この記事でわかること
- 商談や取引交渉の前に整理しておきたい5つの視点
- 自社の強みを、相手にとっての価値へ置き換える考え方
- PESTLE分析を使って外部環境の変化を捉える方法
- 経営者が提案を受ける際に重視する3つの判断基準
- 商談会や営業先を選ぶときに確認したいポイント
はじめに
商談会や展示会に参加しても、なかなか具体的な取引につながらない。
既存の取引先に提案しても、反応が薄い。
こうしたとき、話し方や資料の見せ方に原因があると考えがちです。
もちろん、伝え方も重要です。しかし、その前に整理しておきたいのが、
- 自社は何を提供できるのか
- 相手は何を求めているのか
- 両者はどこで結びつくのか
という点です。
十分な準備をしないまま商談に臨むと、
説明が自社の商品やサービスの紹介に偏り、相手にとってのメリットが伝わりにくくなります。
これは商談会に限った話ではありません。
新規取引、既存顧客への追加提案、価格改定、業務提携など、さまざまな取引交渉に共通する問題です。
今回は、商談や取引交渉を成果につなげるために整理しておきたい5つの視点を解説します。
1.自社の強みを整理する
最初に取り組みたいのは、自社の商品やサービスの強みを整理することです。
ただし、
「品質が高い」
「対応が丁寧」
「実績が豊富」
といった表現だけでは、他社との違いが伝わりにくいことがあります。
大切なのは、その強みが相手にどのような利益をもたらすのかまで考えることです。
たとえば、
「短納期に対応できます」
ではなく、
「急な受注にも対応できるため、販売機会を逃しにくくなります」
と伝えた方が、相手にとっての価値が明確になります。
小ロット対応、特殊加工、地域密着、導入後の支援なども同じです。
自社の特徴を並べるだけでなく、相手のどのような困りごとを解決できるのかまで掘り下げる必要があります。
2.PESTLE分析で外部環境を確認する
自社の強みを整理したら、次に外部環境を確認します。
市場のニーズは、人手不足、物価上昇、技術革新、法改正などによって変化します。
こうした動きを整理する方法の一つが、PESTLE分析です。
PESTLE分析では、外部環境を次の6つの視点で捉えます。
- P:政治・政策
- E:経済
- S:社会
- T:技術
- L:法律・規制
- E:環境
たとえば、
人手不足が進めば、省力化への需要が高まり、
原材料価格が上昇すれば、歩留まり改善や長寿命化への関心が強まります。
法改正や環境規制が、新たな商品やサービスの需要を生むこともあります。
PESTLE分析の目的は、将来を正確に予測することではありません。
外部環境の変化によって、
- 顧客は何に困るのか
- 自社の商品やサービスがどこで役立つのか
を考えることに意味があります。
3.自社の強みと市場の変化が重なるところを探す
次に、自社の強みと外部環境の変化が重なる部分を探します。
たとえば、
- 人手不足の業界に、省力化できる商品を提案する
- 原材料価格が上昇している企業に、歩留まりを改善する技術を提案する
- 法改正への対応が必要な企業に、新しい基準に合った商品を提案する
- 環境対応を求められる企業に、省エネや廃棄物削減につながる仕組みを提案する
といった考え方です。
重要なのは、自社の商品やサービスそのものを売ろうとするのではなく、
相手の課題を解決する手段として位置づけること
です。
相手が求めているのは、商品を購入すること自体ではありません。
その先にある、
「売上を増やしたい」
「コストを下げたい」
「業務負担を減らしたい」
「納期を安定させたい」
といった成果です。
4.経営者が気にする3つの判断基準を押さえる
商談では、自社が伝えたいことよりも、相手が知りたいことを優先する必要があります。
特に経営者は、次の3点を気にします。
① 自分の会社に直接関係する話なのか
経営者は、一般論だけでは動きません。
「DXが重要です」
「人手不足対策が必要です」
と説明するだけでなく、
- 自社のどの業務に関係するのか
- 何が改善されるのか
- 放置すると、どのような影響が出るのか
まで具体化する必要があります。
PESTLE分析で把握した市場や社会の変化も、最終的には、
その変化が相手の会社にどう影響するのか
まで落とし込むことが重要です。
② 他社と比べて、明確な違いがあるのか
次に経営者が見るのは、他社との違いです。
品質、実績、丁寧さだけでは、選ぶ理由として弱いことがあります。
重要なのは、
なぜ他社ではなく、この会社を選ぶ必要があるのか
という点です。
差別化は、特許や特殊技術だけではありません。
小ロット対応、短納期、地域性、柔軟な対応、導入後の支援なども、
相手が重視する点であれば十分な強みになります。
③ 短期的に売上や利益への効果が出るのか
経営者は、提案によってどのような成果が得られるかも重視します。
特に中小企業では、
- 売上が増えるのか
- コストが下がるのか
- 利益が改善するのか
- どの程度で投資を回収できるのか
といった短期的な効果が重要です。
そのため、
「業務効率化につながります」
ではなく、
「月20時間の作業削減が見込めます」
「半年程度で費用回収できる可能性があります」
など、可能な範囲で数字や期間を示すと伝わりやすくなります。
ただし、成果を断定するのではなく、実績や試算に基づいて説明することが大切です。
5.条件に合った相手と商談の場を選ぶ
商談会に参加する場合、
開催規模や参加企業数だけで選ぶのではなく、
自社が求める相手と出会えるかを確認する必要があります。
対象業種、企業規模、商談形式、バイヤーの募集内容などを見ながら、自社との相性を判断します。
この考え方は、商談会だけに限りません。
- 誰に営業をかけるのか
- どの取引先に新商品を提案するのか
- どの企業と連携するのか
- どの市場に展開するのか
といった場面でも、相手選びは重要です。
どれほどよい提案でも、それを必要としていない相手に伝えていては、取引にはつながりません。
商談前に整理したい5つのステップ
ここまでの内容を整理すると、商談前には次の5つのステップを踏むことになります。
- 自社と自社商品の強みを整理する
- PESTLE分析で外部環境の変化を確認する
- 自社の強みを活かせる課題や需要を探す
- 経営者が気にする3つの判断基準に沿って提案を組み立てる
- 条件に合う相手と商談の場を選ぶ
商談会を探したり、営業先を決めたりするのは、本来、この整理をした後です。
準備ができていれば、
「有名な商談会だから」
「参加企業が多いから」
「知人に勧められたから」
といった理由だけで判断することが少なくなります。
商談は、相手を理解する場でもある
商談は、すぐに成約することだけが成果ではありません。
相手が何に困っているのか、何を重視しているのか、自社の提案のどこに関心を持ったのかを知ることにも意味があります。
実際に話してみることで、
- 自社との関係性が伝わっていない
- 他社との違いが弱い
- 効果が出るまでの期間が長い
- 費用対効果が分かりにくい
といった課題が見えることもあります。
その気づきを次の提案に反映することで、営業先の選び方や商品・サービスの見せ方も改善できます。
まとめ
商談や取引交渉を成果につなげるためには、話し方や資料作成だけでなく、その前段階の整理が欠かせません。
自社の強みを明確にし、PESTLE分析で外部環境の変化を確認し、相手の課題から逆算して提案内容を考える。
そのうえで、
- 自社に直接関係する話なのか
- 他社と比べて明確な違いがあるのか
- 短期的に売上や利益への効果が見込めるのか
という経営者の視点に沿って提案を組み立てることが重要です。
何を売りたいかではなく、相手の課題を自社がどう解決できるか。
この視点が、商談や取引交渉を成果につなげる第一歩になります。
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商談や取引交渉を成果につなげるためには、自社の強みや市場環境を整理し、相手にとっての価値を明確にすることが重要です。
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