こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士、1級FP技能士、銀行融資診断士®の本間です。
資金調達の現場で、特に中小企業にとって身近な存在が信用保証協会です。
事業を営む上で資金が必要になったとき、銀行から直接お金を借りるのが理想ですが、業績や財務内容によっては、銀行が「貸したくても貸せない」ケースがあります。その時に活用されるのが、信用保証協会付き融資です。
信用保証協会とは
信用保証協会は、国・都道府県などの公的機関が運営する中小企業の資金調達を支える保証人のような存在です。
融資を受ける際に、保証協会が銀行に対して「万一返済できなかった場合は、代わりに支払います」と保証をすることで、銀行は安心して融資ができるようになります。
例えば、1,000万円を保証協会付きで借りた場合、万が一返済が滞れば、保証協会が銀行に立替払いします。
その後、借主は保証協会に対して返済を続ける形になります。
保証付き融資の枠とは
保証協会付き融資には、「利用できる金額の上限(保証枠)」があります。
大きく分けると以下のような枠があります。
- 一般保証
原則2億8,000万円まで(無担保保証8,000万円を含む合計枠。業種や制度により変動あり) - セーフティネット保証・危機関連保証
経済環境の変化や災害など、特定の条件で別枠が利用可能。一般保証枠とは別枠で、「セーフティネット保証」「危機関連保証」を併用する場合は、それぞれで最大2億8,000万円まで。(全額を同時に使えるケースは稀) 👉セーフティネット保証制度 | 中小企業庁 - 小口零細企業保証制度
2,000万円までの小口枠(信用保証料の優遇あり) 👉小規模企業向け | 新潟県信用保証協会
これらの枠は「会社単位」で管理されており、複数の銀行で保証付き融資を利用すると、枠が埋まっていきます。
枠を使い切ってしまうと、保証付きでの新規借入はできなくなり、金融機関からのプロパー融資(保証なし融資)に頼る必要が出てきます。(プロパー融資はハードルが高いです。)
制度上の上限と実務上の利用水準の違い
信用保証協会付き融資には、制度上の限度額が定められていますが、実際に企業が利用できる金額は返済能力や担保評価によって制限されるのが現実です。
制度上の数字だけをあてにして資金計画を立てると、「思ったより借りられない」という事態になりかねません。
制度上の限度額(一般保証枠)
- 無担保枠:最大8,000万円(全国共通)
- 有担保枠:最大2億円(全国共通)
→ 合計 2億8,000万円
実務上の目安
- 無担保枠:年商の3〜6か月分が限度目安。多くの企業では1,000〜3,000万円程度
- 有担保枠:担保評価額や返済能力で制限。多くの企業は3,000万円〜1億5,000万円程度
- 担保充実・安定黒字の企業以外は、制度上の満額利用はほぼ不可能
| 区分 | 制度上の上限 | 実務での上限目安 | 制限要因 |
|---|---|---|---|
| 無担保枠 | 8,000万円 | 1,000〜3,000万円程度 | 年商・利益水準 (年商の3ヶ月~半年分が限度) |
| 有担保枠 | 2億円 | 3,000万円〜1億5,000万円程度 | 担保評価・返済能力 |
| 合計 | 2億8,000万円 | 5,000万円〜1億5,000万円程度(多くの中小企業の場合) | 財務状況・業歴 |
プロパー融資との違い
保証協会付き融資は、銀行にとっては貸倒リスクがほぼゼロ(保証協会が立替)であるため、比較的借りやすい反面、保証料というコストが発生します。
一方で、プロパー融資は保証協会を通さず、銀行が直接リスクを負う融資です。
メリットは、保証料がかからず、保証枠も消費しないこと。
デメリットは、銀行の審査がより厳しくなることです。
金融機関が「枠を守りたがる」理由
現場では、金融機関が「他行で保証協会付き融資を受けるときは事前に教えてください」とプレッシャーをかけてくることがあります。
これは、単なるお願いではなく、銀行側の営業戦略とリスク管理が背景にあります。
- 自行の融資余地を確保したい
保証枠が限られているため、他行に先に利用されると、自行での保証付き融資の余地が減ってしまいます。
特にメイン取引行としては「有事の時のために枠を残しておきたい」と考えます。 - 関係性の維持・囲い込み
他行に先を越されて大口の保証付き融資を取られると、資金繰り支援の主導権を失う可能性があります。
そのため「事前に相談してほしい」と言うことで、自行中心の取引を促そうとします。 - 決算評価への影響
保証付き融資は、銀行にとって安定的な貸出残高を確保できる手段です。
これを他行に取られると、自行の融資実績や営業成績に響きます。
企業側が知っておくべき注意点
経営者としては、保証枠は会社の資金調達の生命線です。
以下の点を押さえておくことが重要です。
- 安易に枠を消費しない
運転資金や短期的な資金繰りであれば保証付き融資は有効ですが、返済期間の長い設備資金に大量に使ってしまうと、将来の運転資金需要に対応できなくなる可能性があります。 - プロパー融資とのバランス
財務内容が改善してきたら、徐々にプロパー融資を増やし、保証枠の温存を図ることが望ましいです。 - メイン銀行との関係性
枠の使用については、メイン行と一定の情報共有をしておく方が無用な摩擦を避けられます。ただし、すべてを丸投げせず、経営者自身が資金調達戦略を描くことが大切です。
まとめ
信用保証協会付き融資は、中小企業にとって心強い資金調達手段ですが、保証枠には限りがあります。
枠の使い方を誤ると、いざという時に借りられない事態になりかねません。
また、金融機関側も自らの融資余地を守るため、他行での利用を事前に知りたがります。
これは銀行の都合だけでなく、将来の資金調達に影響するため、経営者として理解しておくべきポイントです。
資金調達は「借りられる時に借りる」ことも大事ですが、「将来のために枠を残す」という視点も欠かせません。
保証協会付き融資とプロパー融資を上手く使い分けながら、企業の資金繰りを安定させる戦略を持つことが、健全な経営の第一歩となります。
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