銀行融資で特に重視される「自己資本比率」「債務償還年数」「インタレスト・カバレッジ・レシオ」。
では実際に何をすれば改善できるのか?中小企業の社長が明日から取り組める実務的な改善策をストーリー調で解説します。
この記事でわかること
- 銀行が特に重視する3つの財務指標の意味と背景
- 各指標を改善するために社長が現場で取れる具体的アクション
- 銀行に「努力が伝わる」見せ方の工夫
- 明日からできる改善の第一歩
はじめに ― 「数字を良くしたいけれど、どうすれば?」
銀行が融資審査の際に決算書で見る数字は数多くあります。
その中でも、自己資本比率・債務償還年数・インタレスト・カバレッジ・レシオの3つは、特に重視される項目です。
「この数字が良ければ加点される」と頭では理解していても、いざ社長の立場になると「では具体的に何をすれば良いのか?」という疑問が残ります。
今回は、この3つの指標をどう改善していけばよいのか、実際にあった企業の取り組みを交えながら、実務に即した形で整理してみます。
自己資本比率 ― 「赤字でもうちの財務体質は強いのか?」
銀行がまず気にするのは「倒産のしにくさ」です。
自己資本比率は、会社がどれだけ自前の資本で経営を支えているかを示す数字。
高ければ高いほど、安定した会社と評価されます。
ある製造業の社長は、毎年決算前に節税を優先し、利益を極力圧縮していました。
税金は減りましたが、内部留保は一向に積み上がらず、自己資本比率はいつまで経っても低いまま。
銀行からの評価は「体力不足」とされていました。
そこで方針を転換。
「一部は税金を払ってでも会社に残す」意思決定を行い、数年後には比率が大きく改善。
銀行担当者の見る目が変わり、新しい融資の提案も積極的に受けられるようになったのです。
教訓:自己資本比率は社長の意思決定でしか改善できない。 節税と資本充実のバランスを考えることが第一歩です。
債務償還年数 ― 「返済に何年かかるのか?」
銀行にとって最も大事なのは「貸したお金が返ってくるかどうか」。
その実現可能性を測るのが債務償還年数です。利益を返済原資と見立て、借入金を返すのに何年かかるかを示します。
ある企業は多額の借入金を抱えていましたが、利益が伸びず、債務償還年数は20年超という厳しい数字。
銀行は「このままでは返済が難しい」と判断していました。
そこで社長は返済条件の見直しを交渉。
期間を延長し、毎年の返済額を減らすことで、債務償還年数は大幅に改善しました。
その間に設備投資で効率化を進め、本業利益も徐々に増やしていきました。
教訓:銀行は「返済年数」を冷静に計算しています。返済条件の交渉と利益増加の両面で改善を狙うことが大切です。
インタレスト・カバレッジ・レシオ ― 「利息を払う余力は十分か?」
利息負担は経営者からすると「大した金額ではない」と思われがちです。
しかし銀行は、利益が利息を何倍カバーできるか(インタレスト・カバレッジ)をシビアに見ています。
営業利益が小さければ、わずかな利息でも大きな負担に見えるのです。
ある商社では、粗利率が低く利益が思うように残っていませんでした。
銀行からは「利息負担が重い」と判断され、融資条件も厳しくなっていました。
そこで社長はまず在庫処分と固定費削減に取り組み、営業利益を押し上げました。
その結果、インタレスト・カバレッジ・レシオが改善し、銀行からの評価が上昇。
さらには金利引き下げの提案まで受けるようになったのです。
教訓:レシオ改善は「利益率の底上げ」と「金利交渉」で進められる。利息は絶対額ではなく“余力”で判断されると理解しましょう。
銀行が評価するのは「数字」だけではない
ここまで3つの指標の改善策を紹介しましたが、銀行は数字だけを見ているわけではありません。
むしろ「数字を良くするために、どんな努力をしているか」を強く評価します。
例えば、資金繰り表を毎月きちんと作成し、銀行に提出している会社。
たとえ数字が完璧でなくても、「改善に向けて動いている」と伝われば評価は上がります。
一方で、決算書を丸投げするだけの会社は、銀行から「本気度が低い」と判断されてしまいます。
教訓:銀行は“数字そのもの”と“改善努力の姿勢”をセットで見ている。
まとめ ― 今日からできる一歩
- 自己資本比率 → 利益を残す意思決定を
- 債務償還年数 → 返済年数の交渉と利益改善を
- インタレスト・カバレッジ・レシオ → 利益率の底上げと金利負担の見直しを
- そして、数字改善の努力を銀行に「見える化」することが肝心
会社の財務指標は、決して一夜で改善するものではありません。
しかし、方向性をつかみ、一歩を踏み出せば、確実に変わっていきます。
「うちの会社の数字は大丈夫だろうか?」と感じた方は、まずは現状の数値を診断してみませんか?
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