補正予算頼みから当初予算へ?高市政権の予算改革で中小企業の設備投資はどう変わるのか

この記事で分かること

 

  • 補正予算依存から脱却する予算編成改革の内容
           
  • 複数年度の予算によって、事業者の予見可能性がどう変わるのか
           
  • 補助金に振り回されず、設備投資と資金繰りを組み立てる3つの手順
           
           

はじめに

 

第221回国会の閉会を受け、2026年7月27日、高市総理が記者会見を行いました。

 

その中で注目したいのが、

政府の予算の作り方を根本から見直す「予算編成改革」です。

 

政府は、毎年、大型の補正予算が組まれることを前提とした予算編成から脱却し、

恒常的に必要な施策は、原則として当初予算に計上する方針を示しています。

 

 

さらに、危機管理投資や成長投資については、

複数年度の計画に基づいて支援する新たな枠組みを設け、

民間企業が設備投資や研究開発を行いやすい環境を整えるとしています。

 

 

この改革が進めば、国が重点的に支援する分野や予算の方向性が、これまでより早い段階で見えやすくなります。

 

ただし、個々の補助金や融資制度が、数年先まで約束されるわけではありません。

 

それゆえ、自社の投資計画と資金繰りを先に考え、その計画に合う制度を組み合わせる姿勢が、これまで以上に重要になります。

 

 

これまでは「当初予算が地図、補正予算が燃料」

 

以前、令和7年度の当初予算と補正予算の違いを解説した記事で、

当初予算を「地図」、補正予算を「燃料」と表現しました。

 

👉当初予算と補正予算の「決定的な違い」を令和7年度で読み解く – Willshine行政書士事務所|三条市の融資・資金繰り支援専門

 

 

当初予算には、国がどの分野を重視するのかという基本方針が示されます。

 

一方、大型の補助金では、秋以降に成立する補正予算や、そこから造成される基金が大きな役割を果たしてきました。

 

 

そのため、補助金を活用したい企業は、公募が始まってからではなく、

補正予算の内容が見えてくる秋から年末にかけて、投資の目的や事業計画を固める必要がありました。

 

しかし、この仕組みでは、補正予算が成立するまで、どの制度に、どの程度の予算が付くのか分かりません。

 

公募時期や条件も見通しにくく、本来は会社の都合で決めるべき設備投資の時期が、補助金の公募に左右されることもあります。

 

 

補正予算依存からの脱却

 

政府が打ち出したのは、この構造の見直しです。

 

恒常的に必要な施策は原則として当初予算に計上し、

補正予算は、災害や物価高、国際情勢の変化など、予算編成後に生じた緊急性の高い事態への対応に絞る方針です。

 

 

これにより、年度の途中で大型の経済対策が発表されることを前提とするのではなく、

年度の初めから必要な政策と予算を示す方向へ変わります。

 

 

ただし、補正予算がなくなるわけではありません。

 

予算編成後に生じた災害や物価高など、緊急性の高い事態には、今後も補正予算で対応します。

 

一方、恒常的に必要な施策は、補正予算で後から追加するのではなく、

原則として当初予算に盛り込む方向へ変わります。

 

 

複数年度で支援する「強く豊かな日本」投資枠

 

もう一つの柱が、危機管理投資や成長投資を対象とする「強く豊かな日本」投資枠です。

 

この投資枠では、国内の民間設備投資や潜在成長率を高める効果の大きい政策を対象とし、

複数年度の計画に基づいて予算を確保することが基本とされています。

 

 

また、真に効果のある投資支援策を組み込めるよう、通常の歳出とは別に設け、

要求上限、いわゆる「シーリング」を設けない方針も示されています。

 

 

政府は、17の戦略分野と8つの分野横断的課題のうち主要な政策について、

投資事業計画や主な予算事業を盛り込んだ複数年度の「日本成長戦略実行計画」を、

年末の予算編成に向けて取りまとめる方針です。

 

 

令和9年度予算は、この予算編成改革が本格的に反映される最初の予算となります。

 

国が数年かけて、どの産業や技術に投資しようとしているのかが示されれば、

企業側も、中長期の設備投資を検討しやすくなります。

 

 

プライマリーバランスは複数年で管理

 

予算編成の考え方を変える背景には、財政運営目標の見直しもあります。

 

今後は、政府債務残高の対GDP比を安定的に低下させることを財政運営の中核に置き、

プライマリーバランスについては、その状況を確認する指標として複数年で改善・管理する方針です。

 

 

これは、財政規律をなくすという意味ではなく、 

成長率、金利、税収、国債発行額、利払い費などを幅広く確認しながら、

成長投資と財政の持続可能性を両立させる考え方です。

 

 

単年度の収支だけで必要な投資を抑えるのではなく、

その投資が経済成長や税収にどうつながるのかも含めて判断しようとするものです。

 

 

中小企業の支援策はどう変わるのか

 

複数年度の予算になるからといって、すべての補助金、融資、税制優遇が数年間続くと決まったわけではありません。

 

今回の改革の中心は、危機管理投資や成長投資、日本成長戦略に掲げられた重点分野です。

 

中小企業向け補助金や日本政策金融公庫の特別融資、設備投資に関する税制優遇が、今後どのように組み込まれるかは、

各年度の予算や税制改正、個別の制度設計を確認する必要があります。

 

 

それでも、

国の重点分野や投資の方向性が複数年度で示されれば、

自社の設備投資と国の支援策が合うかどうかを、以前より早い段階で判断しやすくなります。

 

 

重要なのは、

「来年はどんな補助金が出るのか」

を待つことではなく、

 

自社に必要な投資を先に決めることです。

 

 

補助金に振り回されない資金計画の3つの手順

 

1.必要な投資の時期と金額を決める

 

老朽化設備の更新、省力化、新製品の開発、新規事業への進出など、自社が今後必要とする投資を整理します。

 

設備名から考えるのではなく、どの経営課題を解決するための投資なのかを明確にすることが大切です。

 


 

2.補助金がなくても回る資金繰りを確認する

 

設備代金だけでなく、付随費用、運転資金、借入金の返済まで含めて、資金繰りを確認します。

 

補助金は原則として後払いであり、交付決定後、まず自社で設備などを導入し、事業完了後に補助金を受け取る制度が一般的です。

 

そのため、自己資金と銀行融資を含め、補助金の入金まで資金が回るかを確認しておく必要があります。

 


 

3.利用できる制度を後から組み合わせる

 

自社の投資計画と資金繰りを固めた上で、補助金、融資、税制優遇を確認します。

 

条件に合う制度があれば活用し、合わなければ無理に合わせない。

 

この順番であれば、補助金の採択を目的に事業計画をゆがめることもありません。

 

 

まとめ

 

高市政権が進める予算編成改革は、補正予算に依存した短期的な予算編成から、

当初予算と複数年度の計画によって民間投資を後押しする方向への転換です。

 

 

国の重点分野や支援の方向性が早く示されれば、中小企業も設備投資や資金調達の計画を立てやすくなる可能性があります。

 

ただし、補助金や融資制度の利用が保証されるわけではありません。

 

国の制度が見えてから自社の計画を作るのではなく、まず、自社に必要な投資と資金繰りを整理する。

 

その上で、利用できる制度を組み合わせる。

 

予見可能性が高まるからこそ、制度任せではない、自社主導の資金計画が求められます。

 

 

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設備投資を検討していても、

 

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当事務所では、決算書や資金繰りの状況を確認しながら、設備投資の金額、資金調達方法、投資後の返済計画を整理しています。

 

補助金の有無だけで判断せず、自社にとって無理のない投資計画を数字で確認したい事業者様は、お気軽にご相談ください。

 

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