こんにちは。1級ファイナンシャル・プランニング技能士の本間です。
先日妻から「保険屋さんから提案を受けているので見てほしい」と質問を受けたので、少し深掘りしてみました。
確かに、少子高齢化が進む日本において、「老後の介護に備える」というテーマは避けて通れない課題です。そんな中、近年注目を集めているのが「米国ドル建て介護保障付終身保険(介護保障100%プラン)」ですが、保険屋さんの言う通りに入るべきかどうか、正直迷いますね。
この保険は、終身保険としての死亡保障に加え、要介護状態になった場合に保険金が支払われる「介護保障」を兼ね備えた商品です。さらに、米ドル建てという特徴から「資産運用の一環」としても期待される一方で、為替リスクなど独特の注意点も存在します。
今回はこの商品について、メリット・デメリットをわかりやすく整理し、加入を検討している方が判断しやすいように解説していきます。
商品の概要
まず、簡単に仕組みを整理しておきましょう。
- 終身保険:被保険者が亡くなるまで保障が継続する生命保険。
- 介護保障100%プラン:要介護状態(一般的には要介護2以上)に該当した場合、死亡保険金相当額が生存中に受け取れる。
- 米ドル建て:保険料の支払いや給付金が米ドルで行われ、円ではなくドルの運用利率に基づいて積み立てられる。
つまり、「死亡」または「介護」いずれかで、同額の保険金を受け取れる上に、資産としての外貨運用効果も狙えるのが、この保険の魅力といえます。
メリット
(1) 介護になっても死亡しても、どちらかで確実に保険金が受け取れる
この商品最大の特長は、「死亡保険」と「介護保障」が排他的に選択される点です。つまり、要介護状態になれば死亡を待たずに保険金を受け取れるため、老後の生活費や施設入居費に即座に活用できます。
一方、介護状態にならなければ、死亡時に保険金が支払われるため、無駄がありません。どちらか一方で確実に保険金を受け取れるというのは、精神的にも大きな安心材料になります。
(2) 米ドル建てによる利回りの優位性
日本は長年にわたり超低金利が続いています。一方で、米国は比較的高い金利水準にあります。そのため、米ドル建て保険は円建てよりも予定利率が高めに設定されていることが多く、長期的な運用効果が期待できます。
また、インフレリスクに対しても外貨資産を持っておくことで分散効果が見込めます。
(3) 相続対策にも有効
介護保障付終身保険は「一時払い」での契約が可能な場合もあり、資産の圧縮や相続税の非課税枠活用といった相続対策にもなります。
万一介護状態にならなかった場合でも、死亡保険金として相続人に確実に資産を渡す手段として使えます。
デメリット
(1) 為替リスクの存在
最大の注意点は、やはり為替リスクです。
保険料を支払うとき、保険金を受け取るとき、いずれも「円→ドル」または「ドル→円」の為替レートが影響します。たとえば、ドル高のときに契約し、ドル安のときに解約や給付を受けると、元本割れの可能性もあります。
為替手数料やスプレッドも含め、短期で動かす商品ではないことを認識しておく必要があります。
(2) 介護状態の認定条件が厳しい場合も
保険によっては、介護状態と認められるハードルが高い場合もあります(例えば、「要介護2以上」や、保険会社の定める日常生活動作の制限基準に該当する必要があるなど)。
そのため、公的介護保険の認定と民間保険の給付基準が一致しないケースも。加入前には、どのような状態で給付されるのかを細かく確認することが必須です。
(3) インフレに弱い面も
米ドル建てとはいえ、保険金の金額は契約時に決められる固定額です。たとえば10万ドルの保障を契約したとしても、20年後の10万ドルの価値は今と同じとは限りません。
つまり、長期インフレや物価上昇に対応しきれないリスクもある点に注意が必要です。
こんな人に向いている保険
以上のメリット・デメリットを踏まえると、以下のような方に向いているといえるでしょう。
- 老後に備えた介護資金を確保したい人
- 資産の一部を外貨で保有したい人
- 終身保険を相続・資産継承の手段と考えている人
- 長期的な運用を前提に資金を動かせる人
一方で、短期で資金を使う予定がある人や、為替変動に不安がある人には不向きといえるでしょう。
まとめ
「米国ドル建て介護保障付終身保険(介護保障100%プラン)」は、介護と死亡、どちらにも備えられるハイブリッドな商品です。さらに、外貨建てという特性により、運用効果や相続対策としての活用も可能です。
ただし、為替リスクや介護認定の条件といった注意点もあるため、加入前にはライフプランや資産状況を見ながら、十分な検討が必要です。
保険は「万が一」に備えると同時に、「確実にくる老後」を見据えた準備でもあります。将来の安心のために、このような選択肢もあることを一つの参考にしてみてはいかがでしょうか。
🥳おまけ
デメリットのところ、もう少し分かりやすく深掘りしてみました。保険の契約は長期にわたるため、慎重に考え、後で後悔しないようにしましょう。
デメリットの詳細解説
➀為替リスクは想像以上に大きい
米ドル建ての最大の特徴であり、同時に最大の弱点が「為替リスク」です。
たとえば、
- 契約時の為替レート:1ドル=140円
- 給付時の為替レート:1ドル=110円
だった場合、保険金が10万ドルだとしても、受け取れる円は1400万円 → 1100万円に目減りしてしまいます(300万円の損失)。
これは投資と違い、自分で「利確のタイミング」を選べない生命保険ならではの難しさです。
また、次のような点も見落とされがちです。
- **為替手数料(片道数十銭)**がかかる
- 保険料の支払や保険金の受取に、円⇔ドルの両替手続きが必要
- 給付の受取時期を自分でコントロールできない(事故・病気など突発的な要介護状態)
つまり、「為替のタイミングは選べない」という前提で加入すべき商品です。
➁保険会社独自の「介護基準」に要注意
公的介護保険(要介護1〜5)とは別に、保険会社ごとに独自の基準があります。
よくある基準は以下のようなものです。
- 公的な「要介護2以上」+日常生活動作(ADL)制限が一定以上
- 「認知症により常時見守りが必要」と医師が判断する
- 「特定の5動作中3つ以上に支障がある」(例:食事・移動・排泄・着替え・入浴)
この民間基準は想像よりも厳しいケースがあり、「要介護2なのに保険金が出なかった」といったトラブルも実際に起こっています。
したがって、加入前には以下を必ず確認すべきです。
- 給付基準(公的介護認定との違い)
- 医師診断書の要否
- 一時金か、年金型か(受取方法)
- 給付されるタイミング(申請から何日後か)
➂長期インフレに対応できない「固定金額型」
多くの終身保険と同様、この商品も**「定額給付型」**です。
たとえば、契約時に「10万ドルの保障」で契約した場合、20年後・30年後でも給付額は変わりません。しかし、その頃の10万ドルの価値が下がっている可能性もあります(インフレによる購買力低下)。
つまり、
- 介護施設の費用が上がる
- 生活費が全体的に上がる
- しかし保険金は上がらない
という状況が起きうるわけです。日本でも物価上昇(インフレ)が続いており、「物価連動型」ではないことの弱点が徐々に表面化しています。
➃途中解約は不利になりやすい
米ドル建て終身保険は長期保有を前提とした商品です。そのため、以下のようなリスクもあります。
- 途中解約すると元本割れの可能性が高い(特に前半数年)
- 解約返戻金は「運用実績」と「為替」に強く影響される
- ドル建て資産として保有している間は円建てでの価値は常に変動する
たとえば、ライフプランが変わって現金が必要になった場合、
- 為替が悪ければ解約しにくい
- 返戻金が予想より少なくて資金ショートの恐れも
このように、途中で資金が必要になる可能性がある人には不向きです。
➄保険料が高めで、年齢による差も大きい
米ドル建ての終身保険は、通常の医療保険・定期保険と比べて保険料が高めに設定されています。特に、
- 一時払い契約(初期で多額の資金が必要)
- 高齢での加入(保険料が大幅アップ)
といった条件下では、**「保険料に見合うリターンが得られるか?」**という点を慎重に精査すべきです。
(ちなみに我が家はこの点を考慮して見送りとすることにしました…)
デメリットまとめ(再掲)
| デメリット項目 | 内容 |
|---|---|
| 為替リスク | 給付時に為替次第で損をする可能性がある |
| 介護認定基準 | 公的認定と異なり、給付に至らないケースも |
| インフレリスク | 保険金が固定額のため物価上昇に対応不可 |
| 解約リスク | 途中解約時は元本割れの可能性大 |
| 高額保険料 | 年齢が高いと特に割高になりやすい |
このように、メリットの裏には想定すべきリスクがいくつか潜んでいます。ドル建ての利回りに惹かれて安易に加入するのではなく、資産全体のポートフォリオやライフプランに照らして、本当に必要な保障かどうかを慎重に判断しましょう。
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