銀行は社長個人のどこを見ているのか?~三次評価(潜在返済能力)で見られるポイント~

この記事でわかること

  • 三次評価(潜在返済能力)とは何か
           
  • 銀行が社長個人の資産や収支を確認する理由
           
  • 赤字や債務超過でも評価が変わるケース
           
  • 法人と個人を一体で考えるという視点
           
  • 銀行へ説明する際に準備しておきたい資料
           
           

はじめに

銀行融資の審査というと、

 

「決算書の数字だけで判断される」

と思われる方も多いのではないでしょうか。

 

確かに銀行は、まず決算書を分析し、企業の財務内容を評価します。

 

しかし、中小企業の場合はそれだけではありません。

 

銀行は一般的に、

  • 一次評価(定量評価)
  • 二次評価(定性評価)
  • 三次評価(潜在返済能力)
           

という視点で企業を見ています。

 

一次評価では決算書の数字を分析し、二次評価では経営者の姿勢や事業内容などを確認します。

 

そして三次評価では、会社の決算書だけでは見えない「返済能力」に目を向けます。

 

今回は、この三次評価(潜在返済能力)の考え方について解説します。

 

 

三次評価(潜在返済能力)とは

三次評価とは、会社単体の決算書だけでは見えない返済余力を確認する考え方です。

 

中小企業では、会社と経営者が密接に関係しているケースが少なくありません。

 

例えば、

  • 社長個人に十分な預金がある
           
  • 不動産を保有している
           
  • 会社へ資金を貸し付けている
           
  • 借入金の返済に問題がない
           
           

といった状況であれば、会社の数字だけを見る場合と評価が変わることがあります。

 

銀行は、

「決算書上は厳しい状況に見えるが、本当に返済が難しい会社なのか」

 

という視点でも確認しているのです。

 

では、実際にはどのようなケースで評価が変わるのでしょうか。

 

 

事例紹介

かつて金融庁の「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」では、

中小企業融資における考え方を示すため、さまざまな事例が紹介されていました。

 

金融検査マニュアル自体は現在廃止されていますが、

銀行が企業をどのように見ているのかを理解するうえでは、今でも参考になる部分があります。

 

ここでは、掲載されていた事例の考え方をもとに、内容を分かりやすく整理してご紹介します。

 


 

◆ ケース1 赤字でも評価が変わることがある

 

ある会社は、売上の伸び悩みにより2期連続で赤字となっていました。

 

決算書だけを見ると、銀行の評価は厳しくなりそうです。

 

しかし詳しく内容を確認すると、赤字の大きな要因は高額な役員報酬や家賃負担にありました。

 

また、

  • 借入金の返済はこれまで正常に行われている
           
  • 社長個人にも十分な収入や資産がある
           
           

という状況でした。

 

銀行は、

「赤字だから危険」

と単純に判断するのではなく、

 

「本業そのものに問題があるのか」

「返済能力は維持されているのか」

 

という視点で確認します。

 

決算書の数字だけでは見えない実態を把握しようとするのが、三次評価の考え方です。

 


 

◆ ケース2 債務超過でも評価が変わることがある

 

別の会社では、長年の業績低迷により実質的な債務超過となっていました。

 

会社単体で見ると、融資判断はかなり厳しくなります。

 

しかし、

  • 社長個人に不動産や預金などの資産がある
           
  • 会社を支援する意思が確認できる
           
  • 実際に返済資金を支援している
           
           

という状況でした。

 

このような場合、銀行は会社だけではなく、経営者個人の状況も含めて判断することがあります。

 

もちろん、個人資産があるだけで融資が受けられるわけではありません。

 

しかし、

「会社だけを見ると厳しいが、経営者を含めて考えるとどうか」

 

という視点が存在することは知っておきたいポイントです。

 

 

法人と個人を一体で考えるという視点

このような考え方から、銀行が法人と経営者個人を合わせて確認することがあります。

 

例えば、

 

会社の貸借対照表に「役員借入金」が計上されている場合、

会社から見れば負債ですが、社長個人から見れば会社への貸付金です。

 

このような関係を整理すると、

会社単体では債務超過であっても、経営者個人を含めると見え方が変わるケースがあります。

 

オーナー企業では、

「会社だけ」

ではなく、

 

「会社と経営者を一体として見る」

という考え方が行われることがあるのです。

 

 

銀行に説明できる会社は強い

銀行は決算書だけでなく、会社の実態を把握したいと考えています。

 

そのため、業績が厳しい場合でも、

 

  • 代表者個人の資産状況
           
  • 個人の借入状況
           
  • 会社への資金支援の実績
           
  • 保有不動産の状況
           
           

などを整理して説明できると、銀行の理解が深まることがあります。

 

実際には、

「会社の数字が悪いから無理だろう」

と諦めてしまう経営者も少なくありません。

 

しかし、銀行は決算書以外の情報も踏まえて判断しています。

 

重要なのは、自社の状況を正しく整理し、銀行へ説明できる状態にしておくことです。

 

 

まとめ

銀行融資の審査では、決算書だけが見られているわけではありません。

 

中小企業では、社長個人の資産や収支状況、返済実績なども重要な判断材料になります。

 

そのため、

「赤字だから融資は無理」

「債務超過だから諦めるしかない」

 

とは必ずしも言えません。

 

 

銀行は会社の数字だけでなく、その背景や経営者の状況も含めて総合的に判断しています。

 

自社の状況を正しく把握し、銀行へ説明できる準備をしておくことが、融資の可能性を広げる第一歩と言えるでしょう。

 

 

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