~社長が知っておきたい、銀行の見方とは~
「同じような売上なのに、うちは断られて、あの会社は融資が通ったらしい…」
そんな話を聞いて、納得できなかった経験はありませんか?
実は銀行の融資審査では、会社の業績だけでなく「業種」そのものが大きな判断材料になることがあります。
今回は、銀行がどんな業種を「融資に強い」と考え、どんな業種を「慎重に見るか」、そのポイントを中小企業の社長向けに分かりやすく解説します。
業種によって審査のハードルは変わる
銀行が融資を出すときに気にするのは、「ちゃんと返してもらえるかどうか」。
その見極めには、会社の財務内容だけでなく、業界全体のリスクも加味されます。
たとえば、「安定収益が見込める業種」と「景気の波を強く受ける業種」では、銀行の見方はまったく違ってきます。
融資審査に強い業種とは?
以下のような業種は、銀行から見て「安定していて貸しやすい」とされる傾向があります。
① 医療・介護・福祉関連
・高齢化社会の進展により、需要が右肩上がり
・保険制度で収益がある程度安定
・撤退リスクが少ない
② インフラ関連(電気・ガス・水道・通信など)
・公共性が高く、景気に左右されにくい
・独占的なビジネスモデルも多く、継続性がある
③ 食品製造・物流・スーパーなど生活必需業
・生活に欠かせない分野で需要が安定
・「コロナ禍でも売上が落ちなかった」ことで再評価された業種
④ 教育・保育業
・共働き世帯の増加によりニーズが上昇
・自治体の助成がある場合もあり、資金繰りが安定しやすい
⑤ 不動産賃貸(安定稼働している場合)
・家賃収入が安定的に入る
・担保価値が明確な不動産を保有している場合、融資判断がしやすい
融資審査に弱い(慎重に見られる)業種とは?
逆に、以下のような業種は「景気に左右されやすい」「利益率が低く資金繰りが厳しい」などの理由で、審査が慎重になります。
① 飲食・宿泊業
・コロナ禍での影響が大きく、業界全体の信用力が低下
・人件費や原価が高く、利益率が低め
・立地やオーナーの力量に左右されやすい
② 建設・土木業(小規模業者)
・元請け依存、下請け構造が強く、価格交渉力が弱い
・景気に大きく左右される
・工期遅れや回収トラブルで資金ショートのリスクあり
③ アパレル・小売業(特に個人経営)
・流行や天候、立地に左右されやすい
・在庫リスクが高い
・価格競争が激しく、粗利が取りづらい
④ IT・ベンチャー系(創業間もない企業)
・将来性はあるが、実績が乏しい場合は慎重に見られる
・技術はあるが、収益モデルがまだ不安定
・社長一人に依存している企業も多い
「弱い業種」でも融資を受けるには?
では、自社が上記の「慎重に見られる業種」に入っていたら、融資は絶望的なのでしょうか?
答えは「NO」です。
銀行が重視しているのは、あくまで“返済の見通し”です。
以下のような工夫で、信用を上げていくことができます。
● 数字で語る(売上・利益・資金繰りの説明)
→ 業種の特性ではなく、御社の経営の安定性を数字で示す
→ 税理士任せにせず、自分の言葉で説明できるようにしましょう
● 複数年の経営計画を見せる
→ 波がある業種でも「波の谷でどう乗り切るか」を見せる
→ 融資を返せる根拠を示すことが重要です
● 自己資金・保証・担保などの用意
→ 業種が弱くても、担保や代表者保証があると融資しやすくなる
→ 自己資金を投入する姿勢も銀行は評価します
最後に:業種は「弱さ」ではなく「特徴」
どの業種にも、強みと弱みがあります。
銀行が見ているのは「この業種だからダメ」ではなく、「この会社なら大丈夫かどうか」。
弱く見られがちな業種であっても、しっかり経営している会社には、銀行もきちんと耳を傾けてくれます。
社長自身が業界の特性を理解し、数字と未来を語る準備ができていれば、業種によるハンデは十分に乗り越えられるのです。
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