銀行融資の可否を左右する「債務者区分」。
正常先から破綻先までのランク分けや、自己査定・格付け評価の流れをわかりやすく解説します。
新規融資を受けられる境界ラインや、銀行が実際にどのように評価しているのかを知りたい中小企業経営者必見の記事です。
<この記事でわかること>
- 銀行が行う「自己査定」と「債務者区分」の基本
- 各債務者区分(正常先~破綻先)の具体的な意味と境界ライン
- 新規融資を受けられる区分と受けられない区分の違い
- 銀行の格付け評価(三段階評価:定量・定性・潜在返済力)
- 債務者区分が融資判断に与える実務的な影響
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自己査定
バブル崩壊により、金融機関は不良債権を抱えることとなり、大きな社会問題になりました。
このような状況の中、平成10年以降、金融機関は、金融庁が当時定めた「金融検査マニュアル」に基づき、自己の融資先をランク付けするようになりました。
これがいわゆる「自己査定」であり、銀行にとって、自己の保有する資産(企業への貸付金)の内容を査定し、適切な引当金を計上する一連の手続きです。
金融検査マニュアルが廃止されても
昨今、国の方針が、金融機関の財務健全性確保の重視から、融資先企業の事業内容や将来性を適切に評価するという「事業性評価」に方向転換されたことを受け、「金融検査マニュアル」は令和元年12月に廃止されました。
それでもなお、多くの金融機関では、金融検査マニュアルに沿った「自己査定」が依然続いているのです。
平成10年に「金融検査マニュアル」が制定されてから令和元年の廃止まで20年にわたって続けられてきた「自己査定」からなかなか脱却出来ていないのが現時点での実態です。
債務者区分とその概要
自己査定では、融資先を貸倒れの引当率に応じて、以下ように区分します。
①正常先
業績が良好であり、かつ、財務内容も特段の問題がないと認められる債務者
②要注意先
金利減免、棚上げなどを行っているなど、貸出条件に問題のある債務者、元本返済もしくは利息支払いが事実上延滞しているものなど、履行状況に問題がある債務者の他、業況が低調ないしは不安定な債務者、または、財務内容に問題がある債務者など、今後の管理に注意を要する債務者
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③要管理先
要注意先のうち、3ヵ月以上滞納、または、貸付条件を緩和している債務者
④破綻懸念先
現状、経営破綻の状況にないが、経営難の状態にあり、経営改善計画の進捗が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が高いと認められる債務者
⑤実質破綻先
法的、形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど、実質的に経営難に陥っている債務者
⑥破綻先
法的、形式的な経営破綻の事実が発生している債務者
新規融資を受けることが可能な債務者区分は②要注意先までであり、③要管理先以下の企業は原則、新規融資を禁止されています。(上記「・・・・・・・・」が境界ライン)
自己査定における格付け評価
自己査定における格付け評価は3段階に分けられています。
一次評価(定量評価)
自己資本比率、債務償還年数、減価償却前営業利益など13の指標を点数化し、129点満点で評価。
二次評価(定性評価)
市場動向、経営者・経営方針、営業基盤など11の項目により、71点満点で評価(一次評価と合わせて200点満点)。決算書の数値に直接出てこない部分を銀行員の主観で評価することになっていますが、実務上はあまり力が入っておらず、余程のことがなければ点数は付きません。
三次評価(潜在返済力)
代表者の個人収支、資産余力、返済状況の実態で、ランクアップか維持かダウンかで再評価します。
ここで加点されれば債務者区分がランクアップされ、受けられなかった融資が受けられる可能性が出てきますので、数字で合理的に説明しましょう。
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