損益計算書の構造
損益計算書(Profit & Loss Statement)とは、一定期間の会社の経営成績を表す財務諸表で、ざっくりと言えば、売上などの収益から経費を引いて利益を計算する表です。収益は3つ、費用は5つの種類があり、収益と費用を組み合わせることで、5種類の利益を計算します。具体的には以下のイメージです。

損益計算書の計上ルール
損益計算書においては、収益は「実現主義」、費用は「発生主義」、さらに収益に対応する費用を計上するという「費用収益対応の原則」に基づいて作られています。
収益は、相手先に商品やサービスを提供し、対価を受け取れることが確定した時点を「実現」と認識し計上します。一方費用は、「実現」よりも計上時期が早く、発生したら当該期間の利益計算に含めますが、実現していない収益に対応する費用は、その期の利益計算には含めないで除外します。
例えば、仕入れをしても、今期の売上に対応しない売れ残り分は、売上原価には含めずに棚卸資産として来期に持ち越します。
このように、損益計算書では3つのルールにより計上されるため、利益が出ていても、実際の現預金の動きとはズレが生じてしまうことになります。これが「勘定合って銭足らず」という現象です。
損益計算書の読み方
①売上高
まず最初に来るのが「売上高」です。売上高は「価格×数量」で算出出来ます。飲食店の場合は、数量は客数となりますが、「日次客数×営業日数」に分解されます。さらに日次客数は、「席数×回転率」にまで分解されます。したがって、
売上高=価格(客単価)×席数×回転率×営業日数
にまで分解出来ますので、どこをテコ入れするのかが戦略立案になります。
②売上原価
商品やサービスなどの会社の本業に直接かかった費用(原価)が「売上原価」です。材料費や労務費、外注費など製造原価や、仕入にかかる費用などです。ただし前述のとおり、在庫となったものは売上原価には計上せずに除きます。
③売上総利益
「粗利」とも呼ばれ、本業の儲けの源泉です。日常品のような商品は売上高に対する売上総利益率は低く、大量に販売しなければ売上総利益額の確保は出来ません。逆にブランド品や高付加価値商品は、価格が高くて売上総利益率も高めとなるため、売上が少なくても売上総利益は確保出来ます。
売上総利益が高い会社は、利益を生み出しやすく、市場競争力が高い体質の会社と言えます。
④営業利益
売上総利益から、販売費及び一般管理費を引いて残った利益が「営業利益」であり、「本業の儲け」を表します。販売費および一般管理費の代表例は、本社社員の事務経費や役員報酬、広告宣伝費、地代家賃、減価償却費(製造原価に含まれるもの以外)です。ここでしっかり利益が出ていないと、ここ以降で計上される支払利息(営業外費用)が払えず、新規の融資は難しくなります。
⑤経常利益
営業利益に営業外収益を足して、営業外費用を引くことで求められ、「総合的な実力」を表す利益と言えます。営業外収益は受取利息といった本業以外の財務収益など、営業外費用は支払い利息などの本業以外の財務費用や雑損失などを計上します。財務体質が良い企業は、借入が少なく、支払利息の負担が小さいため、経常利益がしっかり確保でき、融資審査の定量評価(一次評価)における様々な指標でも良い結果が得られます。
⑥当期純利益
「最終利益」とも言われ、1年間の経営成績を表します。配当を出す会社においては、ここが配当原資になります。マイナスの場合は、どの段階の利益が少ないのか、原因を探ります。高コスト体質であれば、どこをカット出来るのか、売上高を増加出来るのかを分析する必要があります。
フリーキャッシュフロー
フリーキャッシュフローは、
経常利益+減価償却費ー法人税等
で求められます。ベースとなるのは、臨時に計上される「特別利益」「特別損失」が含まれない「経常利益」です。各期の損益計算書に計上されている減価償却費は、過去に購入した固定資産の按分によって計上されているため、各期のキャッシュアウトを伴いません。よって足し戻します。一方、「経常利益」にはまだ法人税等が引かれていないので引きます。
この結果残ったものが「フリーキャッシュフロー」です。借入金の返済原資であり、また、将来の投資の原資ともなります。
フリーキャッシュフローが不十分で、仮に年間の借入金返済額よりも少なければ、返済原資を捻出するために、固定資産を売却し換金するなどしなければなりません。
この辺りの見通しは、まさに資金繰り予定表で早めにキャッチしておくべきなのです。
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