はじめに
近年、新NISAの開始や変額保険の普及により、資産運用への関心が一層高まっています。
なかでも「米国株」や、全世界に分散投資を行う「オルカン(全世界株式)」は、その運用実績の良さから多くの投資家に選ばれるようになりました。
しかし、私たちはその好調な数字の裏側にある「リスクの正体」をどれだけ理解しているでしょうか。
好調な時こそ、客観的なデータに基づいて現状を冷静に分析することが、将来の資産を守ることに繋がります。
米国株の膨張と実体経済の乖離
過去30年間の歴史を紐解くと、米国株式市場は驚異的な成長を遂げてきました。
1995年から2025年までの期間で、米国株の代表的な指標であるダウ平均株価は約10倍に上昇しています 。

出典:世界経済のネタ帳
しかし、同期間の米国の名目GDP(実体経済の規模)の成長は約4倍にとどまっています 。

出典:世界経済のネタ帳
この「株価の10倍」と「経済の4倍」という差は、現在の株価が実体経済の成長だけで支えられているのではなく、将来への過度な「期待」によって膨らんでいることを示唆しています 。
この膨張の大きな要因は、過去数回にわたる大規模な金融緩和にあります。
特にコロナショック後、米国では国民1人あたり約50万円という巨額の現金給付が行われました 。
使い道のなくなった余剰資金が株式市場へ一気に流れ込み、実体経済とは切り離された形で株価を押し上げた側面があるのです 。
米国が抱える38兆ドルの債務リスク
米国は世界一の経済大国であると同時に、世界一の借金大国という顔も持っています。
現在の米国の連邦債務残高は約38兆ドルに達しており、これは日本の2026年度国家予算(約122兆円)の約48倍という途方もない数字です。

出典:世界経済のネタ帳
さらに深刻なのが、金利上昇に伴う利払い負担の増加です。
2025年の利払いコストは約9,700億ドルにのぼる見通しで、これは米国の税収全体の約5分の1が、借金の利息を払うためだけに消えていくことを意味しています。
こうした財政不安や地政学的リスクを受け、世界では「ドル一強」からの脱却、いわゆる「ドル離れ」の動きが加速しています 。
かつてはドルこそが最強の安全資産とされてきましたが、現在は対ロシア制裁の影響もあり、多くの国が外貨準備としてドルではなく「金(ゴールド)」を保有する傾向が強まっています。
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近年の金価格の上昇は、ドルの信用力に対する不安の裏返しとも言えるでしょう 。
全世界株式(オルカン)に潜む偏りと為替リスク
「全世界株式(オルカン)に投資していれば、世界中に分散しているから安心だ」と考える方は少なくありません。
しかし、その中身を詳しく見ると、実際には米国株が約6割を占めているのが実態です 。
つまり、オルカンへの投資は、実質的には米国市場の動向に大きく依存した投資なのです 。
ここで注意すべきは「為替」の影響です。多くの投資信託は「為替ヘッジなし」で運用されています。
これは、株価が下がった時に円高が進むと、資産価値が二重に減少する「ダブルパンチ」のリスクを孕んでいます。
外国人投資家が低金利の日本でお金を借りて海外投資を行っている現状では、世界的な株安局面で一気に円高に振れる可能性があり、日本の投資家にとって大きな損失を招く恐れがあります。
これに対し、日本の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、極めて慎重なポートフォリオを組んでいます。
彼らは国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の4資産に25%ずつ均等に分散投資を行っています。

出典:年金積立金管理運用独立行政法人ホームページ
流行に左右されず、円高局面でも「国内資産」が守りの機能を果たすよう設計されているプロの知見は、個人投資家にとっても大いに参考になるはずです 。
まとめ
現在の株式市場は、米国の膨大な債務や実体経済との乖離という危うさを抱えながら、過去の成功体験に基づく強い期待感によって支えられています。
分散投資として人気のオルカンであっても、その実態は米国への依存度が極めて高く、私たちは常にドルの信用力低下や為替変動のリスクにさらされていることを忘れてはなりません。
長期運用を成功させる鍵は、流行の銘柄に全財産を投じることではなく、プロの分散手法に学び、特定の資産や通貨に偏らないポートフォリオを構築することです。
何より、自分の「出口(資金が必要になる時期)」を見据え、万が一の暴落が起きても生活が破綻しない範囲で、余裕を持った投資計画を立てることが不可欠です 。
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