中小企業が活用しやすい「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「省力化投資補助金」を、目的・対象・補助率・準備のコツまで徹底整理。
締切から逆算する準備術やチェックリスト、よくある落とし穴も解説します。
はじめに
こんにちは、財務コンサルタントの本間です。
「補助金って結局どれを選べばいいの?」という疑問をお持ちの経営者は多いと思います。
補助金は“知っているかどうか”と“準備の早さ”で結果が大きく変わる制度です。
今回は、現場で特に使われることの多い4つの主要補助金
- ものづくり補助金(新製品・新サービス開発/プロセス革新)
- 小規模事業者持続化補助金(販路開拓・生産性向上)
- IT導入補助金(業務効率化・DX・セキュリティ)
- 省力化投資補助金(自動化・ロボット・省人化)
の使い分けと、準備・スケジュールの勘所をコンパクトにまとめます。
具体的な日程や金額の細目は年度で更新されるため、実申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。
ものづくり補助金(ものづくり商業サービス生産性向上促進補助金)
目的
中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた、新製品・新サービスの開発に必要な設備投資などを支援することです。
特に革新性(新しいものを作っていくという姿勢)が求められ、単なる古い機材の買い替えには利用できません。
対象者
日本の中小企業が対象です。製造業だけでなく、商業やサービス業も対象となります。
申請要件・留意点
• 革新性が問われます。これまでの事業で使っていた機材の老朽化による買い替えは補助金の対象外です。
• 申請には、定性的・定量的情報を用いて具体的理由や根拠を示しながら詳細に記載した事業計画書の作成が求められます。
客観的なデータや説得力を持たせることが重要で、作成には時間(できれば1〜2ヶ月ほど)をかける必要があります。
• 補助上限額は従業員の規模により異なります。
◦ 製品・サービス高付加価値化枠の場合(補助率:小規模事業者 2/3、中小企業 1/2):
▪ 5人以下:750万円
▪ 6〜20人:1,000万円
▪ 21〜50人:1,500万円
▪ 51人以上:2,500万円
◦ グローバル枠の場合(補助率・従業員規模の制限なし):3,000万円まで。
小規模事業者持続化補助金
目的
小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とし、持続的な経営に向けた経営計画に基づき、販路開拓に取り組む姿勢を支援します。
対象者
小規模事業者等
申請要件・留意点
• 販路開拓への取り組みが支援の核となります。
• 主な対象経費は、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会・旅費、新商品開発費、賃料、委託料、外注費などです。
• 【通常枠】
◦ 補助上限は50万円ですが、インボイス特例(+50万円)や賃上げ特例(+150万円)を利用すると、最大250万円まで補助上限が上がります。
◦ 補助率は2/3です。
• 【創業枠】
◦ 創業後3年以内の方が対象となります。
◦ 補助上限は特例なしで200万円です。インボイス特例(+50万円)を利用すると、最大250万円まで補助を受けられます。
◦ 特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書の写しが事前に必要になります。
• 申請にあたり、事前に商工会や商工会議所に依頼し、**事業支援計画書(様式4)**の交付を受ける必要があります。
この依頼の締め切りが別途設定されているため、早めの行動(遅くとも5月中旬頃から事業計画の準備開始)が重要です。
• 採択率は比較的高い傾向にあります(令和5年以前では6〜7割)。
IT導入補助金
目的
業務の効率化やDX(デジタル・トランスフォーメーション)の促進、セキュリティ対策といった取り組みに向けたITツールの導入費用を支援することです。
対象者
ITツールの導入を検討している事業者。
申請要件・留意点
• この補助金は**「カタログ型」**と呼ばれ、事業計画書は基本的に不要(あっても形式的なもの)です。
• 申請方法が独特で、申請者が支援事業者(ITツールを制作した会社や販売業者など)と共同で申請を行います。
• 補助申請ができるのは、IT導入補助金の公式サイトに登録されているITツールのみです。
• 事前準備として、セキュリティアクション宣言が必要です。宣言の申請から証明が出るまでに約1週間かかるため、早めの準備が必要です。
• 採択率が非常に高い(通常8〜9割程度)傾向にあります。
• 【通常枠】:登録されたITツールのみが対象となります。
• 【インボイス枠】:登録されたツールに加え、パソコンやタブレットといったハードウェアの購入費用にも充てることができます。
• 補助金を受け取った後、3年間にわたり効果報告を行う義務があります(他の補助金に比べて手間がかかる点として注意が必要です)。
4. 省力化投資補助金
目的
ロボットや機械といったものを購入し、事業の省力化を進める投資を支援します。
対象者
ロボットや機械の購入を検討している事業者。
申請要件・留意点
この補助金には主にカタログ注文型と一般型の2つの型があります。
• 【カタログ注文型】
◦ 補助率は1/2以下、補助上限は最大1,500万円です。
◦ IT導入補助金と同様に「カタログ型」ですが、こちらはメーカーのみが登録事業者となっています。
◦ 随時募集されており、特定の締め切りはなく、好きなタイミングで申請できます。
• 【一般型】
◦ 新しく追加された型で、オーダーメイドで機材を投入したい場合に申請する形式です。
◦ 補助率は中小企業が1/2、小規模事業者や事業再生を行う場合は2/3です。
◦ 補助上限額は最大1億円となっています。
ご相談はこちらから
相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
