金利が上がったら繰上返済すべき?手元資金とのバランス

この記事で分かること

 

  • 金利上昇時に繰上返済を考える際のポイント
           
  • 住宅ローンと会社の借入金の違い
           
  • 繰上返済によって手元資金を減らすリスク
           
  • 繰上返済を検討しやすい会社、慎重に考えたい会社
           
  • 繰上返済を判断する前に確認しておきたいこと
           
           

はじめに

 

借入金の金利が上がってくると、

 

「利息がもったいないから、余裕のあるうちに少し返してしまおうか」

と考える経営者もいると思います。

 

 

確かに、繰上返済をすれば借入残高が減り、その後に支払う利息も少なくなります。

 

金利が高くなるほど、その効果も大きくなります。

 

 

しかし、会社の資金繰りという視点で考えると、

借入金は早く返した方がよい、とは一概に言えません。

 

 

借入金を返せば、同時に会社の手元資金も減るからです。

 

金利だけを見るのではなく、

「返した後に、会社にいくらお金が残るのか」

 

まで考えて判断する必要があります。

 

 

金利が上がれば、繰上返済のメリットも大きくなる

 

例えば、借入残高が3,000万円あるとします。

 

 

単純計算では、

金利1%なら年間の利息は30万円。

金利2%なら年間の利息は60万円です。

 

 

実際には元金返済によって借入残高は減っていきますが、

借入金の金利がいまより高くなれば、その分だけ利息負担も大きくなります。

 

余剰資金があるなら、

「銀行に預けておくより、借入金を返した方がよいのではないか」

 

と考えるのも自然です。

 

 

問題は、そのお金が本当に「余っているお金」なのか、ということです。

 

 

住宅ローンの繰上返済と、会社の借入金返済は少し違う

 

個人の場合、住宅ローンの繰上返済を検討することがあります。

 

余裕資金を使って繰上返済すれば、

将来支払う利息を減らしたり、返済期間を短くしたりすることができます。

 

もちろん、個人でも生活費や教育費、老後資金などを残しておく必要があります。

 

 

ただ、会社の場合は事情が少し違います。

 

会社は事業を続けている限り、

仕入代金

人件費

外注費

税金

設備資金

 

など、継続してお金が必要になります。

 

しかも、売上が増えれば必ず手元資金も増えるとは限りません。

 

例えば、大きな受注が入ったために材料を仕入れ、外注費を支払った。

しかし、売上代金が入ってくるのは2か月後。

 

この場合、仕事が増えたことで、一時的にはむしろ多くの運転資金が必要になります。

 

 

会社では、

手元にある現金そのものが、これから事業を動かすための資金でもある

のです。

 

 

そのため会社の借入金では、

「繰上返済すると利息がいくら減るか」

だけではなく、

 

「返した後も事業を回すためのお金が十分に残るか」

まで考える必要があります。

 

 

繰上返済すれば、手元資金も同じだけ減る

 

例えば、

 

預金3,000万円

借入金3,000万円

 

という会社があるとします。

 

 

この会社が1,000万円を繰上返済すれば、

預金2,000万円

借入金2,000万円

 

になります。

 

借入金が1,000万円減り、その分の利息負担も減ります。

 

 

しかし同時に、

自由に使える現金も1,000万円減っています。

 

その後に設備が故障したり、大口の受注が入ったり、売掛金の回収が予定より遅れたりすれば、

新たな資金が必要になるかもしれません。

 

 

そこで、

「必要になったら、また銀行から借りればよい」

と思うかもしれません。

 

 

しかし、一度銀行へ返したお金を、必要になったときに再び借りられるとは限りません。

 

その時点の業績や決算内容、借入状況などをもとに、改めて金融機関の審査を受けることになります。

 

むしろ会社がお金を必要とするときほど、業績が悪化していたり、資金繰りが厳しくなっていたりすることもあります。

 

 

銀行が繰上返済を歓迎しない場合もある

 

繰上返済には、融資契約によって手数料や違約金がかかる場合があります。

 

特に、固定金利や期限前返済に関する特約がある融資は注意が必要です。

 

 

また、銀行にとって繰上返済は、貸出残高や将来得られる利息の減少につながります。

 

一度の繰上返済で直ちに関係が悪化するとは限りませんが、

借入直後の完済や、他行からの借換えによる返済は歓迎されないこともあります。

 

 

銀行に遠慮して不要な借入れを残す必要はありませんが、

契約内容と費用を確認し、返済前に相談しておくことが大切です。

 

 

利息は「手元資金を残すためのコスト」という見方もできる

 

例えば、1,000万円の借入金を繰上返済するか迷っているとします。

 

金利が2%なら、単純計算で年間20万円の利息です。

 

1,000万円を返せば、この利息負担を減らすことができます。

 

一方で、会社の手元からは1,000万円の現金がなくなります。

 

 

つまり、

年間数十万円の利息を減らすために、1,000万円の手元資金を減らしてよいのか

という見方もできます。

 

 

もちろん、必要以上の借入を抱えて利息を払い続ける必要はありません。

 

 

ただ、借入金の利息には、

必要なときに使える資金を手元に残しておくためのコスト

という側面もあります。

 

 

預金残高と「余剰資金」は同じではない

 

当然ですが、

預金が3,000万円あるからといって、 

3,000万円すべてが自由に使えるわけではありません。

 

例えば半年以内に、

納税

賞与

設備更新

まとまった仕入

 

などが予定されているかもしれません。

 

 

さらに、毎月の人件費や家賃、仕入代金、借入金返済なども続きます。

 

 

現在使う予定がないからといって、それがすべて余剰資金とは限らないのです。

 

今後必要となる資金を見込んだうえで、それでも残るお金がどのくらいあるのか。

ここを見て判断する必要があります。

 

 

繰上返済を検討しやすい会社、慎重に考えたい会社

 

例えば、

 

売上や入金が安定しており、今後大きな設備投資などもなく、繰上返済した後も十分な手元資金が残る会社であれば、

繰上返済を検討する余地があります。

 

 

反対に、

売上や入金の変動が大きい会社、季節によって資金需要が変わる会社、近いうちに設備投資を予定している会社などでは、

慎重に考えた方がよいでしょう。

 

 

特に、今後の売上や資金需要が読みにくい会社では、多少の利息を払ってでも手元資金を厚くしておくことが、経営の安定につながる場合があります。

 

 

「返せるお金があるか」ではなく、「返しても困らないお金か」

が重要です。

 

 

繰上返済する前に、今後の資金繰りを確認する

 

どこまでなら返しても大丈夫なのか。

 

その判断には、現在の預金残高だけではなく、今後の資金繰りを見る必要があります。

 

 

売上入金、仕入、人件費、納税、賞与、設備投資、借入金返済などを資金繰り表に入れ、

 

500万円返した場合

1,000万円返した場合

返さなかった場合

 

 

それぞれで、その後の預金残高がどうなるのかを確認します。

 

資金繰り表は、現在のお金を見るためだけではありません。

 

数か月先に資金がどこまで減る可能性があるのかを知るためのものでもあります。

 

 

まとめ

 

金利が上がれば、繰上返済によって減らせる利息も大きくなります。

 

 

しかし会社の場合、借入金を返せば、その分だけ事業に使える手元資金も減ります。

 

一度銀行へ返したお金を、必要になったときに再び借りられる保証もありません。

 

 

したがって、繰上返済を考えるときは、まず資金繰り表を使って、

納税や賞与、設備投資、売上の下振れなどを織り込んでも、いくら手元に残しておく必要があるのかを確認します。

 

 

その金額を超える余裕資金があり、繰上返済後も資金繰りに支障がないと判断できれば、

一部繰上返済を検討してもよいでしょう。

 

 

その際は、手数料や違約金の有無を確認するとともに、銀行にも事前に相談します。

 

 

繰上返済は「いくら返せるか」ではなく、

「返した後に必要な資金が十分に残るか」で判断することが重要です。

 

 

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