中東情勢で資金繰りが悪化する中小企業へ|公庫や自治体の支援制度を解説

この記事でわかること

  • 中東情勢が中小企業の資金繰りに与える影響
           
  • 日本政策金融公庫が行っている支援
           
  • 自治体による資金繰り支援
           
  • 新潟市の中東情勢影響アシスト枠の内容
           
           

はじめに

 

燃料や原材料などの価格上昇を、販売価格へ十分に転嫁できず、資金繰りに苦しむ中小企業が増えています。

 

 

帝国データバンクによると、2026年上半期の物価高倒産は556件に達し、前年同期から23.8%増加しました。

半期としては、集計を開始した2018年以降で最多です。

 

 

企業倒産全体も、2026年上半期は5,335件となり、前年同期を6.6%上回りました。

上半期として4年連続の増加となっています。

 

 

人件費や仕入価格、金利負担などが重くなる中、

中東情勢による原油価格や物流費、原材料費の上昇が、中小企業の経営にさらに負担を与えることが懸念されています。

 

 

こうした状況を受け、日本政策金融公庫や自治体なども、中小企業の資金繰り支援に動いています。

 

今回は、2026年7月現在の主な支援制度を紹介します。

 

 

中東情勢は幅広い業種に影響する

 

中東情勢の影響として、まず考えられるのが原油価格の上昇です。

 

ガソリンや軽油を多く使う運送業だけでなく、建設業、製造業、小売業、飲食業などにも、次のような形で影響が広がります。

 

 

  • 燃料費や電気代が上昇する
           
  • 運送会社から運賃の値上げを求められる
           
  • 樹脂製品、塗料、包装資材などが値上がりする
           
  • 輸送の混乱によって仕入れや納品が遅れる
           
  • 仕入先の値上げに価格転嫁が追いつかない
           
  • 取引先が生産や発注を抑える
           
  • 物価上昇によって消費者の買い控えが起こる
           
           

売上が大きく減っていなくても、原価や経費が増えれば、粗利益と手元資金は減少します。

 

また、取引先からの受注減少や消費者の買い控えによって、売上そのものが落ちることも考えられます。

 

現在、売上減少やコスト上昇に悩んでいる会社は、

その背景に燃料費、原材料費、物流費、取引先の発注減少などがないか、

確認してみる必要があります。

 

 

日本政策金融公庫の対応

 

日本政策金融公庫は、2026年3月23日から、全国の支店に

 

中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口

を設置しています。

 

 

中東情勢や原油価格上昇などの影響を受ける中小企業や小規模事業者から、

融資だけでなく、既存借入金の返済についても相談を受け付けています。

 

 

主な融資制度は、「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」です。

 

国民生活事業では、融資限度額は7,200万円です。

 

返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内で、いずれも据置期間は3年以内となっています。

 

 

また、

中東情勢や原材料・エネルギーコスト上昇の影響を受け、売上高や利益率が前期と比べて5%以上減少している場合には、

一定の金利引下げ措置も設けられています。

 

 

すでに資金が不足している場合だけでなく、

今後の支払いや借入返済に不安がある場合も、早めに相談しておくことが大切です。

 

 

自治体も資金繰り支援に動いている

 

中東情勢への対応は、日本政策金融公庫だけではありません。

 

自治体によっては、制度融資や信用保証料補助、相談窓口の案内などを行っています。

 

支援内容は地域によって異なります。

新たな専用融資枠を設ける自治体もあれば、既存の制度融資や保証料補助を活用して対応する自治体もあります。

 

 

その具体例として、新潟市の制度を見てみましょう。

 

 

新潟市の「中東情勢影響アシスト枠」

 

自治体による支援の具体例として、

新潟市は2026年7月21日から、経営支援特別融資に「中東情勢影響アシスト枠」を追加します。

 

 

対象となるのは、中東情勢の影響によって資金繰りが悪化している、または今後悪化するおそれがある中小企業者です。

 

主な内容は次のとおりです。

 

  • 融資限度額 別枠6,000万円
           
  • 資金使途 運転資金、設備資金
           
  • 融資期間 10年以内
           
  • 据置期間 原則3年以内
           
  • 信用保証 新潟県信用保証協会の保証付き
           
  • 保証料補助 借入額1,000万円以内は100%
           
  • 取扱期限 原則として2027年3月31日融資実行分まで
           
           

新潟市は、2026年7月21日から同枠の受付を始めるとともに、

借入額1,000万円以内に対する信用保証料の補助を100%とします。

 

 

ここでいう1,000万円は融資限度額ではなく、信用保証料が全額補助される借入額の上限です。

 

ただし、実際の融資については、金融機関と新潟県信用保証協会による審査があります。

 

 

支援制度の利用にあたって

 

制度を相談する際には、中東情勢という言葉だけを申込理由にするのではなく、

自社にどのような変化が起きているのかを伝える必要があります。

 

 

例えば、

・燃料費や原材料費が以前よりどれだけ増えたのか

・取引先からの受注や売上がどう変化したのか

・今後の支払いにどのような不安があるのか

などを整理しておきます。

 

試算表、請求書、仕入先からの値上げ通知、売上資料などがあれば、金融機関にも状況を説明しやすくなります。

 

 

最近、何が変わり、資金繰りのどこに不安を感じているのかを整理したうえで、早めに相談してみましょう。

 

 

物価高や人手不足に対応する保証制度

 

中小企業庁は、中東情勢に限らず、

原材料価格の高騰、物価高、人手不足などの影響を受ける中小企業向けに、

「協調支援型特別保証制度」を設けています。

 

 

金融機関のプロパー融資と信用保証協会の保証付き融資を組み合わせることなどにより、

中小企業の資金調達を後押しする制度です。

 

2028年3月31日までの時限措置となっており、

2026年度は、一定の要件を満たす場合に国が信用保証料の3分の1相当を補助します。

 

 

まとめ

 

中東情勢による影響は、燃料費だけではありません。

 

原材料費、物流費、包装資材、電気代、仕入れの遅れ、取引先からの受注減少などを通じて、

中小企業の利益と資金繰りを圧迫します。

 

2026年7月現在、日本政策金融公庫は全国に特別相談窓口を設け、セーフティネット貸付や返済相談に対応しています。

 

また、新潟市は2026年7月21日から中東情勢影響アシスト枠を開始し、借入額1,000万円以内の信用保証料を全額補助します。

 

 

現在の資金繰りが苦しい会社だけでなく、今後の売上や支払いに不安がある会社も対象となる可能性があります。

 

状況が深刻になる前に、日本政策金融公庫、取引金融機関、信用保証協会、所在地の自治体などへ相談してみましょう。

 

 

お問い合わせはこちら

 

燃料費や原材料費の上昇で、以前よりお金が残らなくなった。

 

売上が減少し、今後の支払いに不安を感じている。

 

公庫と銀行のどちらへ相談すればよいのか分からない。

 

そのような中小企業経営者さまに対して、資金繰りの確認、必要資金の整理、金融機関へ説明する資料の作成などをご支援しています。

 

資金繰りに不安がある方は、お早めにご相談ください。

 

   

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