「返済がもう厳しい…リスケ(リスケジュール)って、いつ言い出せばいいのか?」
こんな不安を抱えている社長は少なくありません。ギリギリまで我慢して、いざというときに慌てて銀行に駆け込む…では、遅すぎます。
今回は、「リスケはいつ相談すべきか?」というテーマを中心に、「その前にやるべきこと」「リスケ後の注意点」「リスケが認められる条件」まで、わかりやすく解説します。
リスケの前にできることは?
リスケとは、銀行との間で融資の返済条件を変更することです。返済額の一時的な軽減や元本返済の据え置きなどが一般的です。ただし、リスケは信用に傷がつく行為でもあります。
だからこそ、リスケに踏み切る前に「他に打つ手がないか?」を冷静に検討することが重要です。主な対策は以下のとおりです。
① 支出の見直し(キャッシュアウト削減)
まずは「お金を出ていかせない」努力が必要です。
- 外注費の見直し
- オフィスや倉庫の縮小
- 不要な在庫の処分
- 社長の役員報酬の一時的なカット
- 経費の支払期限の交渉
これらは即効性のあるキャッシュ改善策です。
② 資金の追加調達(つなぎ融資・補助金等)
次に「お金を入れる手段」を探しましょう。
- つなぎの短期融資(既存借入ではなく新たな枠で)
- 既存の制度融資の追加活用
- 支援機関(商工会・信用保証協会等)への相談
- 補助金・助成金の申請
特に「返済不能ではないが、今だけ苦しい」ようなケースでは、つなぎ融資が有効です。
③ 売上回収の加速(キャッシュイン改善)
- 売掛金の回収サイト短縮交渉
- 不要資産(遊休設備・車両など)の売却
- 前払い・一括払いによる値引き提案
「売上はあるのにキャッシュが足りない」なら、資金の回転を速めることで乗り切れる場合もあります。
リスケしか手段がないと判断したら
それでも「どう考えても、今月末の返済資金が足りない」となったら、リスケを含めた抜本的な対策を考える必要があります。ここからはスピードと準備がすべてです。
① リスケ相談は「最低でも返済日の2~3週間前」に
銀行も社内稟議が必要です。月末の返済を止めたいなら、少なくとも2〜3週間前には相談が必要です。
直前すぎると「なぜもっと早く言わなかったのか」と不信感を持たれます。
② リスケ中は「キャッシュ重視の経営」へ
リスケに入ったら、利益よりもキャッシュを優先します。具体的には、
- 損益ではなく資金繰り表を毎週確認
- 入金と出金のタイミングを調整
- 必要最低限の支払いに絞る
- 粗利がしっかり確保できる案件だけ受注
“お金が残る経営”を徹底することが、生き残る鍵になります。
リスケを受け入れてもらうための条件とは?
銀行がリスケに応じるかどうかは、以下のポイントを見ています。
① 「早めの相談」
何度も強調しますが、これが最大の条件です。切羽詰まった状態で来られても、銀行としては動きにくいのが現実です。
② 「現実的な返済計画」
リスケ後の返済計画が甘すぎても厳しすぎてもダメです。
「当面は元金据え置きで利息のみ返済。半年後から少しずつ元本返済を再開」など、実現可能性のある提案を出しましょう。
③ 「経営改善計画の提出」
資金繰り改善の見通しを含めた「改善計画書」が求められることがあります。これは形式的なものではなく、「この会社は立ち直る見込みがある」と感じてもらう材料です。
第三者(税理士・専門家)によるアドバイスや添削があると、説得力が増します。
④ 「過去の信頼関係」
これまで誠実に返済してきた、報告や連絡を怠らなかった、という実績は大きな信用材料です。「返済できない」のは仕方なくても、「信頼を失う」行為をすると、その後の支援は難しくなります。
リスケのあとの選択肢も考えておく
リスケは「一時的な延命措置」です。根本的な業績回復が見込めないなら、第二第三の選択肢も必要です。
- 事業の一部売却や撤退
- M&A・事業承継
- 廃業の準備
現実的な方向を冷静に選ぶことも、社長の責任です。
まとめ:リスケは「準備と信頼」がすべて
リスケは、事業継続のための手段のひとつです。ただし、闇雲に申請しても通るわけではありません。
- リスケ前にできる対策を全部やっているか
- 早めに銀行へ相談しているか
- 信頼を損ねる行動をしていないか
- 現実的な返済計画を立てているか
これらの条件をクリアできれば、銀行も話に応じてくれます。
「厳しい時こそ、早めの一手」
これを忘れずに、万が一に備えておきましょう。
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