~利益が出ているのに資金ショート寸前!?~
「決算は黒字だったのに、なぜかお金が足りない・・・」
そんな経験、ありませんか?
帳簿上は利益が出ているのに、いざ資金繰り予定表を作ってみたら、数ヶ月後の繰越残高がマイナス。
つまり、このままでは資金ショートしてしまうという状況です。
黒字倒産という言葉もある通り、利益と資金繰りは必ずしも一致しません。
今回は、資金繰り予定表で繰越金がマイナスになった場合の考え方と対応策をわかりやすく解説します。
利益があるのにお金が足りない理由
まず、そもそもなぜ「黒字=資金に余裕がある」とは限らないのでしょうか。主な理由は以下の通りです。
- 売上は上がっているが、回収はまだ先(売掛金)
- 利益は出ているが、設備投資などで現金支出が発生している
- 借入金の元本返済が多い(これは損益計算書には出てこない)
- 在庫の増加によりキャッシュが社内に滞留している
これらはすべて「損益計算書には現れないが、現金を減らす要因」です。
だからこそ、利益が出ていても資金ショートが起こることがあるのです。
資金繰り予定表で見えてくる「未来の危機」
資金繰り予定表とは、月ごとの入金・出金を一覧にして、将来の資金残高をシミュレーションする表です。
これを使うと、3ヶ月後・6ヶ月後の資金繰りが「見える化」できます。
そして、ここで繰越金がマイナスになっていたら、それは資金ショートの危険信号。
ただし、逆に言えば早めにその兆候を知ることで、今から対策が打てるということです。
繰越金がマイナスのときの主な対応策
繰越金がマイナスになると、「お金が足りないのだから削るしかない」と思いがちですが、実際は“減らす”だけでなく“増やす”という視点も重要です。
以下に、代表的な対策を挙げます。
そして、これらを「いくら」やるのかをシミュレーションするのが資金繰り予定表の重要な役割です。
① 売上アップ(特に高粗利の商品を意識)
もっとも健全な解決策は、売上の増加です。
ただし、やみくもに売上を増やしても、利益率が低ければ資金繰りには貢献しません。
原価はそのままで、粗利率の高い商材・サービスを強化することがポイントです。
また、短期的には「すぐ現金化できる仕事を優先する」「入金サイトが短い顧客を重視する」といった視点も有効です。
② 借入を増やす(資金調達)
資金ショートのリスクが見えているなら、早めに金融機関に相談することが鉄則です。
資金がショートしてからでは、借りられる可能性が大きく下がります。
たとえば以下のような選択肢があります。
- 日本政策金融公庫の運転資金
- 信用保証協会付きの制度融資
- プロパー融資(メインバンクとの関係が良好な場合)
未来の資金不足に備えて、いまのうちに調達するのが理想です。
③ 借り換え・真水を入れて資金繰りの組み直し
「借入の返済で資金が苦しい」という場合には、既存の借入金を“借り直す”という方法もあります。
返済中の借入を、新たな借入で一旦完済して、返済期間を延ばして月々の返済額を抑えるのです。
これにより、毎月のキャッシュアウトが減り、資金繰りに余裕が生まれます。
ただし、これはあくまで資金繰りの延命策であって、抜本的な改善ではないので、売上改善や収支見直しとセットで行うべきです。
④ 支出のコントロール(固定費の見直し)
当たり前のことですが、支出を減らすことも資金ショート回避には有効です。
- サブスクや保守費用など、見直せる固定費はないか
- 人件費を一時的に抑えられないか(シフト調整など)
- 在庫の圧縮でキャッシュ回収できないか
これらの点検を一度行ってみましょう。
⑤ 資金繰り予定表を毎月更新する習慣をつける
対応策ではありませんが、根本的に重要なのが資金繰り予定表を「毎月更新」する習慣です。
1回作って終わりではなく、入出金実績や見込みが変われば、予定表も随時見直すことが必要です。
例えば、「今月は思ったより売上が伸びなかった」「税金の支払い時期が早まった」など、ズレは必ず起こります。
だからこそ、定期的な見直しが資金繰りの安定につながるのです。
まとめ:未来を読む力が、社長の武器になる
繰越金がマイナスになるというのは、決して経営者の失敗ではありません。
むしろ、資金繰り予定表を作って「危機が見えた」こと自体が、大きな一歩です。
経営には波があります。急な支出や売上の遅れは誰にでも起こり得ます。
重要なのは、その兆候を早く察知し、早く手を打てるかどうかです。
資金繰り予定表は、未来の資金の流れをシミュレーションできる「経営のレーダー」です。
資金繰り予定表に数値を仮で入れてみる。
足りるのか、足りないのか、いくら必要なのかを定量的に把握することで、経営が見える化するのです。
マイナスの予測が出たときこそ、社長の決断と行動が試されるタイミングです。
未来の資金ショートを防ぐために、いま、動き出しましょう。
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