はじめに
「ウチ、今期赤字なんだけど、銀行からお金を借りられるかな…?」
こんなお悩みをお持ちの社長は結構いらっしゃると思います。
結論から言うと、「赤字=即アウト」ではありません。
ただし、金融機関がチェックしているポイントを理解していないと、門前払いになることもあります。
本記事では、「赤字の会社が融資を受けられるケース・受けられないケース」について、中小企業の経営者の視点で分かりやすく解説していきます。
赤字でも融資が受けられるケースとは?
◆ 一過性の赤字である場合
- 例えば、大々的なキャンペーンによる一時的な広告宣伝費による赤字など。
- 「来期は黒字化できる見込みがある」と説明できると評価されやすい。
- 一過性の赤字の代表例は以下で具体化します。
◆ キャッシュフローがプラスである場合
- 「利益は出ていないけど、現金は残っている」=返済能力がある。
- 銀行はキャッシュフロー計算書を重視する。
◆ 今までの取引実績・信用がある場合
- 長年の付き合いや、これまでの返済履歴もプラス評価される。
- 赤字でも「信頼できる社長」と見なされれば、つなぎ融資などの可能性も。
一過性の赤字要因の例
一過性の赤字要因の例としては以下のようなものが考えられます。
1. 災害や事故による損失
• 地震・火災・水害などによる損失
• 工場や在庫の焼失・破損による特別損失
2. 固定資産の減損処理
• 資産の価値が大きく下がった場合に、減損損失を一括計上
• 将来キャッシュフローが見込めないと判断されたときの措置
3. リストラ関連費用
• 退職金の一時支給
• 解雇補償金
• 工場や拠点の閉鎖費用
4. 貸倒損失(回収不能な売掛金など)
• 特定の得意先の倒産により発生した損失
• 通常よりも大きな、異常値としての貸倒れ
5. 有価証券や投資の評価損
• 保有している株式の大幅下落による評価損(時価評価)
• 投資先の経営悪化による損失処理
6. 訴訟・和解金などの一時的損失
• 法的トラブルによる損害賠償や和解金の支払い
7. 税務調査や過年度修正による一時的支出
• 過年度の税金追徴や誤謬訂正による特別損失
一過性の赤字要因は、営業活動の実力とは切り離して考えるべきです。
こうした赤字が発生していても、経営の本質的な健全性を損なっていない可能性もあります。
一方で、これらが繰り返されている場合は「一過性」とは言えず、構造的な問題を疑う必要があります。
融資が難しくなるケース
◆ 恒常的な赤字体質
- 何年も赤字が続いていると、「改善の見込みなし」と判断される。
- 特に、収益構造に根本的な問題があると厳しい。
◆ 債務超過、特に2期連続は要注意
- 債務超過=資産より借金が多い状態。
- 2期連続の債務超過は「再建の見込みが薄い」と判断される。
それでも資金が必要なとき、社長ができること
◆ 銀行に「納得感のある説明」を用意する
- 「なぜ赤字になったのか」「いつ黒字化できるのか」「どう改善するのか」
- 数字とストーリーを合わせて説明する。
◆ 資金使途を明確にする
- 「運転資金」「仕入れ資金」「人件費補填」など、具体的に。
- 「とにかく資金繰りが苦しい」だけでは通らない。
◆ 政策金融公庫や保証協会付き融資を検討する
- 銀行が難しい場合、公的な資金調達ルートも視野に。
- 創業融資など、赤字でも申請可能な枠も存在。
まとめ
赤字でも、融資を受けられる可能性はあります。
ただし、「なぜ赤字なのか」「どう改善していくのか」を、社長自身の言葉で説明できるかがカギです。
銀行員は“数字”だけでなく、“人”を見ています。
経営の悩みはひとりで抱え込まず、まずは専門家や金融機関に相談してみましょう。
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