こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士、1級FP技能士、銀行融資診断士®の本間です。
今回は「建設業」をテーマに、資金需要や決算書の特徴、留意すべき財務指標、黒字企業と倒産企業の違い、そして業界特有の課題について整理し、経営のポイントを解説します。
業種の特徴
建設業は、住宅や商業施設、公共インフラなど幅広い工事を請け負う産業で、案件ごとの単価が大きく、長期にわたる契約が多いことが特徴です。
受注から完工・入金までのサイクルが長く、季節要因や天候による工期遅延など外部要因の影響を受けやすい業界です。
また、下請け業者への外注や材料費の変動、労務費の高騰など、コストコントロールが難しい点も経営上の課題となります。
資金需要(運転資金)
建設業では以下の理由から、潤沢な運転資金が必要です。
- 工事開始前の資材購入費・外注費の先行支出
請負代金の入金は工事完了後が多く、先行して多額の支出が発生します。 - 手形取引や支払サイトの長期化
材料業者や下請けへの支払いが先行し、回収より支払いが早いケースが一般的です。 - 工期の長期化によるキャッシュフロー圧迫
天候や追加工事の発生で予定通りの入金が遅れることがあります。
目安としては、月商の3~6か月分の資金繰り余力を確保することが望ましいです。
資金需要(設備資金)
建設業は、建設機械や車両、倉庫や資材置き場などの設備投資が必要です。
- 重機や大型車両の購入・リース費用
新規事業や受注拡大に伴い、数百万円~数千万円単位の投資が発生します。 - 安全対策・ICT導入の設備投資
国の方針に沿ったICT施工や安全設備強化には定期的な更新が必要です。
投資規模が大きいため、借入期間は耐用年数に合わせること、自己資本比率を過度に低下させない借入計画が重要です。
決算書の特徴
建設業の決算書には以下の特徴があります。
- 完成工事高・完成工事原価という独自科目が使われる
- 工事未収入金・未成工事支出金が多く、貸借対照表が膨らみやすい
- 前受金が負債に計上されるため、資金繰りに余裕があるように見えても実態は異なる場合がある
- 粗利率が案件ごとにバラつき、原価管理の巧拙が利益を左右する
留意すべき財務指標
建設業の財務分析では、以下の指標が重要です。
- 流動比率(目安:120%以上)
支払能力を示し、100%を下回ると資金繰りリスクが高いと判断されます。 - 自己資本比率(目安:30%以上)
借入依存度の高さを表し、公共工事の入札では財務内容が重視されます。 - 粗利益率(目安:15~25%)
案件ごとに差が出やすく、20%を下回ると採算性に課題がある可能性があります。 - 完成工事利益率(目安:3~5%以上)
建設業特有の指標で、最終的な利益率が低すぎると倒産リスクが高まります。 - 手元資金月商比率(目安:3か月分以上)
工事代金の回収遅延に備えるための安全余力を確認します。
業界内黒字企業の特徴
黒字を維持している建設業者には以下の共通点があります。
- 原価管理が徹底され、工事ごとの採算を逐次把握している
- 無理な安値受注を避け、利益率重視の受注戦略を取っている
- 元請けや公共工事に強みを持ち、安定した受注基盤がある
- 手元資金を厚く確保し、資金繰りを安定化させている
- 銀行との関係が良好で、必要時に資金調達できる信用力を保持している
業界内倒産企業の特徴
一方、倒産リスクの高い企業は以下の傾向が見られます。
- 安値受注を繰り返し、薄利多売で資金繰りが枯渇
- 工事原価を適切に管理できず、赤字案件を放置
- 下請け依存度が高く、元請けの支払条件に振り回される
- 手形取引や長期回収サイトにより、資金繰りが慢性的に逼迫
- 重機購入などで過剰債務を抱え、固定費負担が大きい
業界特有の課題
- 人材不足・技術者高齢化による人件費上昇
- 材料費の高騰・価格転嫁の難しさ
- 入札競争の激化による利益率低下
- 働き方改革関連法対応によるコスト増加
- 長期請負契約による資金繰りリスク
まとめ
建設業は、案件単価が大きく収益チャンスも多い一方で、資金繰りリスクが高く、コスト管理を誤ると一気に経営が悪化する厳しい業界です。
工事ごとの利益を正確に把握し、手元資金を十分に確保することが、安定経営の第一歩です。
また、金融機関との関係を強化し、資金調達の選択肢を増やすことも重要です。
計画的な財務管理と利益重視の経営姿勢が、建設業の持続的成長を支える鍵となるでしょう。
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