資本性借入金化(DDS)とは
銀行からの借入金をどうしても返済出来ない場合の企業再生の手法の1つとして「資本性借入金化(DDS)」(デッド・デッド・スワップ)というものがあります。
「資本性借入金化(DDS)」(デッド・デッド・スワップ)の意味は、デッド(借入金)とデッド(借入金)をスワップ(交換)するということです。
言い換えれば、通常の融資を「劣後ローン」(通常の融資よりも返済順位が劣る融資)に変えてもらう、ということです。銀行の側から見ると、企業が倒産した場合、他の債権者よりも回収の優先順位が下位になるということで、貸倒れリスクを負うことになります。
銀行からしてみれば、貸したお金というよりも、投資に近い性質のお金、とも言えます。
そのため、スワップ後の融資のことを「資本性劣後ローン」と言います。
借入金の一部を一定の年数(5~15年程度)返済せず「固定化」(期限後一括返済)させるもので、「固定化」している間は、銀行は当該借入金を「疑似資本」(純資産見合い)として見てくれます。
これにより、財務面では銀行からの支援を受けやすくなるという効果があります。
企業側にとっては、実情に見合った返済が一定期間約束されるので、1年ごとのリスケジュールの見直しに比べ心理的な余裕を持つことが出来、資金繰りに奔走することなく本業の改善に注力しやすくなります。
DDSではなく新規で資本性劣後ローンを受けることもある
DDSはデッド(借入金)とデッド(借入金)をスワップ(交換)することで、既に借入している融資を返済順位が低い資本性劣後ローンへ変更するものです。
一方、 新規の融資を「資本性劣後ローン」で受ける場合もあります。この場合、借入した現金を使うことが出来ますので、いわゆる「真水がある融資」である点がDDSと異なります。
活用事例
借入が10,000千円で、債務超過▲3,000千円であった場合、借入のうちの半分5,000千円をDDSで15年間、劣後ローンにしてもらえたとします。
すると、5,000千円部分はみなし純資産と評価されることになり、増資のような効果が得られます。
その結果、マイナスだった自己資本が、プラス2,000千円になるため、債務超過は解消され、資産超過の会社として銀行は評価してくれることになります。

このケースでは、残りの借入金5,000千円を、フリーキャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)で返済して行き、15年後にDDS部分の借入金を一括返済すればよいということになります。(ただし現実的には、その時点の返済能力に準じることになるケースが多い。)
債務の株式化(DES)とは
DES(デッド・エクイティ・スワップ)とは、既存の借入金の一部を株式に切り換える手法のことです。経営不振や過剰債務などに苦しむ企業の債権を保有する金融機関などが、融資を現物出資する形で株式を取得し、債務超過の解消や有利子負債を削減させることを指します。
DESは金融機関が株式を保有することから、主に大企業で用いられます。中小企業では手続きの容易さもあり、DDSの方が一般的です。
まとめ
今回は、銀行からの借入金をどうしても返済出来ない場合の企業再生の手法として、「資本性借入金化(DDS)」(デッド・デッド・スワップ)や「資本性劣後ローン」について説明しました。
DDSは、通常の融資を「劣後ローン」(通常の融資よりも返済順位が劣る融資)に変えてもらうもので、銀行にとってはリスクとなりますが、企業側にとっては、実情に見合った返済が一定期間約束されるので、1年ごとのリスケジュールの見直しに比べ心理的な余裕を持つことが出来、資金繰りに奔走することなく本業の改善に注力しやすくなります。
また、新規の融資を「資本性劣後ローン」で受ける場合もありますが、効果はDDSと同様です。
いずれも企業再生フェーズで用いられる融資形態であるため、どうしても困った場合は、銀行に相談してみるのも手です。
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