場で議論するというやり方で、ファシリテーターとして財務コンサルタントが入ることもあります。
社員の役割
社員は「戦術」として落とし込まれたアクションプランを実行する役割を担います。
社長から経営計画の大元となる中期計画(中期ビジョン)、戦略、収支目標の説明を受けて、達成に向けて具体的に行動していきます。
社員自身が経営計画を理解できるように、会社は社員に「考えてもらう仕組み」を整備するとともに、教育や研修を行っていくことが必要です。
社員が納得感を持てる経営計画
社員が腹落ちしていない経営計画は、「上から指示されただけの目標」「表立って嫌とは言えないので、やっているふりをする目標」になってしまいます。
本心としては「無理」「社長は現場を全然分かっていない」「頑張っても自分達に何の見返りが得られるのか」という気持ちです。
それではせっかく立てた経営計画も「自分達には関係ない」と思われてしまい、会社として目標達成は困難になります。
経営計画書の戦術となるアクションプランが、社員本人たちの具体的行動まで落とし込まれており、その達成によりどのような効果が得られるのか、社員一人一人が理解できるよう、社長がしっかり説明していくことが必要です。
上手い社長は「業務命令だからやれ!」と言うのではなく、「みんなで頑張って月売上〇〇円を達成すれば、〇〇になるからやってほしい」と、目的や動機付けをセットで伝えます。
そして「戦略」の策定に当たっては、会社の「強み」(ニッチニーズ、ニッチ市場開拓や、生産性向上に使える「具体的な経営資源・武器」)を伸ばした経営戦略を中心に立てていくべきです。
そのような「ポジティブ」な内容であれば、社員もモチベーションを持って取り組みことが出来ます。
どうしても「ネガティブ」な内容は、苦労が報われにくく、どうしても行動を起こしにくいものです。
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