銀行からの借入れで設備投資
製造業や建設業、飲食業など、多くの業態では、設備投資を行う必要があります。
この場合、自己資金がよほど潤沢でない限り、通常は銀行からの融資(借入れ)で資金調達を行うケースがほとんどです。
融資は目的に応じて「設備資金」と「運転資金」に分類されますが、
融資資金の目的が設備投資であれば、運転資金で借入れることになります。
設備資金の特徴
・資金使途 ⇒ 特定の設備の購入(見積書の提出を求められる)
・返済期間 ⇒ 7~15年程度と長め
・返済財源 ⇒ キャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)
設備資金は資金使途が明確であるため、運転資金に比べれば銀行の理解を得やすいという特徴もあります。
設備投資を自己資金のみで行う場合
「手許にとりあえずその設備を購入する資金があるし、借入残高を増やしたくない」
という理由で、自己資金のみで設備投資をするという考え方があると思いますが、ほとんどの場合はお勧め出来ません。
なぜなら、手許のキャッシュを減らすことに繋がるためです。
仮に手許のキャッシュが1,000万円あって、800万円の設備投資を行う場合、手許のキャッシュは200万円にまで減ります。
利益が毎年100万円出ていたとして、800万円の設備投資なので、8年で手許のキャッシュは回復するのですが、毎年の利益100万円は確約されているものではありません。
手許のキャッシュが回復する前に、想定よりも売上が上がらず、キャッシュアウトの方が多かった場合は、一気に資金繰りが苦しくなってしまうおそれがあります。
そうなってから銀行に駆け込んでも、今度は設備資金ではなく、当座の運転資金としての申込みになってしまう上、「本当に返せるのか」との疑念を持たれる可能性もあるため、融資は難しくなってしまいます。
「キャッシュで買えるから」と一時の手許資金で判断してしまうのではなく、将来のリスクにも備えるためにも、手許資金はキープしておきたいところです。
リースによる設備投資はどうか
「リース取引」とは、
特定の物件の所有者たる貸手が、当該物件の借手に対し、合意された期間(「リース期間」という)にわたりこれを使用収益する権利を与え、
借手は、合意された使用料(「リース料」という)を貸手に支払う取引をいいます。
つまり、設備などの物件はリース会社が所有しており、借手となる企業がリース会社とリース期間にわたって設備を使用してリース料を払うというものです。
コピー機などはリース契約を結ぶケースが一般的です。
会社は初期投資をすることなく当該設備を確保することが出来ます。
設備購入資金を用意する必要がないことから、銀行融資は不要で、融資枠や信用保証協会の保証枠を温存することが出来ます。
設備購入のために自己資金をいっぺんに吐き出す必要もありません。
また、リース料は定額であるため、当該設備にかかる経費一式がパッケージとなっていて、管理がしやすいというメリットもあります。定額であるがゆえに、一度契約してしまえば、その後の金利上昇の影響も受けません。
<メリット>
・初期投資が不要
・融資枠や信用保証協会の保証枠を使わずに済む
・自己資金をいっぺんに減らさずに済む
・リース料が定額なので管理がしやすい
リースにはデメリットがある
リースは通常、リース会社が設備を購入し、リース期間中に貸手からリース料を徴収して資金を回収する契約です。
よって原則としてリース期間中の中途解約は出来ず、もし解約する場合は違約金が発生します。
仮にリース期間中に資金繰りが悪化して、リース料が払えない状況になった場合、融資のように借換えや複数融資の一本化による返済期間の長期化、あるいはリスケなどの調整は原則として出来ません。
リース料支払いが滞ると、リース会社に対して債務不履行の状態となるため、リース会社はリース物件を強制的に引き上げて売却換金することも考えられます。
銀行融資であれば、当該設備が担保資産になっていない限り、このような事態は倒産・残余財産の分配でない限り起こり得ないでしょう。
また、リース料には設備の取得価額相当に加え、税金、保険料、リース会社が調達した資金の支払利息、リース会社の利ざやなども含まれるため、自社で設備を取得する場合に比べ、割高になります。
リース資産は自社の所有物ではないため、リース期間満了後も使い続けたいのであれば、再リース料(当初のリース料の10分の1程度)を支払い続ける必要があります。なお、買取を認めるリース会社は少ないと言われています。
<デメリット>
・原則、中途解約は出来ない(中途解約には違約金がかかる)
・資金繰りが困難になってもリース料は調整出来ない
・リース料は取得する場合に比べ、割高に設定されている
・所有権がないため、満了後も使い続けたい場合にも再リース料の支払いが続く
まとめ
製造業や建設業、飲食業など、多くの業態では、設備投資を行う必要があります。
設備を確保するための手段としては、取得し所有するために銀行融資で設備資金として借り入れるのが一般的な考え方です。
融資を受けずに自己資金で支払ってしまう方法もありますが、資金繰り悪化のリスクがあるので、注意が必要です。
取得以外の方法として、リース契約をしてリース料を払い、設備を使用する手段もあります。融資枠を温存できるなどのメリットはありますが、トータルでは割高になります。
しかし一方で、資金繰りの平準化にはリース活用は有力な選択肢と言えるでしょう。
これらを考慮のうえ、自社の資金繰りにとって最適な設備投資となるよう検討しましょう。
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