銀行が融資を断る理由
融資を申し込んだのに断られたとしたら、以下の疑問に十分な説明が出来なかったからではないでしょうか。
・ちゃんと借りたお金が返せるのか
・そもそもなぜこの事業をやるのか
・必要なところ以外へお金が流れないか
・ほかの銀行に断られて来たのではないか（特にメインバンクでない場合）
・数値に根拠はあるのか
・計画が楽観的過ぎではないか、実現可能性はあるのか
などです。
こうした疑問に答えることが融資の実現には必要であり、企業側はこれらを意識して事業計画書を作っていくべきと言えます。
事業計画概要の記載内容
①事業計画概要
②損益計画（１～５年分）
③資金繰り表（１～２年分）
の３点セットにサマリとして表紙（事業計画書概要資料）を付けます。
このうち①事業計画概要に記載する項目および主な留意点は以下のとおりです。
これが前述の、銀行が持つ懸念の払しょくに繋がれば、銀行は融資に前向きに取り組んでくれます。
１．現在の経営状況・・・・足元の業績（定量情報含む）、課題や伸ばしたい分野
２．融資背景・・・・ポジティブな理由（赤字補填ではない）、成長への必要性
３．融資希望条件・・・・希望額や借入期間（資金繰り表をもとに）
４．資金使途・・・・設備投資や増加運転資金、金額の妥当性（借りられるだけ借りたいはＮＧ）
５．返済財源・・・・設備資金であればキャッシュフロー（経常利益＋減価償却費ー法人税等）が確保できることを損益計画で、運転資金の場合は資金繰り表で
６．今後の経営計画・・・・融資実行後によりどのような事業展開をするのか、それにより事業が軌道に乗るのか
事業計画書をもとに、担当者は銀行内部の融資稟議書を作成しますので、稟議書が通りやすいよう、材料を提供するつもりで作成しましょう。
事業計画書でチェックすべき項目
１．現在の経営状況
足元の業績を数字（試算表や決算書）をもとに説明できますか？
→足元の業績が良ければ「ちゃんと借りたお金が返せるのか」をここで説明することが出来ます。
目先で取り組んでいきたい課題や、伸ばしていきたい分野を説明できますか？
→「そもそもなぜこの事業をやるのか」の説明となるよう記載します。「これまでは」「今後は」という論建てが良いです。
２．融資背景
融資はポジティブな理由のものですか？（赤字補填ではなく、前向きな設備投資や増加運転資金、成長のための投資ですか？）
→赤字補填の場合には、その後の経営改善が見えていることが前提となります。
その投資が必要な理由は納得のいくものですか？
→「今後の〇〇支店の出店に伴い、採用教育費・広告宣伝費などの諸経費や、新たに必要となるマネージャー・スーパーバイザーの採用教育費などが発生するため、この度の運転資金借入を希望しております」など、融資を要する背景について具体的に記載します。
３．融資希望条件
借入金額や借入期間は資金繰りを元に説明できますか？
→融資希望額はいくらなのか、いつから借りたいのか、借入期間は何年で何回で返済するのか、返済資金はどのように捻出するのか、などを資金繰り予定表を裏付けとして記載します。
４．資金使途
資金の必要性は納得のいくものですか？
→「増店に伴う運転資金（人材採用、MGR育成のため）」など、具体的かつ妥当なものでなければなりません。「資金が必要なので、借りられるだけ借りたい」など、具体性のないものはＮＧです。
金額の妥当性は合理的に説明できますか？
→「初期在庫やフランチャイズ本部への追加費用、人材採用費用等のコストが合計〇〇万円発生する」「マネージャー職を１名採用したいと考えており、資金が月〇〇万円必要」など、具体的かつ合理的に記載します。
５．返済財源（融資効果）
融資を受けて事業を行うことで、損益がどうなるかを説明できますか？
→キャッシュフロー（経常利益＋減価償却費ー法人税等）が財源であるならば、それが確保できることを損益計画で説明します。
融資の返済財源は数字で説明できますか？
→設備資金であれば、毎月のキャッシュフローが返済額を上回っているのか、運転資金の場合は毎月の資金繰りが回るのかを資金繰り予定表で説明します。
６．今後の経営計画
融資後にどんなスケジュールでどんなことをやっていくか具体的に説明できますか？
→「〇月に〇〇支店をオープン」「新規設備は〇月に設置し、生産ラインを稼働」など、融資が実行された後の具体的スケジュールを記載します。
中長期的にどのような経営方針を目指していくか説明できますか？
→「今後は飲食事業を中心に、店舗展開を進めていきたい」「多店舗展開を加速させるための本部機能構築も図っていきたい」など、今後も引き続き支援が受けられるように、中長期的な経営方針を記載します。
まとめ
銀行が融資を断る理由は様々ありますが、その理由を銀行に出す事業計画書の中で潰していくことが必要です。
とくに、具体性や定量性を意識して事業計画書を作ることで、銀行内部の稟議書も通りやすくなり、融資実行の可能性が高まります。
事業計画書でチェックすべき項目を意識し、より解像度の高い事業計画書を作成するよう心掛けましょう。
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