資金繰り表の必要性
決算書には、会社の財政状態を表す「貸借対照表」や、経営成績を表す「損益計算書」がありますが、キャッシュの出入りを管理する「資金繰り表」は中小企業では作成は義務付けられていません。
そのため、多くの中小企業では資金繰り管理が出来ておらず、自社のお金の増減の実績や、今後の予定が見える化出来ていません。
「資金繰り表」とは、過去及び今後の資金収支内訳が記録された一覧表で、資金繰り表を作ることで当面の財務の状況が明確になり、資金不足等のトラブルを未然に防ぐことが出来ます。
金融機関から融資を受けると、直近6か月程度の資金繰り表や、今後1年程度の資金繰り予定表の提出を求められることがあります。
銀行にとって資金繰り表は、貸したお金が返ってくることを検証するための重要な資料となるため、融資のためだけに実態と離れた適当なものを作ってしまうと、銀行側の心証が悪くなり、その結果融資を受けにくくなります。
損益ベースの決算対策に熱心に取り組み、経常利益を増やすことは、とても大切なことです。
一方で、その増加分以上に長期融資の残高が増えてもよいという訳ではありません。
こうした企業は売上と利益が増加しても、借入金の返済に追われる結果、資金繰りがマイナス(資金流出)に陥り、黒字倒産する危険性があります。
このように、資金繰り表は、融資を受けるため銀行へ提出する重要な資料として、また自社の経営管理資料として、必須の財務資料と言えます。
資金繰り表の構造
資金繰り表は「経常収支」「設備収支」「財務収支」の3つの収支と繰越残高により構成されています。
①前月(前期)繰越残高
現金と預金の前月(前期)の残高を合計で計上します。
②経常収支
経常収入と経常支出で構成されます。収入はプラス、支出はマイナスで表示します。
経常収入は「現金売上」「売掛金回収」「受取手形回収」「前受金の入金」などの他、「受取利息・配当金の入金」「家賃収入」などもあります。
経常支出は「外注費」「給料手当」「旅費交通費」「水道光熱費」などのキャッシュの流出を伴う経費を計上します。
細かいですが、消費税込みとなることは要注意です。「減価償却費」はキャッシュを伴わない経費のため、ここには入れません。
③設備収支
設備収入と設備支出で構成されます。収入はプラス、支出はマイナスで表示します。
設備収入は「設備売却」など固定資産の換金によるキャッシュの流入を、設備支出は「設備購入」など不動産や固定資産を購入した際のキャッシュの流出を計上します。
④財務収支
財務収入と財務支出で構成されます。収入はプラス、支出はマイナスで表示します。
財務収入は「借入金収入」(融資受入れによるキャッシュの流入)を計上します。
金融機関毎に整理すると分かりやすいです。
このほか「補助金の入金」などの臨時の入金は、経常収入とは分けて財務収入に整理した方がよいでしょう。
財務支出は「借入金返済」(融資の返済によるキャッシュの流出)を計上します。
これも金融機関毎に整理すると分かりやすいです。
⑤当月(当期)繰越残高
現金と預金の当月(当期)の残高を合計で計上します。
上記①~④の総和を表します。
「資金繰り実績表」においては、キャッシュの増減が漏れなく織り込まれていれば、理論上、手元の現金と通帳の残高の合計額と一致します。
資金繰り表の種類
時間軸としては、足元までの過去の実績を表す「実績資金繰り表」と、今後の事業計画から作成される将来の「資金繰り予定表」があります。
まずは過去のトレンドを知るために、過去の「資金繰り実績表」を1年分作成します。
その上で、今後の5か年程度の会社運営に関する中期計画から、来期1年分の計画をもとに、資金繰りの見通しである「資金繰り予定表」を作成します。
管理スパンについては「日繰り」「月繰り」「年繰り」がありますが、「月繰り」が基本となります。
これを、過去と計画それぞれ12か月分作るというのがベースとなります。
資金繰り表は毎月更新
1度作れば良い訳ではなく、毎月分の実績を翌月中旬ぐらいまでに集計し、計画との対比を行い、巡行の確認をします。
計画を大きく逸脱している場合は、目先3か月分程度の計画を変更(更新)します。
追加の融資の要否などは、この段階で気付くことが出来ますので、早めに手を打つことが出来ます。
資金繰り表イメージ
最後に、資金繰り表の様式イメージを添付いたします。金額は、実際のキャッシュの出入りのとおり、消費税込みです。
資金繰り表の作成は、銀行のために行うのではなく、資金繰りの目詰まりの発見、黒字倒産回避のために、経営管理として必ずすべきことなのです。

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