この記事でわかること
- 銀行は決算書のどこを見て融資判断をしているのか
- なぜ黒字でも融資が受けにくくなることがあるのか
- 一次評価(定量評価)で重視される4つの視点
- 自己資本比率や債務償還年数が重要と言われる理由
- 自社の銀行評価を高めるためのヒント
はじめに
銀行融資においては、金融機関は企業の格付け評価を行っています。
一般的には、
- 一次評価(定量評価)
- 二次評価(定性評価)
- 三次評価(潜在返済能力)
という3つの視点から総合的に判断されます。
一次評価(定量評価)は決算書の数字をもとに行われる評価です。
二次評価(定性評価)では経営者の資質や事業内容、
三次評価(潜在返済能力)では将来の返済可能性や事業の将来性などが見られます。
金融機関によって評価方法は異なりますが、一般的には一次評価(定量評価)のウェイトが大きいとされています。
なぜなら、決算書の数字は客観的な事実だからです。
そこで今回は、銀行が一次評価(定量評価)でどのような点を見ているのかを解説します。
一次評価(定量評価)は4つの視点で行われる
銀行は決算書を分析する際、
- 安全性
- 収益性
- 成長性
- 返済能力
という4つの視点から企業を評価しています。
それぞれ見ていきましょう。
①安全性 財務的に安定している会社か
安全性とは、
「会社が簡単には倒産しない財務基盤を持っているか」
を見る視点です。
利益が出ていても、財務基盤が弱ければ景気悪化や取引先の倒産などをきっかけに資金繰りが急激に悪化する可能性があります。
代表的な指標が自己資本比率です。
自己資本比率
(自己資本 ÷ 総資産)×100
会社の資産のうち、どれだけが返済不要の資金で賄われているかを示します。
自己資本比率が高いほど、赤字や不測の事態に耐える力があると評価されます。
銀行が特に重視する指標の一つです。
②収益性 利益を生み出す力があるか
収益性とは、
「会社がどれだけ効率よく利益を生み出しているか」
を見る視点です。
代表的な指標が売上高経常利益率です。
売上高経常利益率
(経常利益 ÷ 売上高)×100
売上に対してどれだけ利益が残っているかを示します。
銀行は経常利益を、企業の総合的な実力を表す利益として重視しています。
なぜなら、支払利息などを差し引いた後に残る利益だからです。
③成長性 将来伸びる会社か
銀行は過去だけでなく未来も見ています。
売上や利益が継続的に伸びている会社は、将来の返済能力も高まる可能性があります。
そのため、
- 売上高の推移
- 経常利益の推移
- 自己資本の増加
などが確認されます。
銀行は単年度の数字だけでなく、数年間の推移も重視しています。
④返済能力 銀行が最も重視する視点
銀行にとって最も重要なのは、
「貸したお金が返ってくるか」
です。
そのため、4つの視点の中でも返済能力は特に重視されます。
債務償還年数
一般的な計算式は次のとおりです。
(借入金-経常運転資金)
÷
(経常利益+減価償却費-法人税等)
現在の利益水準が続いた場合、借入金を何年で返済できるかを表す指標です。
※ 経常運転資金とは
経常運転資金とは、
(売掛金+棚卸資産-買掛金)
で求められます。
例えば、
売掛金3,000万円
棚卸資産2,000万円
買掛金1,500万円
であれば、
経常運転資金は3,500万円です。
これは事業を継続するために常に必要となる資金であり、返済に回すことはできません。
そのため銀行は、借入金総額から経常運転資金を差し引いて返済能力を判断します。
債務償還年数が短いほど、返済能力が高い会社と評価されます。
EBITDA(イービットダー)
営業利益+減価償却費
減価償却費は費用として計上されますが、実際には現金支出を伴いません。
そのため営業利益に減価償却費を加えることで、本業からどの程度キャッシュを生み出しているかを見ることができます。
銀行は、このキャッシュ創出力を返済原資として重視しています。
インタレスト・カバレッジ・レシオ
事業利益 ÷ 支払利息
借入金の利息を支払う余力を示す指標です。
例えば、
事業利益500万円
支払利息100万円
であれば5倍となります。
数値が高いほど、利息支払いに余裕があると評価されます。
銀行が本当に見ているのは何か
ここまで見てきた指標を振り返ると、繰り返し登場する言葉があります。
それは、
「自己資本」
と
「経常利益」
です。
自己資本は会社の体力を表します。
経常利益は会社の稼ぐ力を表します。
銀行は、
「財務基盤が安定しており、利益を出し、その利益で借入金を返済できる会社か」
という視点で決算書を見ています。
その考え方が、安全性・収益性・成長性・返済能力という4つの評価項目に反映されているのです。
まとめ
銀行は企業を評価する際、
- 一次評価(定量評価)
- 二次評価(定性評価)
- 三次評価(潜在返済能力)
という3つの視点から判断しています。
その中でも土台となるのが、決算書の数字をもとに行われる一次評価(定量評価)です。
一次評価では、
- 安全性
- 収益性
- 成長性
- 返済能力
という4つの視点から企業が分析されます。
そして最終的には、
「この会社は貸したお金を返せるのか」
という一点に集約されます。
決算書は税金計算のためだけの資料ではありません。
銀行がどのような視点で決算書を見ているのかを理解することで、自社の財務改善や融資対策のヒントが見えてくるはずです。
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