資金繰りに困ったときに経営者が取るべき行動を5つのステップで解説。
現状把握から自助努力、収入確保、事業計画書作成と銀行交渉、施策実行・モニタリングまで、実務に即した流れを紹介します。
はじめに
こんにちは。中小企業の財務コンサルタントを専門とする行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「資金繰りが厳しい、もうすぐ現金が尽きるかもしれない…」
中小企業の経営者であれば、誰しも一度は直面する悩みです。
このとき、多くの経営者がまっ先に銀行に駆け込みます。
しかし、実はこれが失敗の原因になりやすいのです。
銀行は「ただ困っているから貸してほしい」という要望には応じません。
必要なのは「現状をどう把握し、どのような改善策を講じ、将来どう返済していくのか」という合理的な説明です。
この記事では、資金繰りに困ったときに経営者が踏むべき打ち手を、5つのステップに整理して解説します。
① 現状把握(資金繰り表で危機の深さを把握)
まずやるべきは「現状を数字で掴むこと」です。
売掛金の入金予定、買掛金の支払、借入金の返済スケジュールを洗い出し、資金繰り表(日繰り・月繰り)を作成します。
- いつ現金残高がマイナスになるのか?
- その金額はいくらなのか?
これを明確にすることで、初めて「どれだけ急を要するのか」が分かります。
ここを曖昧にしたまま銀行に行っても、「具体性がない」と判断され、交渉が進みません。
② 自助努力(コスト削減・資産売却)
現状を把握したら、次に「自分たちでできる改善策」に着手します。
- 固定費削減:役員報酬のカット、賃料交渉、外注費の見直し
- 変動費見直し:仕入条件の改善、不要な発注の抑制
- 資産売却:遊休資産や余剰在庫の処分、社長貸付金の回収
これらは即効性に限界があるかもしれません。
しかし重要なのは「自助努力をやっている」という姿勢です。
銀行は「経営者自身がどれだけ汗をかいたか」を重視します。
ここを飛ばしてしまうと、「銀行頼みの姿勢」と見なされ、信用を落とすリスクがあります。
③ 収入確保(売上アップの具体策)
コスト削減だけでは会社は前に進みません。
次に考えるべきは「収入の確保」です。
- 在庫セールやキャンペーンを実施して、短期でキャッシュを生む
- 取引先に前受金や早期入金を依頼する
- 新たなサービスや追加メニューを販売する
売上改善は時間がかかる面もありますが、銀行にとっては「将来の返済原資がどう生まれるのか」を示す重要な要素です。
将来の収入増加の見込みが見えなければ、金融機関は動きません。
④ 事業計画書作成 → 銀行交渉
①〜③で整理した内容を「事業計画書」に落とし込みます。
- 現状分析:資金繰り表に基づく不足額と時期
- 改善施策:コスト削減・収入確保の具体策
- 将来計画:損益計画・資金繰り計画(3年程度)
- 要望内容:返済条件変更、期間延長、新規融資の合理性
この事業計画書が、銀行稟議のベースになります。
「口頭で説明」ではなく「数字で示す」ことが、銀行交渉成功の鍵です。
銀行は「返済可能性」を最重視します。
経営者の思いだけでなく、数字で裏付けられた計画を示すことが不可欠です。
⑤ 施策実行 → モニタリング
銀行との交渉がまとまり資金繰りが一息ついたら、いよいよ施策を実行に移します。
ここで大切なのは「やりっぱなしにしないこと」です。
- 月次で資金繰り表を更新し、実績と計画を比較する
- 効果が出ていない施策は早めに修正する
- 銀行にも定期的に報告して信頼を積み重ねる
金融機関は「一度支援したら終わり」ではなく、経営者がその後どう動いているかを見ています。
モニタリングを怠ると、次の支援に繋がらなくなります。
まとめ
資金繰りに困ったときに大切なのは、焦って銀行に駆け込むのではなく、順序立てて動くことです。
- 現状把握(資金繰り表で危機を数字で確認)
- 自助努力(コスト削減・資産売却)
- 収入確保(売上アップの具体策)
- 事業計画書作成 → 銀行交渉
- 施策実行 → モニタリング
この5つの流れを押さえることで、銀行交渉もスムーズになり、資金繰り改善の可能性は大きく高まります。
資金繰りは「行き当たりばったり」では乗り切れません。
冷静に順番を踏んで、一歩ずつ改善を進めていきましょう。
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