全東信の破産から考える、資金繰りサービスのリスク

この記事でわかること

  • 全東信の加盟店に、なぜ売上金が入らなくなったのか
           
  • 「全東信」と「支払い.com」では、資金繰り上のリスクがどう違うのか
           
  • 便利な資金繰りサービスを利用するときに確認したいこと
           
           

はじめに

 

クレジットカード決済に関するサービスを提供していた全東信が破産し、加盟店に売上金が入金されない問題が発生しました。

 

長年利用していた店舗の中には、

「まさか倒産するとは思わなかった」

という方も多かったのではないでしょうか。

 

 

お客様はカードで代金を支払い、店舗でも売上は計上されています。

それにもかかわらず、店舗にはその売上金が入ってきません。

 

これは単なる入金の遅れではなく、店舗が受け取るはずだった売上金が、実質的に回収不能となった問題です。

 

 

一方、資金繰りを調整するサービスには、売上金の入金を早めるものだけでなく、

「支払い.com」のように、取引先への支払いをクレジットカードで行い、実際の資金流出を後ろへずらすものもあります。

 

【関連記事】👉

クレカで支払い猶予最大84日間!資金繰り対策に使える「支払い.com」  – Willshine行政書士事務所|三条市の融資・資金繰り支援専門

 

 

どちらも資金繰りを助けるサービスですが、運営会社が支払いを履行できなくなった場合、自社に生じるリスクは同じではありません。

 

今回は、全東信の破産を手がかりに、入金を早めるサービスと、支払いを後ろへずらすサービスの違いを財務面から整理します。

 

 

全東信では、店舗が売上金を受け取る立場だった

 

クレジットカード決済では、

カード会社や決済代行会社などを経由し、後日、店舗の口座へ売上金が入金されます。

 

全東信は、加盟店のカード売上を通常より早く入金するサービスを提供していました。

 

 

店舗は、

「今週のカード売上100万円が、来週には入金される」

という前提で、仕入代金や給与、家賃などの支払予定を組みます。

 

 

ところが、全東信が破産し、予定していた売上金が入らなくなりました。

 

お客様がカード会社へ代金を支払っていても、

店舗がカード会社から直接売上金を受け取る契約になっていなければ、

店舗は全東信に支払いを求める立場になります。

 

つまり、加盟店は全東信の債権者です。

 

 

破産手続の中で配当を受ける可能性は残りますが、

売上金を満額回収できる見込みは低く、加盟店にとっては実質的な回収不能です。

 

そのうえ、売上金が入る前提で予定していた仕入代金や給与、家賃、借入金返済は、別の資金で賄わなければなりません。

 

全東信の破産では、

入金されるはずだった売上代金を回収できなくなることと、手元資金が不足することが同時に起こるのです。

 

 

支払い.comは、お金の流れが逆

 

一方、「支払い.com」は、取引先への銀行振込をクレジットカードで決済し、実際の資金流出を後ろへずらすサービスです。

 

たとえば、今月末に100万円の仕入代金を支払う必要があるとします。

 

通常であれば、今月末に預金口座から100万円が出ていきます。

 

支払い.comを利用すると、

運営会社が取引先へ100万円を振り込み、利用者は後日、カード会社の引落日に100万円と手数料を支払います。

 

その結果、今月末の資金流出を翌月以降へずらすことができます。

 

 

仮に運営会社から取引先への振込が行われず、

支払いが完了していなければ、利用者は取引先から支払いを求められる可能性があります。

 

その場合、後ろへずらしたはずの支払いについて、当面の資金を別途用意する必要が生じます。

 

こちらで問題になるのは、

後ろへずらしたはずの支払いを、予定より早く用意しなければならないこと

です。

 

資金繰り計画は崩れますが、受け取るはずだった売上金そのものを失う全東信の問題とは性質が異なります。

 

 

両者の違いは「資産を失うか」「支払時期が戻るか」

 

両者を整理すると、次のようになります。

 

 

◆ 全東信のようなサービス

 

入るはずだった売上金が入らない。

売上金は店舗が受け取るべき資産であるため、回収できなければ損失になります。

 


 

◆ 支払い.comのようなサービス

 

後で支払う予定だったお金を、当初の期限までに用意しなければならない。

 

支払い.comから取引先への振込が行われなければ、取引先への支払いは完了しません。そのため、利用者が別途資金を用意しなければならない可能性があります。

 


 

どちらも資金繰りに大きな影響を与えます。

 

ただし、全東信のような仕組みでは、手元資金が不足するだけでなく、本来受け取るはずだった資産そのものを失います。

 

これに対し、支払い.comでは、予定より早く資金を用意できれば、取引先への支払いはできます。

 

同じ100万円でも、財務上の意味は異なります。

 

 

資金繰りをつなぐ有効な手段でもある

 

このようなサービスについて、

「危険だから使わなければよい」

 

と単純に片づけることはできません。

 

 

売上の入金より先に、仕入代金や給与の支払いが来る会社では、一時的に資金が不足することがあります。

 

急な大口受注で仕入れが先行した場合や、得意先からの入金が遅れた場合には、

入金を早めたり、支払いを後ろへずらしたりするサービスが、

資金繰りをつなぐ有効な手段になることもあります。

 

 

一方で、今回の全東信の破産を契機に、

決済サービスの運営会社であっても破綻するリスクがあることは、改めて認識しておく必要があります。

 

 

サービスの仕組みや手数料だけでなく、

 

・運営会社の信用力

・自社のお金がどのような経路で動くのか

 

も、慎重に確認しなければなりません。

 

 

資金繰りサービスへの依存度を数字で確認する

 

資金繰りサービスを利用する際は、まず、自社がそのサービスにどの程度依存しているのかを把握しておきたいところです。

 

 

入金を早めるサービスであれば、毎月いくらの売上金がそのサービスを通じて入ってくるのか。

 

支払い.comのようなサービスであれば、毎月いくらの支払いを後ろへずらしているのか。

 

 

これらを資金繰り表に落とし込むと、サービスから回ってくるお金をもとに、

家賃や給与、仕入代金などへどの程度支払いを回しているのかが見えてきます。

 

仮に入金や振込が止まった場合、手元資金がどの程度減り、資金繰りにどれほどの影響が出るのかもシミュレーションできます。

 

 

毎月の利用額が大きいほど、運営会社に問題が起きたときの影響も大きくなります。

 

資金繰りサービスは、入出金の時期を調整する有効な手段です。

 

その一方で、自社の資金繰りのうち、どの部分を外部サービスに頼っているのかは、数字で確認しておく必要があります。

 

 

まとめ

全東信の破産では、店舗が受け取るはずだった売上金が入らず、実質的に回収不能となりました。

 

これは、

「入るはずのお金が入らない」

というリスクです。

 

 

一方、支払い.comのように支払いを後ろへずらすサービスでは、

「後で出るはずだったお金を、先に用意しなければならない」

というリスクがあります。

 

 

どちらも資金繰り計画を崩しますが、財務上の意味は異なります。

 

入金を早めたり、支払いを後ろへずらしたりするサービスは、資金繰りをつなぐ有効な選択肢です。

 

その一方で、運営会社が予定どおり入金や振込を行えなくなる可能性もあります。

 

 

利用する際には、手数料や入出金日だけでなく、

運営会社の信用力と、自社の資金繰りがそのサービスにどの程度依存しているのかも、数字で確認しておくことが大切です。

 

 

お問い合わせはこちら

 

当事務所では、中小企業・個人事業主の方向けに、資金繰り表の作成、銀行融資、資金繰り改善のご相談を承っています。

 

入金を早めるサービスや、支払い.comのように支払いを後ろへずらすサービスは、一時的な資金不足をつなぐ有効な手段になることがあります。

 

一方で、

  • その入金がなかった場合、いくら不足するのか
  • 支払いを延ばせなかった場合、資金を用意できるのか
  • サービス会社の信用力をどう見るか
  • 他の資金調達手段を準備できるか

 

まで確認しておくことが重要です。

 

「今の資金繰りで、どの程度の余裕があるのか確認したい」

「こうしたサービスを使うべきか迷っている」

「銀行へ相談する前に、資金繰りを整理したい」

 

このような場合は、お気軽にご相談ください。

   

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です