在庫は悪なのか?資金繰りの視点で考える「適正在庫」の考え方

この記事でわかること

  • 在庫が「悪」と言われる理由
           
  • それでも多くの会社が在庫を持つ理由
           
  • 在庫が資金繰りに与える影響
           
  • 銀行が在庫をどのように見ているのか
           
  • 経営者が考えたい「適正在庫」の考え方
           
           

はじめに

 

「在庫はできるだけ減らした方が良い」

 

そんな話を聞いたことがある経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

 

確かに、在庫は売れるまで現金にならず、資金繰りを圧迫する要因になります。

 

一方で、

  • 欠品を防ぐため
  • 納期を短縮するため
  • 仕入単価を下げるため

多くの会社が在庫を持っています。

 

つまり、在庫にはデメリットだけでなくメリットもあるということです。

 

今回は、在庫を持つメリットとデメリットを整理しながら、会社にとって適切な在庫量について考えてみたいと思います。

 

 

在庫が嫌われる理由

  

◆ キャッシュが減る

  

例えば、100万円の商品を仕入れたとします。

  

会社から見れば、

現金100万円が在庫100万円に変わっただけです。

  

この時点では利益は生まれていません。

しかも、仕入先への支払いは発生しています。

在庫が増えれば増えるほど、手元の現金は減っていきます。

  

  

◆ お金になるまで時間がかかる

  

在庫は仕入れた瞬間に現金になるわけではありません。

  

一般的には、

仕入

在庫

販売

売掛金

入金

という流れをたどります。

  

つまり、現金が会社に戻ってくるまでには時間がかかるのです。

在庫が増えると、その分だけ運転資金も必要になります。

  

  

◆ 売れ残るリスクがある

  

仕入れた商品が必ず売れるとは限りません。

流行の変化や需要の減少によって、価値が下がることもあります。

場合によっては値引き販売や廃棄を余儀なくされることもあるでしょう。

  

  

それでも在庫を持つ理由

 

では、なぜ多くの会社は在庫を持つのでしょうか。

そこには明確なメリットがあります。

 

  

◆ 欠品を防げる

  

お客様から注文があったとき、

「ありません」

よりも、

「すぐ出荷できます」

の方が喜ばれるのは当然です。

  

特に、

  • 卸売業
  • 製造業
  • 建設関連業

では、納期が競争力になることも少なくありません。

  

  

◆ 仕入単価を下げられる

  

大量購入によって単価が安くなるケースがあります。

  

例えば、

100個なら1個1,000円

1,000個なら1個800円

といった具合です。

在庫を持つことで利益率を高められることもあります。

  

  

◆ 値上がりリスクへの備え

  

近年は原材料価格の上昇が続いています。

  

鋼材や木材などを扱う業種では、

値上がり前に仕入れた在庫が利益につながることもあります。

  

  

銀行は在庫をどう見ているのか

 

融資の現場では、

「在庫が多い=評価が高い」

ということはありません。

  

銀行が見ているのは、

「その在庫が現金化できるのか」

です。

  

例えば、

  • 売上も増えている
  • 受注も順調
  • 仕入増加の理由が説明できる

のであれば、大きな問題にならないこともあります。

  

一方で、

  • 売上は減少している
  • 在庫だけ増えている
  • 長期間動いていない商品が多い

という状況であれば、

「売れ残りではないか」

と見られる可能性があります。

  

銀行にとって在庫は、現金よりも評価が低い資産です。

  

そのため、業績が悪化している会社ほど在庫の中身を確認されることがあります。

  

  

在庫ゼロが正解ではない

 

ここまで読むと、

「では在庫は少なければ少ないほど良いのか」

と思われるかもしれません。

  

しかし、そうとも言い切れません。

  

在庫を減らし過ぎると、

  • 欠品が増える
  • 納期が遅れる
  • 売上機会を失う

といった問題が発生します。

  

経営で大切なのは、

在庫ゼロ

でも

  

在庫過多

でもなく、

  

適正在庫

です。

  

  

なお参考まで、黒字企業における業種別の平均的な目安は以下の通りです。

  

  • 建設業:40日
           
  • 製造業:35日
           
  • 小売業:26日
           
  • 卸売業:22日
           

  

まとめ

 

在庫は資金繰りを圧迫する要因になります。

  

しかし、在庫がなければ売上機会を逃してしまうこともあります。

  

大切なのは、

「なぜその在庫を持っているのか」

を説明できることです。

  

在庫は単なる商品ではありません。

現金を別の形に変えたものです。

  

在庫管理は資金繰り管理そのもの

と言っても過言ではありません。

  

在庫が増えている場合は、

「倉庫に何が眠っているのか」

だけでなく、

  

「会社のお金がどこで止まっているのか」

という視点でも見直してみてはいかがでしょうか。

  

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