高齢化が進み、介護サービスの需要は今後も増えていくと考えられています。
しかし、その一方でデイサービス事業者の倒産は増加しています。
東京商工リサーチによると、
2026年1月から5月までのデイサービス(通所・短期入所)事業者の倒産件数は27件に達し、上半期として過去最多を更新したとのこと。
高齢者は増えているはずなのに、なぜ経営が立ち行かなくなるのでしょうか。
今回は、介護業界が抱える構造的な課題と、これからの経営に必要な視点について考えてみます。
この記事で分かること
- 高齢化が進んでもデイサービスの倒産が増える理由
- 介護事業特有の経営上の難しさ
- 事業を継続するために必要な資金繰りの考え方
高齢化なのにデイサービスが倒産する3つの要因
倒産増加の背景には、主に次の3つの要因があります。
1.物価高と光熱費の高騰
デイサービスでは、
- 送迎車両の燃料費
- 施設の光熱費
- 食材費
など、多くの経費が発生します。
近年はこれらのコストが上昇していますが、介護報酬は公的に定められているため、一般企業のように自由な値上げはできません。
売上が大きく変わらない一方で経費だけが増えれば、利益は圧迫され、資金繰りも苦しくなります。
2.深刻な人手不足
介護業界では慢性的な人手不足が続いています。
利用者を受け入れたくても、人員配置基準を満たす職員を確保できなければサービスを提供することができません。
また、
- 求人広告費
- 人材紹介手数料
- 賃金上昇
などの負担も増加しています。
需要があっても人材が確保できなければ売上にはつながらず、経営の大きな制約になります。
3.競争の激化
デイサービス事業所は全国的に増加してきました。
近年では、
- リハビリ特化型
- 認知症対応型
- 趣味活動に特色を持つ施設
など、独自性を打ち出す事業者も増えています。
その結果、
「なぜ自社が選ばれるのか」
を明確に示せない事業所は、利用者やケアマネジャーから選ばれにくくなっています。
利用者が増えれば解決するのか?
実際に介護事業者さまから、
「定員にはまだ余裕がある」
「加算を取得できれば売上を伸ばせる」
「まだ成長の余地はある」
というお話を伺ったことがあります。
確かに、利用者数の増加や加算の取得は売上アップにつながる可能性があります。
しかし、経営の視点では、
「売上が増えるか」
だけではなく、
「その結果として利益や資金繰りが改善するか」
まで考える必要があります。
例えば、利用者が増えれば、
- 職員の採用
- 送迎体制の強化
- 車両や設備の更新
など、新たな支出が発生する場合があります。
また、介護報酬はサービス提供から実際の入金までに一定のタイムラグがあります。
そのため、
「まだ伸びる余地がある」と
「経営が安定する」は、
必ずしも同じ意味ではありません。
大切なのは、
「利用者をあと何人増やせるか」
ではなく、
「利用者が増えた結果、利益はいくら増え、手元資金はどう変わるのか」
まで数字で確認することです。
金融機関も、
「利用者が増えそうです」
という説明より、
「利用者が増えた結果、売上・利益・資金繰りがどう改善するのか」
を知りたいと考えています。
事業の成長可能性を語ることも大切ですが、
それを数字で裏付けられるかどうかが、今後の資金調達や事業継続の大きなポイントになるでしょう。
介護事業は「利益」より「資金繰り」が重要
介護事業は、利用者が増えれば売上も増えるビジネスです。
しかし、介護報酬の入金はサービス提供後となるため、先に人件費や社会保険料、家賃、光熱費などを支払う必要があります。
その結果、
「売上は伸びているのに、お金が足りない」
という状況が起こることがあります。
特に、
- 人員増強
- 送迎車両の更新
- 設備投資
などを借入金で行っている場合は、返済負担も加わります。
利益だけを見ていると問題ないように見えても、実際には資金繰りが厳しくなっているケースは少なくありません。
構造的な課題を乗り越えるために
厳しい環境の中で事業を継続していくためには、次のような取り組みが重要になります。
選ばれる理由を作る
地域のケアマネジャーや利用者から、
「この事業所を利用したい」
と思ってもらえる特徴を明確にすることが重要です。
業務効率化を進める
介護ソフトやICTツールを活用し、書類作成や情報共有の負担を減らすことで、限られた人員でも運営しやすい体制を整えることができます。
資金繰りを見える化する
将来の入金と支払いを予測し、
- いつ資金が不足するのか
- どのタイミングで金融機関に相談すべきか
を事前に把握しておくことが重要です。
資金繰り表を活用することで、経営判断の精度を高めることができます。
まとめ
高齢化社会という追い風がある一方で、デイサービスを取り巻く経営環境は決して楽観できるものではありません。
物価高、人手不足、競争激化という課題に加え、介護事業には価格転嫁が難しいという構造的な特徴があります。
また、
「利用者が増える」
ことと、
「会社にお金が残る」
ことは必ずしも同じではありません。
だからこそ、
- 稼働率の向上
- 差別化
- 業務効率化
- 資金繰り管理
に継続して取り組むことが重要です。
需要があるから安心ではなく、
需要を利益とキャッシュに変えられるか。
それが、これからの介護経営に求められる視点ではないでしょうか。
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介護事業では、利用者数や売上だけでなく、資金繰りの管理が非常に重要です。
実際には、
「利益は出ているのにお金が足りない」
「利用者は増えているのに資金繰りが苦しい」
というケースも少なくありません。
資金繰り表の作成や将来予測、金融機関への説明資料づくりなど、財務面から経営をサポートしています。
現在の資金繰り状況を整理したい方、今後の資金調達や事業計画について相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。
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