当座貸越は優良企業だけ?信用保証協会付きなら何が変わるのか

この記事で分かること

 

  • 信用保証協会付き当座貸越の仕組み
           
  • 保証料を払って借入枠を持つ意味
           
  • どのような会社に当座貸越が向いているのか
           
  • 信用保証協会の保証枠との関係
           
           

はじめに

 

当座貸越というと、

業績や財務内容が良く、金融機関との取引実績も十分にある企業だけに認められる借入枠、

という印象があります。

 

私もそのように考えていました。

 

ところが先日、新潟県信用保証協会が作成したチラシを目にしました。

 

そこには、

‶事業資金のお守り、持っていますか?″

という言葉とともに、当座貸越事業者カードローンが紹介されています。

 

 

信用保証協会は、金融機関の融資を保証する機関です。

 

それにもかかわらず、

なぜ信用保証協会が当座貸越を積極的に案内しているのでしょうか。

 

 

調べてみると、一般的にはハードルが高い当座貸越について、信用保証協会が企業の信用力を補う仕組みがありました。 

 

 

当座貸越のハードルが高い理由

 

当座貸越とは、

金融機関とあらかじめ契約した限度額の範囲内で、必要なときに借り、余裕ができたときに返済する融資方式です。

 

 

通常の証書貸付では、融資額や返済期間、毎月の返済額などを決めて借り入れます。

 

 

一方、当座貸越では、企業がいつ、いくら利用するかは分かりません。

金融機関は、設定した限度額の全額がいつでも引き出される可能性を想定する必要があります。

 

 

また、一時的な運転資金に使うはずが、借入残高が長期間減らず、実質的な固定借入れになることもあります。

 

そのため、信用保証協会を付けないプロパーの当座貸越では、

企業の業績、財務内容、返済実績、金融機関との取引状況などが重視されます。

 

便利な融資である一方、

どの企業でも簡単に持てる借入枠ではないのです。

 

 

信用保証協会付きなら何が変わるのか

 

信用保証協会付きであっても、信用保証協会が企業に直接お金を貸すわけではありません。

 

実際に当座貸越契約を結び、融資するのは銀行、信用金庫、信用組合などの金融機関です。

 

 

信用保証協会は、一定の極度額と期間を定め、その範囲内で繰り返し発生する当座貸越債務を保証します。

これが「当座貸越根保証」です。

 

 

仕組みを簡単に表すと、次のとおりです。

 

事業者
↓ 当座貸越を申し込む


金融機関
↓ 信用保証を申し込む


信用保証協会
↓ 保証承諾


金融機関が当座貸越枠を設定する

 

一般的な責任共有制度の対象となる保証では、信用保証協会が80%を保証し、金融機関も20%のリスクを負います。

 

保証協会が付いても金融機関のリスクがなくなるわけではありませんが、

信用リスクの大部分を保証協会が引き受けることで、プロパーだけでは難しい当座貸越枠を検討しやすくなります。

 

 

企業が保証料を支払い、信用保証協会の信用補完を受けることで、当座貸越のハードルを下げる仕組みといえるでしょう。

 

 

保証料を払ってまで枠を持つ意味

 

保証料を払えば、審査を甘くしてもらえるわけではありません。

 

金融機関信用保証協会の双方が審査するため、

少なくとも、業績が悪化し、通常の融資も難しくなった会社が最後の手段として使う制度ではありません。

 

 

一定の返済能力はあるものの、金融機関が単独で当座貸越枠を設定するには慎重になる会社について、

信用保証協会が信用を補う制度です。

 

当座貸越根保証の保証料率は年0.39~1.62%で、

料率自体は同じ区分の一般保証より低く設定されています。(2026年7月現在)

 

 

しかし、保証料は実際に借りた金額ではなく、

原則として、

設定した極度額と保証期間を基に計算されます。

 

分割返済型融資に用いられる返済回数別係数も適用されません。

 

例えば、極度額500万円、保証期間2年、保証料率年0.98%であれば、保証料は9万8,000円です。

 

実際には100万円しか使わなかった場合や、一度も利用しなかった場合でも、原則として500万円の極度額を基に保証料が計算されます。

 

したがって、料率そのものが高いわけではありませんが、

利用残高が少なければ、通常の保証付き融資より割高に感じることがあります。

 

 

保証協会の保証枠も使用する

 

もう一つ注意したいのが、信用保証協会の保証限度額です。

 

一般保証の基本的な限度額は、1企業当たり普通保証2億円と無担保保証8,000万円を合わせた2億8,000万円です。

 

制度によっては、この一般枠とは別に限度額が設けられる場合もあります。

 

新潟県信用保証協会の当座貸越根保証には、商品ごとに異なる上限があります。

 

 

例えば、事業者カードローン当座貸越根保証は2,000万円、無担保当座貸越根保証は2億円、通常の当座貸越根保証は2億8,000万円が制度上の限度額です。

 

 

これらが既存の保証付き融資とは別に使えるわけではありません。

 

原則として、既に利用している保証付き融資と合算して、企業全体の保証限度額の範囲内で審査されます。

 

また、当座貸越では、実際の借入残高ではなく、設定した保証極度額が保証枠を使用します。

 

 

大きな貸越枠を確保すれば安心感はありますが、

後日、設備資金や長期運転資金が必要になった際に、利用できる保証枠が少なくなる可能性があります。

 

保証料だけでなく、将来の資金調達余力も考えて、必要な極度額を設定することが大切です。

 

 

どのような会社に向いているのか

 

信用保証協会付き当座貸越が向いているのは、資金需要の金額や時期が変動しやすい会社です。

 

例えば、次のようなケースです。

 

  • 大口受注が突然入り、材料費や外注費が先に必要になる
           
  • 仕入代金の支払いから売上代金の入金まで期間が空く
           
  • 季節によって仕入れや在庫が大きく変動する
           
  • 案件ごとに必要な資金額が異なる
           
  • 融資審査を待っていると受注機会を逃す可能性がある
           
  • 借入後、売掛金の入金などで比較的短期間に返済できる
           
           

建設業、製造業、卸売業など、先行支出が発生しやすい会社では、当座貸越の機動性が生きることがあります。

 

 

例えば、大口工事を受注し、材料費や外注費として500万円が先に必要になるものの、2か月後には工事代金が入金されるケースです。

 

証書貸付をその都度申し込むより、あらかじめ貸越枠を持ち、入金後に返済する方が使いやすいことがあります。

 

一方、設備投資のように必要額と時期が明確で、借りた資金を長期間使うのであれば、通常の証書貸付の方が適していることもあります。

 

 

判断のポイントは、

資金需要にすぐ対応できる機動性に、保証料と保証枠を使うだけの価値があるか

ということです。

 

 

まとめ

 

信用保証協会付き当座貸越では、金融機関が融資を行い、信用保証協会が当座貸越債務を保証します。

 

保証協会が信用リスクの一部を引き受けることで、

プロパーでは難しい会社にも、当座貸越枠を設定できる可能性があります。

 

ただし、保証料は実際の利用残高ではなく、設定した極度額を基に計算されます。

 

また、その極度額は信用保証協会の保証枠も使用します。

 

 

信用保証協会付き当座貸越が向いているのは、

資金需要が突発的に発生し、売掛金の入金などで比較的短期間に返済できる会社

です。

 

「当座貸越を持てるか」だけではなく、

保証料と保証枠を使ってまで、自社にその機動性が必要か

という視点で検討することが大切です。

 

 

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