お金が必要になったら
事業を行えば、当然資金が必要な場面はやってきます。
自己資金で足りない場合、資金調達の手段として真っ先に思い浮かぶのは、金融機関からの借入れとなりますが、それ以外にどのようなバリエーションがあるのかを事前に知っておくのは良いことです。
資金調達手段として主なものは以下の4つです。
①借りる
②資産売却
③出資を受ける
④その他
貸借対照表で見ると以下のような繋がりになります。

①借りる
4つの手段の中では最も現実的な方法です。
具体的には、
・ノンバンクからの借入
・親戚や知人からの借金
・社債(少人数私募債)発行による調達
・経営セーフティ共済の共済金借入
・小規模企業共済の貸付制度利用
・保険の契約者貸付制度の利用
などです。
「金融機関からの融資」が最もオーソドックスな手法で、目的に応じて「設備資金」と「運転資金」に分類されます。
「ノンバンクからの借入」は、借りやすい反面、無担保の場合、法定上限金利※ギリギリの水準と、金融機関に比べると高利です。
一方、銀行などで扱いにくい不動産担保融資専門などの専門性が高いものを扱っている場合があり、どうしでも資金が必要な場面では頼りになることがあります。
※法定上限金利
・元本の金額が10万円未満のときの上限金利
→ 年20%
・元本の金額が10万円以上から100万円未満のとき上限金利
→ 年18%
・元本の金額が100万円以上のときの上限金利
→ 年15%
なお、下記②の売却と似た借入れの契約形態として「譲渡担保契約」というものがあります。
これは、借入れをする際、不動産や機械装置などの所有権を債権者に譲渡しつつも、債務者がそのまま引き続き利用するすることができるというもので、借入金を弁済することで当該不動産や機械装置が返還されるという制度です。
②資産売却
保有資産(土地、建物、有価証券、機械装置、車両など)を売却・換金する方法です。取引市場があるものは売りやすく、特殊な機械装置や特殊車両などクセのある資産は、購入先を探してからの売却となります。
売却する資産は売掛金などの債権でも可能です。ファクタリングという手法は、入金日前の売掛債権を売却して、入金を早めるというもので、将来の入金の先食いです。
そのうえ手数料が高く、2社間ファクタリングの手数料の相場は債権額の8%~18%前後と言われています。
セールアンドリースバックは、最近注目されている資金調達の1つの手段です。
自社で所有している資産を売却(セール)し、所有権を移転した状態で買主から借り受け(リース)、当該資産を利用し続けることを言います。
自社の資産で資金調達が可能で、環境の変化がなく、毎月のコストが一定であるというメリットがありますが、資産売却額が割安で、リース料が割高というデメリットもあります。
③出資を受ける
株式を発行して出資金として投資してもらう手法ですが、中小零細企業の場合、よほど将来性が見込まれる会社でない限り、一般投資家に株式を購入してもらうことは困難で、現実的な方法ではありません。
仮に購入してもらっても、意図しない外部の株主が経営に関与することにもなりかねません。
出資を受けて資金調達をするとしたら、知人に株式を買ってもらうというシーンが考えられますが、出資は貸付金とは違って投資となるため、現実的には親子関係などに限られると思われます。
④その他
補助金や助成金は基本的に返済しなくてもよく、貰えるお金なので、制度を上手く使うことで、会社経営には大きなメリットになります。
しかし、原則事後払いであることから、補助事業を完遂するまでの間は補助金以外の資金を融資などで調達する必要があります。補助金の着金まで時間がかかるため、他の手法のように即効性がありません。
また、申請に当たっては、煩雑な書類作成や慣れない電子申請があるなど、本業を行いながらこれらをこなすことは決して簡単ではありません。
さらに、補助金の場合は審査があり、不採択となる場合もあります。
このほか、クラウドファンディングによる資金調達、保険を解約して返戻金を受けるなどの方法があります。
クラウドファンディングは、企業やプロジェクトを立ち上げた人に対し、不特定多数の人が、購入・寄付・金融といった形態で資金を供与する仕組みです。
クラウドファンディング手数料の相場は、調達額の10〜25%と言われています。
手数料が安いとプロジェクトの認知度および成功率が低くなる、サポート内容が少ないなどのデメリットがあります。
企業やプロジェクトに特徴がなければ、必要な資金を集めることは難しく、単にお金が足りないからという理由では効果が得られないでしょう。
保険を解約して返戻金を受け取る方法もありますが、解約後は必要なシーンで保証を受けられなくなるため、慎重に判断する必要があります。
まとめ
金融機関からの融資、もしくは親戚や知人からの借金などが一般的な資金調達手段ですが、それ以外の様々な手段を知っておくことで、不足する資金を賄える可能性が出てきます。
シーンによって現実的でないものもありますが、頭の体操として考えておくことは有意義なことです。
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