融資資金の目的に応じた分類
融資資金は目的に応じて「設備資金」と「運転資金」に分類されます。
設備資金
・使途 ⇒ 特定の設備の購入(見積書の提出を求められる)
・返済期間 ⇒ 7~15年程度と長め
・返済財源 ⇒ キャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)
運転資金
・使途 ⇒ 入金と出金のタイムラグから生じる資金ニーズ、成長投資
・返済期間 ⇒ 数か月~7年程度(短め)
・返済財源 ⇒ 短期継続融資であれば元本返済は考慮不要(借りっぱなし)、長期融資で受ける場合はキャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)
資金使途違反
【×】「設備資金」⇒「運転資金」として使用
設備購入のために「設備資金」として融資を受けた場合、その資金を「運転資金」に回してしまったとしたら、それは銀行に対する重大な背信行為に当たります。
資金使途違反はもしバレれば銀行は一括弁済請求をして来ます。また信用保証協会の保証が付いている場合、当該融資を全額返済していなければ、以降の保証は受けられなくなります。これは、信用保証協会の保証付き融資しか受けていない会社にとっては、資金繰りが行き詰まることを意味します。
なお、もし銀行が資金使途違反を知りながら信用保証協会の保証付き融資を実行した場合は、保証協会としては免責となるため、銀行がリスクを負うことになります。
資金使途違反は銀行にバレるのか
資金使途違反をしても、銀行には分からないだろうと思うかもしれませんが、返済までの間、銀行と接触する場面は少なからずあります。
設備資金として融資を受けたのであれば、銀行からは設備を取得した際の領収書の提出を求められます。
今回もし仮にバレなかったとしても、次回融資を受けたいとき、前回融資の結果(何に使ったのか)に関する書類の提出と求められます。銀行とのお付き合いがある間は、決算書を提出しなければなりませんが、「設備資金」を借りているのに新たな固定資産の計上がないしたら、それだけですぐに把握されてしまいます。
資金使途違反は、これまで築き上げてきた信頼を大きく損なう裏切り行為となることから、今後の銀行との関係悪化は避けられません。「今を乗り切れば」とか、「大丈夫だろう」と安易に考えることは避けましょう。
運転資金を設備資金として使うのは勿体ない
【△】「運転資金」⇒「設備資金」として使用
逆に、「運転資金」として借りた資金を「設備資金」に使った場合は、実務上は問題になることは少ないでしょう。ですが、財務戦略的には得策とは言えません。
「運転資金」は「設備資金」とは異なり、借入期間は短期であることがほとんどです。設備投資をした場合、それが売上に反映してキャッシュとして回収出来る期間は長期に亘ります。短期間で一気に回収出来るものではありません。その結果、借入金の返済によるキャッシュアウトが先に立ってしまうことから、資金繰りが苦しくなります。
また、銀行はその企業の身の丈に合った「運転資金」しか融資しません。店舗・小売りなどの現金商売や、在庫を持たないサービス業などは、そもそも多額の「運転資金」は必要と認められないでしょう。
その枠の範囲でようやく借りた「運転資金」を別な用途に使ってしまうと、いざ本当に運転資金が必要な場面で「運転資金」の追加融資は断られてしまう虞があります。
「運転資金」と「設備投資」の両方の目的で借りたい場合、面倒だからと纏めて「運転資金」として借りてしまうのも避けたいところです。貴重な「運転資金」の枠を一部使ってしまっていることになるからです。
見積りと実際の設備投資額にズレがあった場合
「設備資金」として融資を受けた後、目的としていた設備が見積りよりも安価で取得出来た場合、融資資金が余ってしまいます。ラッキーとばかりに、この資金を「運転資金」に回すことを考えてしまいがちですが、この場合は正直に銀行に相談しましょう。
前倒しで返済求められる場合もありますが、使途変更の許可が得られるかもしれません。許可が得られれば「資金使途違反」の負い目もなく、堂々と使うことが出来ます。
逆に、目的としていた設備が見積りよりも高額になってしまった場合は、自己資金で何とか賄うか、追加で「設備資金」の融資を申し込むか、ということになります。
まとめ
融資資金は目的に応じて「設備資金」と「運転資金」に分類されますが、融資申込みの際にコミットした使途で使うことが、銀行との良好な関係性の維持に繋がる上、会社の資金繰りも最適と言えます。お金が手許にあればどう使っても構わないという安易な考えは持たないようにしましょう。
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