この記事で分かること
- 経営者が決算書について今さら聞きにくい理由
- 経営年数が長いほど、初歩的な質問が難しくなる背景
- 決算書セミナーに参加しても理解できないことがある理由
- 経営者に必要なのは、一般論よりも自社の数字を確認する機会であること
- 分からないまま経営判断を続けるリスク
はじめに
税理士から決算内容の説明を受けても、よく分からない。
銀行員との面談で専門用語が出てくると、分かったようにうなずいてしまう。
決算書のセミナーに参加したことはあるけれど、途中から難しくなり、結局よく分からなかった。
そのような経験はないでしょうか。
「経営者なのに、こんなことも分からないとは言えない」
長く経営している方ほど、初歩的なことを聞きにくいと感じるかもしれません。
しかし、決算書を十分に活かし切れていない経営者は、決して珍しくありません。
問題は、分からないことそのものではありません。
「経営者だから分かっていて当然」と思われることが、質問を難しくしているのです。
多くの経営者は、決算書を活かし切れていない
決算書は毎年作成していても、税金の確認や銀行への提出だけで終わっている会社は少なくありません。
売上や利益は見ていても、現預金や借入金、返済力、資金繰りとのつながりまでは、十分に確認できていないことがあります。
営業、現場、人材対応、取引先との交渉など、経営者が日々向き合う仕事は多岐にわたります。
その中で、決算書をじっくり読み、今後の経営に活かす時間を取れないまま、次の期を迎えている方も多いでしょう。
決算書を活かし切れていないことは改善すべき課題ですが、
それだけで経営者としての資質や能力まで否定されるものではありません。
ただ、決算書には、自社の収益力、財務内容、返済力、資金繰りなど、今後の判断に役立つ情報が表れています。
作成して提出するだけで終わらせるのは、もったいないことです。
経営年数が長いほど、初歩的なことは聞きにくい
経営を始めたばかりの頃であれば、分からないことを素直に聞けたかもしれません。
しかし、経営年数が長くなるにつれて、状況は変わります。
税理士とは何年も付き合っている。
銀行員からも、毎年決算内容について質問されている。
従業員からは、社長は当然数字を分かっていると思われている。
そのような立場で、
「営業利益とは何ですか」
「利益が出ているのに、なぜお金がないのですか」
「この借入金は、会社にとって多いのでしょうか」
とは、なかなか聞きにくいものです。
質問すれば済むことでも、
「今さら、こんなことを聞いたらどう思われるだろう」
という気持ちが先に立ちます。
その結果、分かったようにうなずき、曖昧なまま話を終えてしまいます。
経営者が決算書について質問できない背景には、知識の問題だけでなく、
経営者としての立場やプライドがあります。
税理士や銀行との打ち合わせで、分かったふりをしていませんか
税理士との決算説明では、売上、利益、税金などについて一通り説明を受けます。
銀行との面談では、利益や借入金だけでなく、キャッシュフロー、返済力、自己資本、運転資金などの言葉が出ることもあります。
説明を聞いたその場では、何となく分かったような気になるかもしれません。
しかし、あとになって、
「銀行は何を心配していたのだろう」
「なぜ追加資料を求められたのだろう」
「なぜ希望どおりの融資にならなかったのだろう」
と疑問が残ることがあります。
分からない言葉があること自体は問題ではありません。
問題なのは、分からないまま重要な打ち合わせを終え、その後の判断まで曖昧になることです。
経営者がすべての会計用語を知る必要はありません。
ただ、相手が何を説明し、自社のどこを懸念しているのかは、経営者自身が理解しておく必要があります。
決算書セミナーに参加しても、分からないまま終わることがある
決算書を学ぼうと思い、本を読んだり、セミナーに参加したりした方もいるでしょう。
それでも、途中から分からなくなったという話は珍しくありません。
大人数のセミナーでは、周囲が理解しているように見えると、初歩的な質問をしにくくなります。
講師の説明が専門用語中心であれば、一つ分からないところが出た時点で、その後の内容についていけなくなることもあります。
さらに、一般的なセミナーで使われるのは、架空の会社や他社の決算書です。
経営者が本当に知りたいのは、一般論ではありません。
知りたいのは、
「自分の会社はどうなのか」
です。
自社の利益は十分なのか。
借入金の返済に無理はないのか。
なぜ現金が残らないのか。
銀行は自社のどこを見ているのか。
このような疑問は、自社の決算書を見なければ分かりません。
経営者に必要なのは、自社の数字を確認できる機会
経営者が、自分で仕訳を切ったり、細かな勘定科目を覚えたりする必要はありません。
必要なのは、簿記の試験に合格するための知識ではなく、自社の数字を経営判断に使うための理解です。
そのためには、一般的な決算書の説明を聞くよりも、自社の決算書を使って、
「この数字は何を意味しているのか」
「なぜこの年度に現金が減ったのか」
「銀行はどこを気にするのか」
を一つずつ確認した方が分かりやすくなります。
自社の決算書であれば、数字の背景も思い出せます。
この借入金は、設備を購入したときのもの。
この年度は、大きな修繕費が発生した。
この売掛金は、回収までに時間がかかる取引先のもの。
数字と実際の経営が結び付くことで、決算書が単なる書類ではなくなります。
分からないことより、分からないまま判断する方が怖い
決算書が分からないこと自体を、恥ずかしく思う必要はありません。
これまで現場や営業を優先し、決算書について十分に確認する機会がなかった方も多いでしょう。
ただし、分からないまま重要な判断を続けることには注意が必要です。
追加融資を受けるのか。
設備投資を行うのか。
人を採用するのか。
借入金の返済をこのまま続けられるのか。
こうした判断には、売上や利益だけでなく、現預金、借入金、返済力、資金繰りなどの確認が欠かせません。
分からないことよりも、分かったふりをしたまま判断することの方が怖いのです。
「何が分からないのか、自分でもよく分からない」
そのような段階でも構いません。
自社の数字を一つずつ確認すれば、見るべきポイントは整理できます。
まとめ
「経営者なのに、決算書の見方が分からない」と感じていても、初歩的な質問ほど聞きにくいものです。
特に経営年数が長くなると、税理士、銀行員、従業員から「数字を分かっていて当然」と思われているように感じ、質問をためらうことがあります。
また、決算書の本や一般的なセミナーでは、自社の経営とのつながりが見えず、理解できないまま終わることもあります。
経営者に必要なのは、簿記の専門家になることではありません。
自社の利益、借入金、返済力、資金繰りについて、経営判断に必要な範囲で理解することです。
分からないことを恥ずかしがる必要はありません。
大切なのは、分からないままにせず、自社の数字をこれからの経営に活かしていくことです。
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「何が分からないのか、自分でもよく分からない」という段階でも構いません。
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「経営者なのに、決算書の見方が分からない」と今さら言えない方へ – Willshine行政書士事務所|三条市の融資・資金繰り支援専門