借入金は何で返す?短期融資と長期融資で異なる返済財源

この記事で分かること

 

・短期融資と長期融資で返済財源がどう違うのか
       
・短期継続融資が「借りっぱなし」になる理由
       
・資金繰り表で長期借入金の返済余力を確認する方法
       
       

はじめに

 

銀行から借りたお金は、何によって返すのでしょうか。

 

「売上や利益から返す」と考えがちですが、借入金の返済財源はすべて同じではありません。

 

 

短期融資は、売掛金の回収などによって戻ってくる資金が返済財源です。

 

一方、長期融資は、事業が継続的に生み出すキャッシュから返済します。

 

 

この違いを理解しないまま借入れをすると、利益が出ていても手元資金が減り続けることがあります。

 

今回は、短期融資と長期融資の返済財源を、資金繰り表の見方とあわせて整理します。

 

 

短期融資の返済財源は売上代金の回収

 

事業では、商品代金や外注費を先に支払い、売上代金は後から入金されることがあります。

 

この支払いと入金のタイムラグを埋めるのが、運転資金のための短期融資です。

 

 

一般的な正常運転資金は、次の算式で考えます。

 

正常運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

 

 

金融庁も、卸売業、小売業、製造業などでは、正常運転資金を一般的にこの算式で捉える考え方を示しています。

 

ただし、実際に必要な金額は、業種や取引条件、季節変動などによって異なります。

 

 

短期融資の返済財源は、利益というより、

売掛金の回収や在庫の販売によって戻ってくる資金です。

 

売上高という損益計算書上の数字ではなく、

その売上代金が実際に入金されることが返済の前提になります。

 

 

なぜ短期継続融資は借りっぱなしになるのか

 

売掛金を回収すれば、理屈の上では短期融資を返済できます。

 

しかし、会社が事業を続ける限り、新たな仕入れや売掛金が発生し、次の運転資金が必要になります。

 

その都度、全額を返済して同額を借り直すのではなく、元金を据え置いたまま一定期間ごとに更新する方法が短期継続融資です。

 

 

金融庁は、正常運転資金に短期継続融資で対応することに問題はなく、

更新時に金融機関が会社の業況や実態を確認する融資手法になり得るとしています。

 

現在の監督指針でも、正常運転資金に対応する継続的な手形貸付は、単なる返済条件の緩和とは異なるものとして扱われています。

 

 

元金を据え置いて更新する限り、資金繰り表には毎月の元金返済が出てきません。

 

支払利息は発生しますが、長期融資のように、返済額が財務支出として継続的に資金を減らすことはありません。

 

ただし、更新時には審査があり、将来も必ず継続できるとは限りません。

 

 

長期融資は簡易キャッシュフローで返済力を見る

 

設備資金や長期運転資金のための長期融資は、数年かけて分割返済します。

 

その返済財源は、事業が継続的に生み出すキャッシュです。

 

 

損益計算書から返済財源を考える場合は、簡易キャッシュフローを使います。

 

簡易キャッシュフロー=経常利益+減価償却費-法人税等

 

減価償却費は損益計算書では費用ですが、その期に同額の現金が出ていくものではないため、経常利益に足し戻します。

 

 

そこから法人税等を差し引いた金額が、長期借入金の返済財源の目安となります。

 

例えば、簡易キャッシュフローが年間600万円、長期借入金の年間元金返済額が400万円であれば、

返済後も200万円が残ります。

 

反対に、簡易キャッシュフローが400万円で返済額が600万円なら、

預金を取り崩すか、新たな借入れで不足を補わなければなりません。

 

 

資金繰り表では経常収支と返済額を比べる

 

簡易キャッシュフローは、決算書から返済能力を概算する指標です。

 

しかし、利益と実際のお金の動きは一致しないことがあります。

 

売掛金や在庫が増えれば、利益が出ていても手元資金が増えていない場合があります。

 

そこで、実際の返済余力は資金繰り表で確認します。

 

 

長期借入金がある会社では、次の関係が重要です。

 

経常収支のプラス額 > 長期借入金の元金返済額

 

経常収支がプラスであっても、返済額より少なければ、その差額だけ手元資金は減っていきます。

 

見るべきなのは、本業でお金が増えているかだけではなく、そのお金で返済まで賄えているかです。

 

 

返済額の方が大きい場合

 

経常収支より返済額が大きい状態が続く場合は、二つの方向から対策を考えます。

 

一つは、借換えや返済期間の延長によって、

毎月の返済額を見直すことです。

 

もう一つは、粗利益率の改善、固定費の削減、売掛金の早期回収、過剰在庫の削減などにより、

経常収支を増やすことです。

 

 

長期借入金の返済不足を短期の運転資金で補い続けると、仕入れや経費の支払いに必要な資金が不足します。

 

長期返済の問題は、長期の借換えや収支改善で対応することが基本です。

 

 

まとめ

 

短期融資と長期融資では、返済財源が異なります。

 

短期融資は、売掛金の回収や在庫の販売によって戻ってくる資金が返済財源です。

 

事業を続ける限り必要な運転資金が繰り返し発生するため、短期継続融資では元金を据え置いたまま更新します。

 

 

一方、長期融資の返済財源は、事業が継続的に生み出すキャッシュです。

 

決算書では簡易キャッシュフローを目安とし、資金繰り表では、経常収支が元金返済額を上回っているかを確認します。

 

利益が出ているかだけではなく、返済後も手元にお金が残るかを見ることが大切です。

 

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