こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士、1級FP技能士、銀行融資診断士®の本間です。
最近は、50代前後の経営者が「手元に余剰資金をどう活用すべきか」「銀行預金のままではもったいないのではないか」と考えるケースが増えているようです。
超低金利が続く中、預金ではほとんど利息がつかず、資金運用に目を向けるのは自然な流れです。
しかし、会社のお金を運用に回す場合、個人の資産運用とはまったく違うリスクと判断基準が存在します。特に「手許キャッシュが固定化され、いざという時に動かせなくなるリスク」は軽視できません。
今回は、会社の余剰資金を運用すべきかどうか、その判断のポイントと注意点を整理します。
会社の余剰資金は「安全マージン」である
経営者の方が「余剰資金」と呼んでいるお金の中には、本当に余っているお金と、将来の支払や急な資金需要に備えるべきお金が混在しているケースが多くあります。
たとえば、
- 半年後のボーナスや賞与の支払い
- 取引先への大口の支払い
- 設備更新や修繕の予定
- 借入返済や税金納付
これらの支出予定は、まだ請求や期日が確定していなくても、将来的に必要になることがほぼ確定している資金です。
もしこのお金を運用に回してしまい、投資商品や保険などで換金に時間がかかる場合、資金繰りが急激に悪化するリスクがあります。
手元資金の「固定化リスク」とは
運用に回した資金は、すぐに現金化できるとは限りません。
- 株式や投資信託は、売却すれば数日で現金化できますが、価格変動リスクがあります。
- 債券や保険商品、不動産投資は、解約や売却まで時間がかかるうえ、元本割れの可能性もあります。
特に会社経営では、「必要な時にすぐ使える資金かどうか」が最優先であり、利回りよりも流動性(現金化のしやすさ)を重視すべきです。
一度運用に回すと、「せっかく投資したから損失が出ていても解約しづらい」という心理的なロックもかかります。
これが資金の固定化リスクです。
運用益は確実ではなく、資金が棄損する可能性もある
運用の目的は資金を増やすことですが、リターンは保証されません。
むしろ短期的には損失が出る可能性の方が高い投資も多く存在します。
例えば、株式市場や為替市場の変動によって、数か月で数十%の価格変動が起きることもあります。
会社の運転資金や予備資金をこうした投資に回すのは、ギャンブルに近い行為になりかねません。
経営の原則としては、「会社のお金は減らさないこと」が最優先です。
利益を出すためのリスクは本業で取るべきであり、金融市場で取るリスクは最小限にとどめるのが賢明です。
それでも運用を検討する場合の条件
もし社長が「それでも運用をしたい」という場合、最低限押さえるべき条件があります。
- 運転資金の3〜6か月分は、必ず無リスク資産(普通預金など)で確保する
→ 日常の資金繰りに影響しない部分だけを運用対象にする。 - 換金性の高い運用商品を選ぶ
→ 上場株式やMMFなど、売却後数日で現金化できる商品に限定する。 - 運用期間と目的を明確にする
→ 「5年後の設備投資資金」など、使途と期間が明確な資金であれば、債券や定期預金など低リスク運用も選択肢。 - 元本割れの可能性と許容額を事前に設定する
→ 「最大でいくらまで減っても会社経営に影響がないか」を数値で把握する。
経営者個人の資産運用との違い
個人の資産運用は、生活費の半年〜1年分を残して、残りを中長期で投資に回すことが一般的です。
しかし会社の場合、資金繰りの悪化は即、取引先や金融機関の信用低下につながります。
また、法人税法上、運用益は事業外収益として課税され、損失は原則として損金算入できない場合もあります(商品や形態による)。
そのため、税務面の影響も考慮する必要があります。
金融機関からの見え方
銀行は、会社の決算書や試算表を見て、現預金残高と借入残高のバランスを重視します。
余剰資金が減っていれば、「資金繰りが厳しくなっているのでは?」と見られる可能性があります。
一方で、運用商品は流動性が低いと評価され、資産としての価値を低く見積もられることもあります。
つまり、会社としての信用力を高める観点からも、手元現金を一定額確保することは重要です。
まとめ
- 会社の余剰資金は、本当に余っているかを精査する
- 運転資金や予備資金は安全に確保し、運用は換金性・低リスクを優先する
- リターンよりも流動性を重視し、固定化リスクを回避する
- 個人の資産運用とは判断基準が異なることを理解する
- 金融機関や取引先からの信用低下リスクも考慮する
結論として、会社のお金は「増やす」よりも「減らさない」ことを最優先すべきです。
もし運用を行う場合でも、経営に影響しない範囲で、慎重かつ計画的に進めましょう。
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