こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士、1級FP技能士、銀行融資診断士®の本間です。
今回は「製造業(受注生産型)」について、財務面からの分析を通じて、経営の健全化・持続的成長のヒントをお伝えします。
業種の特徴
受注生産型の製造業は、顧客からの仕様や図面に基づき製品を設計・製造する業態で、金型製作、機械部品加工、建材製造などが代表例です。
製品は一品ごとに仕様が異なり、受注から納品・回収までの期間が長いことが特徴です。
売上は契約時点では計上できず、製造が完了して検収された時点で計上されます。
また、材料仕入や外注加工費などの先行支出が大きいため、資金繰りの計画性が極めて重要です。
設備も大型・高額で、導入時には長期資金の手当が欠かせません。
資金需要(運転資金)
- 仕掛品・在庫資金:製造中は売上が立たず、材料費・外注費が先行支出となる
- 売掛金回収までの資金:納品から入金までの期間が長く、数か月かかることもある
- 人件費・間接費:製造期間中も固定的に発生するため、長期案件ほど負担が大きい
- 外注費の立替:外注加工や特殊工程の費用は即支払いが必要な場合が多い
資金需要(設備資金)
- 工作機械・加工機:旋盤、マシニングセンタ、プレス機など高額・長寿命設備
- 治具・金型:製品ごとの専用治具・金型の製作費用
- 工場改修・拡張:大型機械導入や生産ライン増設のための建物改修
- IT化投資:CAD/CAM、製造管理システム、IoT設備など
決算書の特徴
- 売掛金・仕掛品・在庫の比率が高く、流動資産の中で大きな割合を占める
- 受注後生産で売上債権回収までが長い、前払金が絡むケースも
- 固定資産として高額な機械装置が計上され、減価償却費負担が重い
- 営業キャッシュフローが変動しやすく、黒字でも資金繰りが厳しい時期がある
- 長期借入金の割合が高い傾向
留意すべき財務指標
- 売上債権回収期間:60日以内(長期案件は90日以内を目安)
- 在庫回転期間:90日以内(仕掛品・原材料を含む)
- 固定長期適合率:100%以下(固定資産は長期資金で賄う)
- 自己資本比率:30%以上(長期的な投資余力を確保)
- 営業利益率:5〜10%(価格競争に巻き込まれると低下)
業界内黒字企業の特徴
- 原価計算と見積精度が高く、受注時点で利益確保が見込める
- 売上債権回収期間・在庫期間を短縮し、資金回収サイクルを改善
- 設備投資は長期計画に基づき、減価償却費の平準化を実施
- 特定顧客依存を避け、取引先ポートフォリオを多様化
- 長期案件は中間金(前受金)契約を活用し、資金負担を軽減
業界内倒産企業の特徴
- 受注時の見積が甘く、製造途中で原価が膨らみ赤字化
- 売上債権の回収遅延や貸倒れで資金繰りが急激に悪化
- 高額設備投資を短期借入でまかない、返済負担が資金を圧迫
- 特定顧客の仕事が急減し、売上が一気に減少
- 長期案件で中間金を取らず、資金ショートに陥る
業界特有の課題
- 人材不足と技術継承問題(熟練工の高齢化)
- 材料費・エネルギー費の変動による原価圧迫
- 価格転嫁の難しさ(大手発注先との交渉力不足)
- 受注波動による稼働率の変動
- 海外生産や自動化との競合
まとめ
受注生産型製造業は、案件ごとにお金の流れが異なり、製造期間中は資金が出ていく一方という特徴があります。
そのため、受注段階から納品・回収までのキャッシュフローを可視化し、運転資金の不足を未然に防ぐことが重要です。
また、高額な設備投資は長期資金で賄い、減価償却負担を平準化することが経営安定の鍵となります。
価格競争に巻き込まれず、適正な利益を確保できる見積力と、回収期間を短縮する営業管理が、持続可能な経営を支えます。
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