事業計画書は必要か
事業計画書(経営計画書)とは、経営者(会社)が将来の利益をどのように生み出していくのか、そのためにどのような行動をしていくのか、資金繰りや損益はどのようになっていくのかを説明する資料です。
銀行融資においては、決算書が良好で問題がなければ必ずしも提出を求められません。
しかし、経営改善を踏まえた融資、劣後ローンなど銀行に一定のリスクがある融資、融資資金が1億円を超えるような大型案件などにおいては、銀行から提出を求められます。
求められないから提出しなくてよいという考え方もあります。
一方、銀行内部では融資審査の際に稟議書が作られるため、よりスムーズに融資を受けるためには、事業計画書を提出して説明した方が良いでしょう。
また、そもそも計画的な経営を遂行するためには、銀行融資に関わらず、事業計画(経営計画)を策定することは、会社経営上重要なことです。
数値から作成する事業計画はNG
事業計画書は、ただ所定のフォーマットを埋めるだけでは、実効性が伴わず、意味のないものになってしまいます。
損益計画や資金繰り計画の数値を作るところから始めてしまうと、ただ過去の実績をもとに「売上を前年比30%アップ」のような単なる掛け声だけの、根拠のない計画が出来てしまいます。
ただ「頑張る」だけがアクションプランになってしまい、「なぜ30%増なのか」の説明を銀行から求められても説明が出来ません。
「この経営者は信頼できるのか?融資したお金が返ってこないのではないか?」と思われても仕方ありません。
融資を受けるために、事業計画書の作成を会計事務所等へ丸投げした場合、融資の申込みに銀行に行った際、社長は銀行からその記載内容を質問されても答えられません。
仮に作成した会計事務所が同席したとしても、答えているのが会計事務所という状況に対し、
銀行側は
「この社長は計画を立てられないから会計事務所に作らせている。計画性のない人間にお金は貸せない。」
と受け止めることでしょう。
数値を羅列しただけの事業計画は意味がありません。数値は手段であり、手段を目的にしてはいけません。
経営者が腹落ちする検討を経て、しっかりした意思決定・方針が込められていなければ、銀行員は、ただの張りぼての計画であることをすぐに見抜いてしまいます。
事業計画の策定手順
中身のある事業計画を立てるには、経営者が自ら頭を使って考える必要があります。
財務コンサルタントなどの専門家はアイディアを引き出すお手伝いが出来ても、経営の専門家でもなく、会社の事業分野について深い造詣があるわけでもありません。
このことを前提に、以下の手順で事業計画を策定すれば、中身のある計画が出来上がります。
①5年後のあるべき姿、ありたい姿(目標値)を設定する
②目標値に達するためのアクションプラン(どうやったら達成出来るのか)を策定
③アクションプランを実行した場合の財務状況の数値化
④あるべき姿に近づいているのかの確認
繰り返しになりますが、数値化(③)ありきでは単なる数値合わせの計画になり、作って終わりの意味のないものになります。
計画どおりに実施し、反省し、未達の場合は計画を練り直すなどの行動こそが重要です。
アクションプラン
「5年後は3店舗まで事業を拡大したい」というありたい姿を描いた場合、その目標を達成するためにどのような行動をするかという計画が「アクションプラン」です。
銀行から「計画をどのように遂行するのか」「この損益計画の数値を説明してください」などと聞かれた場合、具体的な背景、根拠となるものがアクションプランです。
アクションプランを具体化するには、「誰が(どの部署が)」「いつ(年末セールで)」「どこで(〇〇への出前出店で)」「いくらで(単価△△円)」「いくつ(〇箱)」など、イメージを出来るだけ見える化します。
そうすることで「会場への運搬費はいくら」「仕入は〇箱で、仕入れ原価は▲▲円」と、プランが数値化出来てきます。
これをまとめたものが、損益計画や資金繰り計画に落とし込まれていきます。
事業計画書3点セット
事業計画書は
①事業計画概要
②損益計画(1~5年分)
③資金繰り表(1~2年分)
の3点セットにサマリとして表紙(事業計画書概要資料)を付けます。
「事業計画概要」に記載する項目および主な留意点は以下のとおりです。
「現在の経営状況」・・・・足元の業績(定量情報含む)、課題や伸ばしたい分野
「融資背景」・・・・ポジティブな理由(赤字補填ではない)、成長への必要性
「融資希望条件」・・・・希望額や借入期間(資金繰り表をもとに)
「資金使途」・・・・設備投資や増加運転資金、金額の妥当性(借りられるだけ借りたいはNG)
「返済財源」・・・・設備資金であればキャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)が確保できることを損益計画で、運転資金の場合は資金繰り表で
「今後の経営計画」・・・・融資実行後によりどのような事業展開をするのか、それにより事業が軌道に乗るのか
数値の根拠となるアクションプランが具体的であれば、事業計画書の説明が説得力のあるものになります。
まとめ
銀行融資とは、他人からお金を借りるという行為です。
貸した人は「ちゃんと返してもらえるのか」「貸したお金を目的どおりに使って利益を上げ、利息を払ってもらえるのか」「根拠となる数値には信憑性があるのか」という見方をします。
適当に作った数値や楽観的な計画は、いくつか質問をすればすぐに分かります。
根拠を持ったしっかりとした事業計画を立てることが、融資成功のカギです。
また、単に融資の手段として事業計画を立てるのではなく、目標を立てて計画的に事業を遂行することが重要なのは言うまでもありません。
合わせて、計画は立てるだけではなく、
PDCA(Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善))
を循環させることが重要です。
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