こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士、1級FP技能士、銀行融資診断士®の本間です。
「債務超過」って聞いたことありますか。
今回は、債務超過とはどのような状態なのか、債務超過になると融資を受けられなくなるってホント?について解説いたします。
債務超過とは何か
債務超過とは、企業において負債(借入金などの債務)の合計が、総資産よりも大きくなっており、保有しているすべての資産を換金しても、負債を全て返済することが出来ない状態を言います。
この場合、貸借対照表の純資産の部がマイナス計上となっています。

債務超過に対し、純資産の部がプラスである状態を「資産超過」と言います。
この状態は、払うものを全て払っても「お金が残る」状態を指します。
逆に、純資産がどんどん減っている状態でやがて債務超過の可能性がある場合は、新規の融資を検討するなど、早めに手を打つことが必要です。
債務超過はなぜ発生するのか
「借入れ過ぎたから債務超過になっているんでしょ」と思ってしまいますが、実はそうではありません。借入金の使い方が悪いから債務超過になるのです。
つまり、借入れ過ぎたからではなく、借入金の使い方が悪いから債務超過になるのです。
原因はズバリ赤字です。
赤字とは、費用(コスト)が収益(売上)を上回ることであり、言い換えれば、資産の減少(キャッシュアウト)が資産の増加(キャッシュイン)を上回る状態です。
資産が減り続けると、やがて負債よりも小さくなってしまうため、債務超過の状態になります。
「借入金(融資)を増やしすぎたために負債が増えすぎて債務超過になる」と考えがちですが、実はそうではありません。
借入をしても同時に預金が増えたり、設備投資をして固定資産が増えたりするからです。
貸借対照表は負債と資産の両方が計上されることになるため、単に借入れをしたから債務超過になる、という訳ではないのです。
一方、借入をして費用(コスト)の支払いをした場合、もしくは設備投資をしたけれど、それに見合う収益(売上)が不十分であれば、せっかく借入金で調達した資金(預金残高)が減ってしまいます。
それが重なれば、赤字(コストの支払いなど)が続くことで、やがて債務超過になってしまうのです。
債務超過になると新規融資のハードルが上がる
銀行は融資の際、企業を6段階の「債務者区分」で評価します。
・正常先(A)・・・・業績が良好であり、財務内容にも特段の問題がない
・要注意先(B)・・・・業績低調、延滞など、今後の管理に注意を要する
↓ これ以降は原則、新規融資を申し込んでも不可 ↓
・要管理先(B’)・・・・要注意先のうち返済条件を変更している、または3か月以上延滞している
・破綻懸念先(C)・・・・現在は経営破綻の状況にないが、今後、破綻が懸念される
・実質破綻先(D)・・・・法的・形式的な経営破綻の事実はないが、実質的に破綻に陥っている
・破綻先(E)・・・・法的・形式的な経営破綻の事実が発生している
決算書において1期でも債務超過になっていると、それだけで「要注意先(B)」以下になってしまいます。
2期連続債務超過になるとさらに評価は低下し「破綻懸念先(C)」以下になります。
「要管理先(B’)」以下は原則、新規融資を申し込んでも不可となります。
債務超過に加え、「営業利益が2期連続赤字」「繰越損失がある」「返済を延滞している」などの悪条件が加わることで「実質破綻先(D)」と評価される場合もあります。
代表者個人の資力があればまだ諦めないで
2期連続債務超過で「破綻懸念先(C)」の評価となった場合、せっかく新しいことをやりたいと思っていても、新規融資は受けられず、資金調達が出来ません。
ただしこの場合であっても、代表者が個人預金から返済を継続していて、債務超過額を上回る個人預金等が有るならば、まだ新規融資のチャンスはあります。
もし会社に何かあった場合には私財を提供する覚悟があり、それを銀行に対し署名で表明すれば、銀行は法人・個人を一体として捉えてくれて、実質、「債務超過の状態にない」と見做すことになります。
その結果、債務者区分の「破綻懸念先(C)」の評価ではなく「要注意先(B)」として評価され、新規融資の可能性がまだ残るのです。
会社の決算書の状況から「うちは債務超過だから融資はだめだな」と諦めてしまうのではなく、事業を続けたいのであれば、個人の財産と「合体」させることで、融資を引き出せる可能性があるのです。
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