はじめに
銀行融資の世界には、「融資の可能性は顧客の情報量と比例する」という格言があります 。
銀行に対して自社の情報が正しく伝わっているかどうかは、融資の成否を分ける極めて重要な要素です 。
近年では「事業性評価融資」といって、決算書の内容や担保評価だけでなく、その会社の事業内容や将来性を評価して融資を行おうという動きも少しずつ進んでいます 。
では、どのようにして銀行に自社の状況をわかってもらえばいいのでしょうか 。
この記事で分かること
- 初回取引からスムーズに融資を受けるための公的保証の活用法
- 銀行の役席者と自然に接点を持ち、信頼を得るための決算報告の進め方
- 融資審査の通りやすさを左右する、定期的な情報共有の具体的なメリット
保証協会付き融資で実績を作る
最初のステップは、保証協会付き融資で実績を作るということです 。
初回取引の銀行から、いきなりプロパー(銀行が直接リスクを負う融資)で融資を受けるのは難易度が高いのが現実です 。
そこで、銀行開拓のカードとして使えるのが「保証協会」です 。
初めて取引する銀行であっても、
まず保証協会付き融資で借りて、それを着実に返したという実績ができれば、
次回の融資でプロパー融資の交渉も比較的スムーズに進めることが可能になります 。
保証協会を銀行開拓のカードとして戦略的に考えると、
1つの銀行に保証が集中していたり、都市銀行に保証協会の枠を使っていたりするのは
非常にもったいないことだといえます 。
ゆくゆくはプロパーで借りて関係性を広げていきたいと考える銀行に対して、
実績を作るために保証協会を使っていくのがより良い選択となります 。
決算報告の機会を利用する
次に、決算報告の機会を利用することです 。
日々普通に経営している中では、銀行に自社の経営状況を詳しくわかってもらう機会は少ないものです 。
今すぐ融資が必要なわけではない時に、あえて報告に行くことに迷いを感じる方もいるかもしれません 。
しかし、決算報告であれば、年に一度のチャンスではありますが、自社の経営状況と今後の方針を銀行に伝える「大義名分」が立ちます 。
この機会を活かすための具体的なポイントは以下の通りです。
- すべてのアポイントを早期に取る:
決算から時間が経つほど連絡がしづらくなるため、決算書ができ次第、すべての取引銀行に対してアポイントを取るのがオススメです 。
- 役席者と同席する機会を作る:
決算報告を名目とすれば、担当者だけでなく支店長や融資課長といった役席が同席してくれる可能性も高まります 。
- 代表者自らが説明する:
細かい数字の説明は経理担当などに任せてもよいですが、決算の概要については社長本人の口から説明したほうが、銀行から見たときの印象や安心感が良くなります 。
- 簡潔な経営計画を提示する:
A4用紙1枚程度の簡潔なもので十分です 。
形式よりも、今後の資金需要を書面で伝わるようにするというのが主目的だからです 。
あらかじめ「新店舗をオープンする」「新たな設備を導入する」など、向こう1年の資金需要を銀行に対して伝えておけば、銀行のほうから融資の提案をしてくれることもあります 。
この方法で複数の銀行から提案を受けることができれば、健全な競争が働き、より良い条件を引き出すことも可能になります 。
定期的に試算表を持って報告に行く
最後のステップは、定期的に試算表を持って報告に行くことです 。
銀行との良好な関係性を築くために、3ヶ月から半年に1度、30分程度でいいので、試算表を持って銀行を訪問する関係性を築くのが有効です 。
定期的な報告を行うことで、以下のようなメリットが得られます。
- 稟議の質と熱量が変わる:
銀行担当者に自社の経営状況がよく伝わっていると、いざ融資を申し込む際に担当者が作成する稟議書の質や熱量が上がり、融資も受けやすくなります 。
- 専門的なアドバイスを受けられる:
銀行員目線でのアドバイスや融資の提案をしてくれるかもしれないので、まさに一石二鳥です 。
- 他社との差別化:
自ら試算表を持ってきてくれる会社は少数派であるため、銀行員からは「ありがたい」「助かる」と喜ばれることが多く、これだけで他の会社と差をつけることができます 。
「今さら何をきっかけに始めたらいいのか」と迷う場合は、決算報告の際に、経営計画と一緒に月次損益計画も持って行くのがオススメです 。
「この計画に対して実際がどうなったか、また定期報告させていただいてもいいですか?」と聞けば、断る銀行はありません 。
これで、定期報告に行く大義名分が自然に整います 。
まとめ
銀行との良好な関係性は、一朝一夕に築けるものではありません。
- 保証協会付き融資による着実な実績作り
- 決算報告を通じた経営方針の共有
- 試算表による定期的な現状報告
これら3つの手順を継続することで、自社の状況を正しく銀行に伝え、必要な時に必要な支援を受けられる体制を整えることができます。
まずは、次回の決算報告に向けた準備、あるいは現在の試算表の整理から取り組んでみてはいかがでしょうか。
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