小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金(=持続化補助金)は、小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
持続化補助金は以下の類型に分類されます。(令和6年度補正予算・令和7年度当初予算関連)
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| 類型 | 要件 | 補助上限 | 補助率 | |
|---|---|---|---|---|
| 一般型 | 通常枠 | 経営計画を作成し販路開拓等に取り組む小規模事業者 | 50万円 | 2/3 |
| インボイス 特例 | 免税事業者から課税事業者に転換 | 補助上限 50万円上乗せ | ||
| 賃金引上げ 特例 | 補助事業終了時点で、事業場内最低賃金が申請時より+50円以上 | 補助上限 150万円上乗せ | 2/3 赤字事業者は3/4 | |
| 災害支援枠 | 令和6年能登半島地震等における被災小規模事業者 | 直接被害:200万円 間接被害:100万円 | 定額、2/3 | |
| 創業型 | 創業後3年以内の小規模事業者等が経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等を支援 | 200万円 ※インボイス特例は 適用 | 2/3 | |
| 協働・ 協業型 | 地域に根付いた企業の販路開拓を支援する機関が地域振興等機関となり、参画事業者である10以上の小規模事業者の販路開拓を支援 | 5,000万円 | 地域振興等機関に係る経費:定額 参画事業者に係る経費:2/3 | |
| ビジネスコミュニティ型 | 商工会・商工会議所の内部組織等 (青年部、女性部等) | 50万円、 2以上の補助対象者が共同で実施する場合は100万円 | 定額 | |
中小企業対策関連予算 | 中小企業庁「持続化補助金の概要」(令和7年3月11日更新)より引用
小規模事業者持続化補助金(一般形・通常枠)
小規模事業者等が自ら策定した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
補助事業者
従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5人以下、「サービス業のうち宿泊、娯楽業」「製造業その他」の場合20人以下である事業者が対象です。
会社および会社に準ずる営利法人や個人事業主、一定の要件を満たした特定非営利活動法人が対象ですが、医師、歯科医師、助産師、系統出荷による収入のみである個人農業者、一般社団法人、学校法人、申請時点で開業していない創業予定者などについては対象外です。
補助上限額
50万円(インボイス特例対象事業者は50万円の上乗せ、賃金引上げ特例対象事業者は150万円の上乗せ、両特例対象事業者は200万円の上乗せにより、最大250万円)です。
補助率
2/3
(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
対象経費
機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費
「広告費」は、チラシやパンフレットなどの作成や配布、看板設置などの費用を計上することが出来ます。
「ウェブサイト関連費」は、ホームページの新規作成やリニューアル、インターネット広告などの費用を計上することが出来ます。
なお、ウェブサイト関連費のみによる申請は出来ず、ほかの経費と一緒に申請しなければなりません。また、ウェブサイト関連費は、補助金交付申請額の1/4(最大 50 万円)が申請額の上限です。
公募期間(第17回公募)
公募要領公開:2025年3月4日(火)
申請受付開始:2025年5月1日(木)
申請受付締切:2025年6月13日(金)17:00 (予定は変更される場合あり)
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切:2025年6月3日(火)
→【参考】小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>ガイドブック
<今後の予定>
第18回公募:2025年9月開始 → 12月締切
第19回公募:2026年1月開始 → 3月締切
※本稿記載2025年4月16日現在
過去の採択率
採択率は、概ね60%程度で推移してきましたが、足もと第16回は40%未満となっており、低下傾向にあります。
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| 締切回 | 採択発表日 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|---|
| 第1回 | 令和2年5月22日 | 8,044 | 7,308 | 90.90% |
| 第2回 | 令和2年8月7日 | 19,154 | 12,478 | 65.10% |
| 第3回 | 令和3年1月22日 | 13,642 | 7,040 | 51.60% |
| 第4回 | 令和3年4月28日 | 16,126 | 7,128 | 44.20% |
| 第5回 | 令和3年8月31日 | 12,738 | 6,869 | 53.90% |
| 第6回 | 令和3年12月22日 | 9,914 | 6,846 | 69.10% |
| 第7回 | 令和4年4月27日 | 9,339 | 6,517 | 69.80% |
| 第8回 | 令和4年8月31日 | 11,279 | 7,098 | 62.90% |
| 第9回 | 令和4年11月25日 | 11,467 | 7,344 | 64.00% |
| 第10回 | 令和5年2月6日 | 9,844 | 6,248 | 63.50% |
| 第11回 | 令和5年4月27日 | 11,030 | 6,498 | 58.90% |
| 第12回 | 令和5年8月23日 | 13,373 | 7,438 | 55.60% |
| 第13回 | 令和5年11月27日 | 15,308 | 8,729 | 57.00% |
| 第14回 | 令和6年3月4日 | 13,597 | 8,497 | 62.50% |
| 第15回 | 令和6年6月5日 | 13,336 | 5,580 | 41.80% |
| 第16回 | 令和6年8月8日 | 7,371 | 2,741 | 37.20% |
事前準備から事業終了までの流れ

中小企業庁ホームページより
事業実施用の資金が必要
「事業実施」から「補助金の支払い」までの間は、補助金が入ってこないため、事業全体の資金を確保しなければなりません。
また、補助率は3分の2であるため、残り3分の1は自己資金もしくは調達が必要です。
補助対象経費の資金調達に活用できる無担保・無保証の融資制度としては、規模事業者経営改善資金(マル経融資)(限度額:2,000万円)などがあります。
規模事業者経営改善資金(マル経融資)は、小規模事業者が経営改善を図るために必要な資金を商工会議所の推薦により、日本政策金融公庫から、無担保・無保証人・低金利・保証料なしで融資を受けられる制度であり、信用保証協会の保証も不要です。
(注)小規模事業者がマル経融資を受けるには、原則6ヵ月以上、商工会議所の経営改善普及事業に基づく経営指導を受ける必要があります。
「経営計画書」「補助事業計画書」の出来がカギ
経営計画書
企業概要、顧客ニーズと市場動向、自社や自社の提供する商品・サービスの強み、経営方針・目標と今後のプランなどを記載します。
補助事業計画書
補助事業で行う事業名、販路開拓等の取組内容、補助事業の効果など、事業者がこれから何をするのか(すべきか)を記載します。
審査においてはこれらの出来が採択には重要となります。いずれもストーリー性、時系列、論理的構成を意識します。
キーワードとして、
「新規性」:今までとは異なる新たな取り組み(いつも行っていることへの追加として補助金を充てるなどはNG)
「独自性」:競合他社がやっていないことへの取り組み
「創意工夫」:経営者の努力や綿密や計画
「実現可能性」:きちんと実現できる事業(不可能な事業はNG)
を記載すると良いでしょう。
