~財務内容が劇的に改善する融資の正体~
「銀行から『自己資本が薄いですね』と言われた」
「赤字が続いていて、普通の融資が厳しいと言われた」
そんなときに活用されるのが「資本性劣後ローン」です。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は多くの中小企業が、経営改善や再生局面でこの資金を活用しています。
選択肢の一つとして、頭に入れておきましょう。
この記事では、資本性劣後ローンとは何か、どんなときに使えるのか、そしてそのメリット・デメリットを分かりやすく解説します。
そもそも「資本性劣後ローン」とは?
資本性劣後ローンとは、融資なのに“資本”と見なされる特殊な借入です。
通常、借入金は「負債」として扱われますが、このローンは一定の条件を満たすと、金融機関や外部評価機関(特に金融庁や格付機関など)から「自己資本」として評価されることがあります。
つまり、借金なのに財務上は自己資本に近い扱いになるという、非常にユニークな融資制度です。
どんな会社が使うのか?
→ 再生中、赤字、債務超過の企業にも道が開ける
資本性劣後ローンが使われるのは、主に次のような場面です。
- 債務超過に陥っており、普通の融資では通らない会社
- 赤字が続いていて、金融機関からの与信が難しくなっている会社
- 第二創業や業態転換、M&A後など、資本強化が求められる局面
- 再生支援協議会などの支援を受けて、立て直し中の会社
このローンは、「返済順位が劣後する」「契約期間が長い(通常5年以上)」などの要件を満たせば(銀行が飲んでくれれば)、銀行は“資本に近い”と評価できるため、債務超過の解消や財務健全性の回復に役立ちます。
決算書はどう変わる?
例えば、1,000万円の赤字で債務超過に陥っていた会社が、1,000万円の資本性劣後ローンを受けた場合、バランスシート上はこうなります。
Before(融資前)
資産:5,000万円
負債:6,000万円
純資産:▲1,000万円(債務超過)
After(融資後)
資産:6,000万円
負債:6,000万円(うち1,000万円は“資本性劣後ローン”)
純資産:0円(債務超過解消)
さらに、日本政策金融公庫や金融機関の評価では、この1,000万円は「実質的に自己資本」とみなされることが多く、債務超過が解消され、信用格付けも向上する可能性があります。
資本性劣後ローンのメリット
1.債務超過の解消に使える
→ 他の金融機関からの融資が受けやすくなる。
2.実質的に資本と評価される
→ 財務格付が改善し、経営改善計画に現実味が出る。
3.返済が柔軟で、期末の資金繰りに余裕
→ 多くは「期日一括償還」「据置期間5年以上」など長期的視点で設計されている。
4.公的支援との併用が可能
→ 再生支援協議会、認定支援機関との連携がスムーズ。
デメリットや注意点は?
もちろん万能ではありません。主なデメリットも押さえておきましょう。
1.金利がやや高め
→ 通常の借入よりリスクが高いため、利率は年2〜5%程度とやや高くなる傾向があります。
2.普通の融資とは異なる審査視点
→ 財務以外にも「再生可能性」「事業計画の実現性」が厳しく見られます。
3.最終的には返済義務がある
→ 自己資本のように見えるが、あくまで借金であり、将来的には返済が必要です。
4.融資実行までの手間が多い
→ 認定支援機関による計画策定が必要な場合もあり、準備に時間がかかることもあります。
地銀や信用金庫でも使える?
地銀・信用金庫・日本政策金融公庫のいずれでも対応可能です。
ただし、取り扱いの有無や積極性は金融機関ごとに差があります。
特に信用金庫の場合は、融資実績や地元企業支援の観点から、前向きに取り組んでいるケースも多く見られます。
また、日本政策金融公庫には専用の「挑戦支援資本強化特例制度」などもあり、再生局面の企業を公的に後押ししています。
まとめ:再起のチャンスをつかむ武器
資本性劣後ローンは、「もう融資が難しい」とあきらめかけた会社にとっても、もう一度立ち直るための有効な選択肢になります。
自己資本の強化=財務改善だけでなく、その後の新規融資の道も開きます。
もしあなたの会社が、債務超過・赤字・資本不足に悩んでいるなら、ぜひ一度、顧問税理士や認定支援機関、あるいは地元の信用金庫に相談してみてください。
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