この記事でわかること
- 銀行融資の審査で金融機関が見ているポイント
- 「設備投資が大きすぎるケース」が慎重に見られる理由
- 「借入額を抑えすぎるケース」でも審査が厳しくなる理由
- 創業融資における設備資金と運転資金の考え方
- 「小さく生んで大きく育てる」が重要な理由
はじめに
「借入は少ない方が良い」
そう考える経営者の方は少なくありません。
もちろん、必要以上の借入は避けるべきです。
しかし、銀行融資の審査では、
「借入額が少ないかどうか」
だけで判断されている訳ではありません。
金融機関が見ているのは、
「その事業に対して、資金計画のバランスが適切か」
です。
実際には、設備投資が大きすぎるケースだけでなく、
必要な資金まで削りすぎているケースも、慎重に見られることがあります。
今回は、創業融資審査で金融機関がどのような視点で見ているのかを整理します。
設備投資が大きすぎるケース
資金計画を立てる際、店舗の土地・建物や内装デザイン、備品などに多額の資金を投じるケースがあります。
たとえば、次のような資金計画です。
| 必要な資金 | 金額 | 資金調達 | 金額 |
| 設備資金 | 3,200万円 | 自己資金 | 200万円 |
| 運転資金 | 600万円 | 借入金 | 3,600万円 |
| 合計 | 3,800万円 | 合計 | 3,800万円 |
| 設備資金の内訳 | 金額 |
| 店舗(土地・建物) | 1,500万円 |
| 内装(デザイン料) | 900万円 |
| 備品等 | 800万円 |
| 計 | 3,200万円 |
このケースでは、自己資金に対して借入金が大きく、借入依存度が非常に高い計画になっています。
さらに、設備投資額そのものも大きく、創業時としては重たい資金計画と言わざるを得ません。
コンセプトへのこだわりや、理想の店舗づくりを追求すること自体は決して悪いことではありません。
しかし、創業融資は
「夢があるか」
を見る場ではなく、
「その計画で、本当に返済しながら事業継続できるか」
を確認する場です。
金融機関は、次のような視点で計画を精査しています。
・その設備は本当に今必要なのか
・まずは小規模で始める選択肢はないのか
・売上が計画未達だった場合でも返済を継続できるか
・固定費負担が重くなりすぎて事業を圧迫しないか
特に創業時は、売上が計画通りに立ち上がる保証がどこにもありません。
そのため、
「最初から理想形を作り込みすぎていないか」
という点は、非常に慎重に確認されます。
創業融資においては、
「小さく生んで、大きく育てる」
という考え方が基本となります。
設備投資は、理想を追求するよりもまず、身の丈に合った規模であるかどうかが重要になります。
借入額を抑えすぎているケース
一方で、借入額を極力少なくしようとするあまり、必要な資金まで削ってしまうケースもあります。
たとえば、次のような資金計画です。
| 必要な資金 | 金額 | 資金調達 | 金額 |
| 設備資金 | 600万円 | 自己資金 | 300万円 |
| 運転資金 | 100万円 | 親族支援 | 100万円 |
| 借入金 | 300万円 | ||
| 合計 | 700万円 | 合計 | 700万円 |
| 設備資金の内訳 | 金額 |
| 店舗(賃貸) | 120万円 |
| 内装 | 380万円 |
| その他 | 100万円 |
| 計 | 600万円 |
このケースでは、一見すると借入額自体は比較的小さく見えます。
しかし、銀行は「借入が少ないから安心」とは考えていません。
ここで特に問題視されやすいのが、運転資金の少なさです。
創業直後は、売上が入金されるより先に、家賃、人件費、仕入代金、広告費などの支払いが次々と発生します。
そのため、金融機関は「黒字化するまで本当に資金が持つのか」を非常に重視しています。
創業直後は、想定より売上が伸びないことも決して珍しくありません。
一方で、各種支払いは待ってくれません。
そのため、創業当初は想定以上に現金が減っていくことを大前提として考える必要があります。
資金計画がギリギリすぎる場合、金融機関からは次のような点まで厳しく見られます。
・事業の見通しが甘いのではないか
・必要資金を十分に把握できていないのではないか
・本気で事業計画を作り込めているのか
・途中で資金ショートを起こさないか
実務上、資金が足りなくなってからの追加融資は、当初の融資よりもむしろ通りにくくなります。
すでに資金繰りが悪化している状態では、
「今回融資しても、本当に立て直せるのか」
という厳しい見方になるためです。
したがって、借入を減らそうとして必要な資金まで削ってしまうのも非常に危険です。
金融機関が見ている本質
銀行融資の審査では、「借りすぎ」が警戒されるのはもちろんですが、
同時に「必要な資金まで削りすぎていないか」
もしっかりと見られています。
重要なのは、設備資金は必要最低限に抑えつつ、運転資金には一定の余裕を持たせるというバランスです。
とくに創業融資においては、以下の点を総合的に判断されます。
・設備投資の妥当性
・黒字化まで耐えられる十分な資金量
・自己資金の蓄積状況
・売上計画の現実性
融資審査は、単なるお金の貸し借りを行う手続きではなく、
「その事業計画が現実的に継続可能かどうか」
を確認する場でもあるのです。
まとめ
創業融資では、設備投資が大きすぎても危険であり、逆に必要資金まで削りすぎても危険です。
金融機関は常に
「この計画で、事業が継続できるか」
という視点で資金計画を見ています。
だからこそ、
予定している設備投資は本当に必要なのか、
黒字化までの運転資金は十分に足りているか、
売上計画に無理や甘さはないかを、
事前にしっかりと整理することが重要になります。
お問い合わせはこちら
本記事で解説した通り、金融機関の審査を通過し、事業を安定して継続させるためには、
設備投資と運転資金のバランスを整えた現実的な資金計画が不可欠です。
ご自身の計画が客観的にどう評価されるのか、一度整理してみることをお勧めいたします。
- 創業融資の事業計画書を作成したい
- 金融機関からどう見られるか整理したい
- 設備投資額が適切か相談したい
- 創業後の資金繰りまで含めて考えたい
そのような場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
資金繰り表無料ダウンロード
WEB特典無料ダウンロードとして、「実績資金繰り表フォーマット」をダウンロードいただけます。
無料メルマガ登録のご案内
数字を見るのがちょっと気が重いな、という社長へ。
“お金のモヤモヤが少し軽くなる”メルマガをつくりました。
経営にまつわるお金の話を気軽に読める形で、週1回お届けします。