金利上昇時代、借り過ぎを防ぐ資金繰り管理とは

この記事で分かること

 

  • 手元現預金を厚く持つメリット
           
  • 手元現預金をどこまでも増やせばよいわけではない理由
           
  • 金利上昇時代における「適量資金」の考え方
           
  • 予測資金繰り表の精度を高める方法
           
  • 資金繰り管理でPDCAを回す重要性
           
           

はじめに

 

銀行から「いくら必要ですか」と聞かれたとき、

 

「借りられるなら、できるだけ多く借りたい」

と考える経営者は多いと思います。

 

 

手元資金に余裕があることは、経営の安心につながります。

 

しかし、金利が上昇している今、必要以上の借入は、そのまま利息負担の増加につながります。

 

 

大切なのは、「いくら借りられるか」ではなく、

「自社には、いくら必要なのか」

を把握することです。

 

 

中小企業にとって、手元現預金は経営の安心材料です。

 

十分な資金があれば、急な設備修繕や取引先からの入金遅延などにも対応しやすくなります。

 

また、新たな設備投資や仕入、人材採用など、

経営上の意思決定が必要になったときにも、

資金面を理由に機会を逃さず、機動的に動くことができます。

 

 

その意味では、手元現預金には一定の厚みを持たせることが大切です。

 

 

しかし、手元現預金は、どこまでも厚くすればよいわけではありません。

 

特に、借入金で手元資金を積み上げている場合には注意が必要です。

 

 

最近のように借入金利が上昇する局面では、

必要以上の借入は、そのまま支払利息という資金コストの増加につながります。

 

 

では、自社はいくらの手元資金を持っていればよいのでしょうか。

 

その判断を支えるのが、「予測資金繰り表」です。

 

 

手元資金を厚く持つメリット

 

会社経営では、予定どおりに資金が動くとは限りません。

 

取引先からの入金が遅れることもあれば、

設備の故障などによって突然まとまった支払いが発生することもあります。

 

そのようなとき、手元現預金が少なければ、急いで資金調達を考えなければなりません。

 

 

一方で、十分な手元資金があれば、ある程度の突発的な支出にも対応できます。

 

 

また、経営の機動性という面でもメリットがあります。

 

例えば、

急に有利な設備投資の話が出てきた

新しい仕事を受注するために先行して仕入資金が必要になった

といった場面です。

 

 

手元資金に余裕があれば、資金調達を待たずに意思決定できることがあります。

 

手元現預金は、単に資金ショートを防ぐためだけではなく、経営の選択肢を広げる役割も持っています。

 

 

金利上昇で変わる資金管理

 

一方で、手元現預金が多ければ多いほどよい、というわけでもありません。

 

特に考えたいのが、その資金をどのように調達しているかです。

 

 

自己資金として蓄積してきた現預金と、銀行から借り入れて積み上げた現預金では、意味が異なります。

 

 

借入金には金利がかかります。

 

仮に、当面使う予定のない資金まで多めに借りて手元に置いていれば、

その資金にも利息を支払い続けることになります。

 

 

低金利の時代には、このコストがあまり意識されなかったかもしれません。

 

しかし、借入金利が上昇する局面では、資金を持つ安心感だけでなく、

その資金を維持するコストにも目を向ける必要があります。

 

 

「できるだけ多く借りておく」

でも、

 

「借入をできるだけ減らす」

でもなく、

 

自社の事業や資金繰りに応じた、必要十分な資金を持つことを目指しましょう。

 

 

「適量資金」という考え方

 

必要十分な資金量は、会社によって異なります。

 

毎月ほぼ一定の売上入金がある会社と、大型案件の入金が数か月に一度という会社では、必要な手元資金の水準は違います。

 

 

また、賞与や納税、設備投資など、大きな支払いが予定されている会社であれば、その分も考慮しなければなりません。

 

 

「現預金は月商の何か月分あるか」という現預金月商倍率は、手元資金の水準を考えるうえで有効な目安の一つです。

 

ただし、それだけで必要な手元資金が決まるわけではありません。

 

自社の事業や資金繰りの特徴、さらに将来の入出金も踏まえて考える必要があります。

 

 

 

「適量資金」という考え方が重要です。

 

資金ショートを防ぎ、経営の機動性を確保できるだけの余裕は持つ。

一方で、借入金による過剰な現預金を抱え、必要以上の利息を負担することは避ける。

 

このバランスを考える必要があります。

 

 

予測資金繰り表の役割

 

自社にとっての適量資金を考えるうえで役立つのが、予測資金繰り表です。

 

将来の売上入金や仕入代金、外注費、人件費、借入返済、税金、賞与、設備投資などを予定表に落とし込むことで、

将来の現預金残高を予測します。

 

 

そうすることで、

 

「3か月後に資金が不足しそうだ」

「このままであれば半年程度は十分な資金余力がある」

 

といったことが見えてきます。

 

資金不足が予測できれば、資金が底をつく前に銀行へ相談できます。

 

 

反対に、当面十分な手元資金が確保できると分かれば、必要以上に借入を増やさないという判断もできます。

 

 

特に金利が上昇している現在は、

必要以上の借入を抑え、資金コストを管理するという面でも、

予測資金繰り表の役割は一層大きくなっています。

 

 

予測資金繰り表は、資金不足を発見するためだけのものではありません。

 

必要な時期に、必要な金額を調達するための判断材料でもあります。

 

 

予測精度を高めるには

 

もっとも、将来の資金繰りを100%正確に予測することはできません。

 

売上や入金時期が予定どおりにならないこともあります。

 

予定していなかった支出が発生することもあります。

 

 

そのため、予測資金繰り表は、未来をぴたりと当てることを目的にするものではありません。

 

 

重要なのは、できるだけ現実に近い予測を立て、その精度を継続的に高めていくことです。

 

まず必要なのは、確度の高い損益計画です。

 

売上や利益について、希望的観測を前提に計画を作れば、その後の資金繰り予測も実態から離れてしまいます。

 

受注状況や過去の実績などを踏まえ、現実的な売上、仕入、経費を見積もる必要があります。

 

 

さらに重要なのが、実績資金繰り表です。

 

過去の実績を見ると、

 

「毎月どの時期に売掛金が回収されるのか」

「仕入や外注費はいつ支払っているのか」

 

「賞与や税金など、大きな支払いはいつ発生するのか」

「繁忙期には仕入資金がどの程度増えるのか」

 

といった、自社特有の資金の流れが見えてきます。

 

 

また、実績資金繰り表を下地にして予測資金繰り表を作成すれば、

毎月発生する支払いや定期的な入出金の漏れを防ぎやすくなります。

 

ゼロから予測を作るよりも、実際に発生した資金の動きを基礎にした方が、現実の資金繰りに近い予測になります。

 

 

こうした実績のトレンドを踏まえながら、

今後の売上計画や設備投資などを反映することで、

資金繰り予定表の精度を高めることができます。

 

 

PDCAで精度を高める

 

予測資金繰り表は、一度作って終わりではありません。

 

実際の入出金が発生したら、予測と実績を比較します。

 

 

例えば、予測より現預金残高が少なくなったのであれば、

 

「売上が計画を下回ったのか」

「入金が翌月にずれたのか」

 

「仕入が予定より増えたのか」

「予定外の支払いが発生したのか」

 

その原因を確認します。

 

 

そして、その結果を翌月以降の予測に反映します。

 

Plan(計画)

Do(実行)

Check(検証)

Act(改善)

 

というPDCAを繰り返すことで、

自社の資金繰りの特徴が少しずつ分かるようになり、将来予測の精度も高まっていきます。

 

予測精度が高まれば、資金調達の必要額や時期についても、より根拠を持って判断できるようになります。

 

 

まとめ

 

手元現預金には一定の厚みが必要ですが、どこまでも増やせばよいわけではありません。

 

特に金利上昇局面では、自社にとっての「適量資金」を見極めることが重要です。

 

その判断を支えるのが、予測資金繰り表です。

 

現実的な計画と実績をもとにPDCAを回し、予測精度を高めることで、

必要な時に、必要な金額を調達する資金管理につながります。

 

 

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そのようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

現在の資金繰りや借入状況、今後の事業計画を確認しながら、

自社に合った資金管理の方法を一緒に考えていきます。

   

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