事業性評価の成り立ち
事業性評価とは
「事業性評価」とは、銀行が融資の判断をする際、決算書の数値や担保、人的保証などだけで判断する(いわゆる「決算書主義」「担保主義」)のではなく、事業の将来性や企業の事業内容なども考慮して融資の評価を行うことを言います。
金融検査マニュアル
バブル崩壊後、金融機関は大量の不良債権を抱え、財務体質が痛んでいました。これを受け、当時の金融監督庁は、平成11年に「金融検査マニュアル」を制定しました。
金融機関の財務健全性を確保するため、金融機関が融資先の査定を行う際、この「金融検査マニュアル」に沿って、決算書の数値を分析し、融資先をランク付けするよう、当局から長年指導されて来ました。
しかし一方で「金融検査マニュアル」を画一的に当てはめた結果、多くの中小零細企業が融資を受けられず、倒産に追い込まれました。
この反省から平成14年に「金融検査マニュアル(別冊)」が設けられ、企業の実態に即した融資を行うよう指導方針が軌道修正されましたが、即効性はありませんでした。
リレーションシップバンキング
金融庁は、地方金融機関に対し「リレーションシップバンキング」という行動指針の遵守を求めました。これは「金融機関が顧客との間で親密な関係を長く維持することにより顧客に関する情報を蓄積し、この情報をもとに貸出等の金融サービスの提供を行うことを展開するビジネスモデル」のことです。数値以外の情報を長年の企業との付き合いの中で把握することを期待したもので、これが「事業性評価」の元となる考え方です。
金融モニタリング基本方針
そして平成26年に金融庁から「金融モニタリング基本方針」が公表され、この中で「金融機関による金融仲介機能の発揮にあたり、借り手企業の事業内容や成長性を適切に評価したうえで、融資や助言を行うこと」が明記され、「事業性評価とは、金融機関が現時点での財務データや保証・担保にとらわれず、企業訪問や経営相談等を通じて情報を収集し、事業の内容や成長可能性などを適切に評価すること」が謳われました。これがまさに「事業性評価」です。
こうして平成26年以降、銀行は融資評価において、従来の①定量分析(決算書分析)と②定性分析(事業内容、市場規模等の把握)に加え、③事業性評価を行うこととなったのです。
金融仲介機能のベンチマーク
平成28年に「金融仲介機能のベンチマーク」が金融庁から公表されました。ここには、金融機関が各事業者を評価する際の判断基準が明記されており、担保や保証に頼らずない「事業性評価」に基づく融資や、企業の経営改善・生産性向上等の支援に対する積極的な取り組みが促されております。
とは言え、事業性評価融資はまだまだ浸透していないのが実態で、金融機関は「金融検査マニュアル」が廃止されてもなお、定量評価を中心とした自己査定の流れを引きずっているのが現状です。
これからの方向性として、事業性評価重視に指導される流れにありますので、企業側としてはそれを意識して、金融機関に対し事業性をアピールしていくことは有効だと言えます。
事業性評価の対象
事業性評価は銀行が行うこととなりますが、金融機関も経営効率化の中で、すべての融資先に事業性評価を適用することは困難な状況です。現状としては、融資残高で上位の会社や、金融機関がこれから融資を積極的に展開していこうという意図を持っている会社を対象に、事業性評価を行っています。
ちなみに、融資審査における二次評価(定性分析)は、事業性評価と内容的には被るものが多いこともあり、あまり行われておりません。二次評価は事業性評価に置き換えられていると言っても良いでしょう。
事業性評価シート
金融機関は「事業性評価シート」を使って評価を行うことが一般的です。評価項目は金融機関によりますが、概ね以下のような事項が記載されており、内容的にはローカルベンチマークの非財務情報と共通する部分があります。
①会社概要
会社代表者、所在地、連絡先等
②組織図
企業全体の組織構造、各人の権限や指揮命令系統
③ビジネスモデル(商流・収益の源泉)
業界情報、対象企業の事業展開、仕入・販売ルート、自社と取引先との関係俯瞰図等
④内部管理モデル(業務フロー・収益等管理状況)
顧客に対する商品・サービスの提供フローから、同業他社との比較における「強み」を把握
⑤市場と競合環境(価格競争力・差別化・独自性)
⑥財務・資金繰り・借入の状況
⑦設備投資計画
⑨経営者について
⑩経営課題と経営方針
⑪経営計画の概要
まとめ
中小企業が行うべきは、金融機関が事業性評価を意識して融資の審査をしていることを認識し、企業の側から積極的に金融機関にアピールしていくことです。
タイムリーな試算表の作成や資金繰り表の提出とともに、事業性評価シートの各項目について、金融機関の担当者が書きやすい情報を発信していく取組みをぜひ行って下さい。
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