中小企業が融資を受けたり、預金口座を持つ金融機関には、銀行、信用金庫、信用組合、日本政策金融公庫などがあります。中小企業は、自社の年商や規模感にマッチした金融機関を選び、末永く付き合っていくことが必要です。以下、それぞれの特徴について記載します。
銀行(メガバンク)
みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行の3行がいわゆるメガバンクです。主に大企業を顧客としており、中小企業には融資を出さない傾向があります。業績が良ければ無担保プロパーですぐに融資してくれて、かつ金利は低めではありますが、業績が悪い場合はドライな対応を取ってくる傾向にあります。
ちなみに、りそな銀行は自らを「メガバンクグループに次ぐ日本で第4位の金融グループ」と紹介しており、自身をメガバンクとは位置づけていません。
銀行(地方銀行)
新潟県では第四北越銀行、大光銀行です。
第四北越銀行は、新潟市に拠点を置く第四銀行と長岡市に拠点を置く北越銀行が合併し、2021年1月1日に発足しました。2025年2月10日現在、203店舗(新潟県内 189、新潟県外14)となっています。2022年3月末時点での貸出金残高 は5兆1,305億円、預金残高 は8兆2,293億円。
大光銀行は、長岡市に本店を置く第二地銀で、本店を置く新潟県内では、第四北越銀行に次いで2番目のメインバンク社数を有します。2024年3月31日現在、店舗数は、71店舗(新潟県内62、新潟県外8、インターネット支店1)、貸出金残高 は1兆1,484億円、預金残高は1兆4,378億円。
以前は取引先回りなどを盛んにおこなっていましたが、今は合理化の一環で銀行側からの定期訪問は減少しています。また、店舗統合やATM設置数の合理化なども進んでいます。
信用金庫・信用組合
2024年3月現在、新潟県内には信用金庫は9行、信用組合は8組合あります。
| 信用金庫 | 貸出金残高(2024年3月) | 預金残高(2024年3月) |
|---|---|---|
| 三条信用金庫 | 229億円 | 485億円 |
| 新潟信用金庫 | 153億円 | 309億円 |
| 上越信用金庫 | 72億円 | 220億円 |
| 長岡信用金庫 | 89億円 | 219億円 |
| 新井信用金庫 | 42億円 | 115億円 |
| 柏崎信用金庫 | 47億円 | 101億円 |
| 新発田信用金庫 | 38億円 | 87億円 |
| 村上信用金庫 | 38億円 | 86億円 |
| 加茂信用金庫 | 31億円 | 80億円 |
| 信用組合 | 貸出金残高(2024年3月) | 預金残高(2024年3月) |
|---|---|---|
| 新潟県信用組合 | 182億円 | 430億円 |
| 協栄信用組合 | 81億円 | 175億円 |
| はばたき信用組合 | 84億円 | 160億円 |
| 糸魚川信用組合 | 27億円 | 69億円 |
| 巻信用組合 | 22億円 | 65億円 |
| 新潟大栄信用組合 | 16億円 | 57億円 |
| ゆきぐに信用組合 | 21億円 | 38億円 |
| 興栄信用組合 | 10億円 | 25億円 |
信用金庫の融資の対象事業所は、信用金庫の地域内における、従業員300人以下または資本金9億円以下の中小事業者です。会社の規模が大きくなり対象範囲を外れると、信用金庫からの融資は受けられなくなりますが、一定期間に限り「卒業生金融」という制度のもとでの継続は可能です。
信用組合は、信用金庫よりもさらに規模が小さく、営業地域は狭くなります。組合員の出資による共同組織の非営利法人であり、組合員になることが出来る小規模事業者は、従業員300人以下または資本金3億円以下の事業者(卸売業は100人または1億円、小売業は50人または5千万円、サービス業は100人または5千万円)です。
信用金庫・信用組合のメリットは、小規模の融資にも対応しており、取引先企業を定期訪問をするなど、身近できめ細やかなサービスをしてくれる点です。メガバンクや地銀よりも金利は高めにはなりますが、本当に困った際、企業の定性面にも寄り添った対応をしてくれる傾向にあります。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は公的な金融機関であり、
①政府が100%出資する株式会社(政府系金融機関)であり、融資の原資は財政投融資や国の一般会計
②「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3つの事業を行っている
③保管金融(一般の金融機関が行う金融を補完)
④預金業務を行わない
⑤信用保証協会の保証付き融資はない
⑥銀行などの民間金融機関のプロパー融資より金利が低く固定金利
などの特徴があります。
公的金融機関であるため、民間の金融機関の業務を圧迫しないよう、あくまで補完的な立場で融資を行っています。そのため、融資先が事業規模を拡大するにつれ、借入シェアはやがて低下し、その代わりに信用金庫・信用組合・地方銀行が中心になっていくことになります。
まとめ
金融機関と融資先との関係は対等でなければなりません。そのためにも、身の丈にあった金融機関と付き合う、金利面だけで単純な判断をせず中長期的な関係性も考慮する、といったスタンスが必要です。そしてメイン1行に偏りすぎず、2~3行でバランスよく融資を受けることが大切です。そうすれば仮に1行に断られても、まだ融資をお願い出来る選択肢が残るからです。
