銀行が恐れる金融庁検査
銀行や信用金庫は、2~3年ごとに監督官庁である金融庁の「金融庁検査」を受けます。
「金融庁設置法」第3条によれば、
金融庁は、我が国の金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに、金融の円滑を図ることを任務とする。
とされています。
このうち、
①我が国の金融の機能の安定を確保
の観点では、
金融機関の経営安定に反するような不適切な融資を行っていないか、例えば「破綻懸念先」企業なのに融資を行っている理由は何か、試算表もなしに融資を実行している理由は何か、といった見方をします。
無理な融資をすれば、金融機関がリスクを負うことになり、金融機関が倒産することになれば、金融が不安定になるためです。
また、
②預金者、保険契約者、有価証券の投資者その他これらに準ずる者の保護を図る
についてですが、最近では銀行や信用金庫で様々な金融商品(投資信託や生命保険等)を販売しています。
その販売に当たり、顧客に契約書の内容や元本割れリスクなどをきちんと説明していたか、自行の利益を優先して無理な金額を顧客に提案していないかなどの観点で、金融庁からチェックを受けます。
「金融庁検査」で指摘を受けてしまうと、「業務改善命令」(法令順守や内部管理体制の不備を指摘し、改善を求める)や「業務停止命令」(悪質な法令違反などがあった場合に、一定期間、業務の一部または全ての停止を命じる)が出されてしまいます。
銀行や信用金庫は常に「金融庁検査」を意識して、顧客との日々の取引を行っていると言っても過言ではありません。
融資は文句を言いにくい
金融商品の販売
投資信託や保険契約の場合は、その商品の詳細が約款等で詳細に定められており、顧客に対する重要説明事項が明確に定められているため、比較的白黒が付けやすいと言えます。
損失を被った顧客は、「こんなはずじゃなかった」と文句を言いたいところであり、万一「説明不足」があれば、購入した銀行・信用金庫にクレームを申し出ることでしょう。
それでも解決出来なければ、監督官庁である金融庁に報告することも可能です。
ただ、説明不足については、銀行・信用金庫側も「言った、言わない」にならないよう、顧客は説明を受けたら書面にチェックを入れることになっています。
あとは顧客が十分に理解に至っていたかどうかの問題ですが、今は動画などを視聴させるなど、銀行・信用金庫は、仕組み上十分な説明が果たせていると主張できるようにしています。
融資審査
一方、融資審査においては、審査手法は銀行・信用金庫の「手の内」とも言えるため、明らかに出来ません。
もしオープンにしてしまえば、本来融資を受けにくい会社が小手先のテクニックで乗り越えてくるおそれがあります。
また、融資を受ける側として最も恐れていることは、今後の融資に支障を来すことです。
「なんでこんな条件しか出ないんだ」などと下手にクレームを申し立てれば、「じゃあ御社とはもう取引は一切しません」と言われかねません。
ただ、この種のクレームの要因は、融資を受ける側に知識不足や勘違いがあり、その誤解を金融機関側も認識出来ていないという、お互いのズレであることが多いのが実態です。
銀行・信用金庫側が融資案件を放置している場合もまれにありますが、内部の状況がどうなっているのかは、融資を受ける側からすれば知りようがありません。
こうした融資に関する悩みを税理士や会計事務所に相談するケースもあると思いますが、彼らは税務申告や会計記帳が主業務であるため、正面から向き合ってもらえない場合がほとんどです。
金融庁に報告する
当事者である銀行・信用金庫にクレームを申し出た場合、銀行・信用金庫側に明らかに非があれば、そこで解決するでしょう。もしくは、クレームを申し出た結果、顧客側に誤解があったことに納得出来れば、それも一旦は完結します。
当事者間で折り合いが付かない場合は、感情的にいがみ合っていても仕方ありませんし、暴言を吐いてしまった結果、出入り禁止にでもされては、今後の経営に大きな支障が生じるおそれがあります。
顧客側の最終手段として、金融庁に報告するという手があります。
まずは冷静に、あったこと、言われたことを、客観的に事実関係として整理し、対象の銀行や信用金庫を行政指導してもらうのです。
ここで、事実と異なることを言ったとしたら、指導の連絡を受けた銀行側も「なんで事実と違うことを報告したのか」と、余計こじれることにもなりますし、報告を受けた金融庁も「この企業の報告はあてにならない」とかえって銀行側に立たれてしまう可能性もあります。
逆に企業の言い分が正しいのであれば、銀行側に指導がなされ、問題の改善につながる可能性があります。
銀行・信用金庫が常に正しい、あるいは、ハレーションが怖くてクレームを言い出せない、というように、泣き寝入りをするのもありですが、最後の手段として金融庁に報告するという手があるということを理解しておくのが良いでしょう。
ただし、こうした問題は非常にセンシティブなものであるため、出来れば財務コンサルタントなどの専門家に相談することをお勧めします。
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