
2026年8月10日(月)、三条市の花てらす様にて、「おひとり様の亡くなった後の備え」をテーマにセミナーを開催しました。
【演題】
「おひとり様の亡くなった後の備え ~亡くなった後のこと、今のうちに考えてみませんか~」

今回は、花てらす様スタッフ1名を含む10名の方にご参加いただきました。
亡くなった後には、葬儀や納骨だけでなく、住居の整理、各種契約の解約、行政手続など、さまざまな手続きが残ります。
将来への備えというと、まず『遺言書』を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、遺言書は主に、預貯金や不動産などの「財産を誰に承継するか」を決めるものです。
一方、葬儀や納骨、住居の整理、各種契約の解約など、
亡くなった後に誰かが実際に行わなければならない手続きについては、遺言書だけではカバーできません。
その部分を補うのが、死後事務委任契約です。
今回のセミナーでは、
「自分が亡くなった後、その手続きを誰が行うのか」
という視点から、死後事務委任契約を中心に、
見守り契約、任意後見契約、尊厳死宣言、公正証書遺言などについてお話ししました。
セミナーでいただいたご質問
今回も、参加者の皆様からさまざまなご質問をいただきました。
Q.任意後見と法定後見はどんな違いがあるのか。
A. 任意後見は、元気なうちに、将来の認知症などに備えて、あらかじめ公正証書で契約を作成しておくものです。
任意後見人は自分で選ぶことができます。
判断能力が低下した後、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、選任されると任意後見が開始されます。
一方、法定後見は、認知症などにより判断能力が低下した後に家庭裁判所へ申し立てるもので、後見人は家庭裁判所が選任します。
Q.相続人が2人いた場合、1人が相続放棄をすれば、相続税の基礎控除額は減るのか。
A. 相続税の基礎控除を計算する際の法定相続人の数は、相続放棄がなかったものとして数えます。
そのため、相続人が2人いて、そのうち1人が相続放棄をした場合でも、2人として基礎控除額を計算します。
Q.死後事務受任者には、委任者の死亡がどうやって伝わるのか。
A. 入院した際に病院から受任者へ連絡が入るようにしておく方法や、
そもそも病院から親族には連絡が入るので、親族から受任者へ連絡してもらうようにしておく方法などが考えられます。
Q.公正証書遺言さえ整えていれば、死後事務委任契約は考えなくてもよいのか。
A. 遺言は、主に亡くなった後の財産の承継先を指定するものです。
一方、死後事務委任契約は、葬儀や各種手続など、亡くなった後に残る事務を誰にお願いするかを決めておくものです。
そのため、亡くなった後に手続きをしてくれる人がいない可能性がある場合には、死後事務委任契約も検討した方がよいでしょう。
Q.任意後見人がいれば、死後事務をしてもらえるか。
A. 任意後見契約は、本人が亡くなると終了します。
そのため、任意後見人として死後事務を行うことはできません。
死亡後の事務もお願いしたい場合には、別途、死後事務委任契約を結んでおく必要があります。
アンケート結果
セミナー終了後、参加者の皆様にアンケートへご協力いただきました。
「ご自身が亡くなったあとの備えをした方がよいと思いましたか」とお聞きしたところ、
- 検討した方がよいと思った 4名
- 今すぐではないが、今後検討したい 6名
という結果となりました。
参加者全員が、亡くなった後の備えについて何らかの課題意識を持たれたことになります。
また、「どのような備えが必要だと思いましたか」と複数回答でお聞きしたところ、
- 死後事務委任契約 5名
- 公正証書遺言 3名
- 尊厳死宣言 3名
- 任意後見契約 2名
- 入院時身元引受契約 1名
という結果でした。
今回のテーマでもある、死後事務委任契約への関心が最も高い結果となりました。
受講者様からいただいたご感想
今回も、さまざまなご感想をいただきました。
「子供達がすべて遠方にいるので、死後事務委任契約という事を初めて知れて良かった。」
「死後事務の細かい部分の流れを知れて良かった。」
「亡くなったあとの手続きは意外と多いことが分かった。」
「おひとり様」という言葉からは、身寄りのない方をイメージするかもしれません。
しかし、今回のご感想にもあるように、
子どもがいても遠方に住んでいるなど、
亡くなった後の手続きをお願いすることが難しいケースもあります。
また、「気になったことや、もう少し詳しく知りたいこと」として、
「元気なうちに手続き関係は気に留めて生活しなければいけないと思った。」
「公正証書遺言を作成してもらう時、身内以外に2名の証人が必要と聞いたが、そういう人がいない時はどうすればよいか。」
「生前、早めに自宅を売却したいが、年齢等の制限があって、アパート等に入居できない現実をどうしたらよいか。」
といったお声もいただきました。
亡くなった後の備えを考えることは、遺言や死後事務だけでなく、
住まいや財産、これからの生活をどうしていくのかを考えることにもつながります。
セミナーを通じて、必要な備えを見直された方も
前回、花てらす様で開催した公正証書遺言のセミナーを受講され、
「公正証書遺言を作成したい」
と考えていた方が、今回のセミナーにもご参加くださいました。
今回、死後事務について知っていただいたことで、財産を誰に承継するかだけでなく、
「自分が亡くなった後のさまざまな手続きを、誰にお願いするのか」
ということも重要だと感じられ、現在は死後事務委任契約を軸に備えを検討されています。
遺言が必要な方もいれば、死後事務への備えがより重要な方もいます。
また、その両方が必要になる場合もあります。
最初から制度を決めるのではなく、
自分の場合には、亡くなった後に何が残り、それを誰にお願いしたいのか。
そこから考えていくことで、ご自身に必要な備えも見えてきます。
まとめ
今回のセミナーでは、参加者全員が、
「亡くなった後の備えを検討した方がよい」
あるいは、
「今すぐではないが、今後検討したい」
と回答されました。
亡くなった後のことは、元気なうちは、まだ先のことのように感じるかもしれません。
しかし、自分の希望を考え、誰に何をお願いするのかを決めておくことができるのも、元気なうちです。
遺言を作るのか。
死後事務委任契約を結ぶのか。
任意後見なども考えた方がよいのか。
必要な備えは、その方の家族関係や生活状況によって異なります。
今回のセミナーが、
「自分の場合は、何を準備しておけばよいのだろう」
と考えていただくきっかけになれば幸いです。
なお、私は専門とする財務コンサルに加え、ご縁をいただき花てらす様にて月1回のペースで相続セミナーを開催しています。
実際にお話しを伺う中で、
相続や死後事務は単独のテーマではなく、財産の把握や将来設計、住まいのことなどとも密接に関わる分野であることを改めて感じています。
今後もシリーズとして継続しながら、実務に即した形で分かりやすくお伝えしていく予定です。